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あつ森事件簿 パッキー殺人事件


第一話 平和な島で殺人事件!?

今日は月に1度の住民会議!
たぬきち「皆んなといると楽しいだなも♪」
たぬきちさんは島のまとめ役!頼りになるなぁ!
でも僕には気がかりなことがあります。
ちょっと前に移住したお友だちが不参加なのです。
まだ会ったことがありません
街から離れた場所に住んでるらしい。
きっと恥ずかしがり屋さんなんだ。寂しいだろうなぁ。
よし!ご挨拶にいこう!
・・・・・・
おや?
果樹園で小人さんが騒ついているぞ?
島のはずれで事件があったみたい。
た、大変だ!小人のパッキーが殺された!!

第二話 勝手に名探偵!

平和なこの島で突如殺人事件が…!こんなに恐ろしいことを誰がしたんだ…
こんな時、探偵さんがいてくれたらなぁ…ズバリ解決する探偵さん…カッコいいよなぁ…カッコよすぎるよ…。そんなカッコいい存在に僕なんかが…
な・る!!!絶対に犯人を見つけてやる!!
僕「犯人はキミ?」
フランク「ちがうよ」
僕「キミ?」
ベアード「いいえ。それよりお茶しません?」
メープル「さつじんって何かしら?お野菜?」
僕「ダメだこりゃ」
事件は瞬く間に迷宮入り。
僕はしずえさんに相談をしました。
僕「誰もやってないんだって」
しずえ「誰だってそう言いますよ」
しずえ「こういう時は被害者のパッキーさんの身辺を調べるんです。闇雲に捜査して犯人は見つかりません。」
僕「そっか!」
しずえ「やれやれ」

第三話 名探偵、大捜査線!

しずえさんの助言で、小人さんに聞き込みを開始!
パッキーには双子の兄・テッキーがいるんだって!
よし、テッキーに会いに行こう!
テッキー「ふん、あんなヤツ知るか。俺には関係ない。」
僕「えー!?クソ兄貴だったー!!」
テッキー「勝手に死にやがって。あいつはいつも自分勝手だ…」
僕「ん?」
テッキー「パッキーがいないとテキパキ働けねぇじゃか」

僕は気づきました。

お兄ちゃんは泣いてることに。
テッキー「ドンチャンが来てから弟は変わっちまった」
僕「ドンチャンって誰?」
テッキー「お前らのお友だちだよ」

移住したばかりの住民、その名がドンチャンでした。
僕「怪しい!パッキーを殺した犯人はドンチャンだ!!
ついに犯人を見つけたゾ!!」
???「楽しそうだな、探偵ごっこは」
僕「ドンチャン!?」
ドンチャン「よぉ小僧」
ドンチャン「ツラかせや」
僕「!?」

第四話 名探偵、絶体絶命!

僕は言われるがまま、ドンチャンについて行きました。
ドンチャンはどこに連れて行くんだろう?
まさか!パッキーみたいに僕を殺すつもり!?
きっとそうだ!僕は殺されちゃうんだ!
そして食べられちゃうんだ!!!僕をミンチにして食べる気だ!!!ハンバーグにされちゃうんだぁ!!!
僕「ね、ねぇ、魚介なんていかが?伊勢海老あげちゃう」
ドンチャン「いらん」
僕「がーん」
僕は立ち入りが禁止されてる小人さんの居住区に連れられました。
ドンチャン「ここがパッキーの家だ。」
僕「なぬっ!」
ドンチャン「教えてやろう。俺が知ってるすべてを。」
僕「!!!」

第五話 島に歴史あり

ドンチャンは静かに語りはじめました。
ドンチャン「この島の近海にキノコ王国があるだろ?・・・」
キノコ王国は相次ぐクッパ大魔王の襲撃に悩まされていた。
何度も討伐したがクッパは懲りずにキノコ王国を襲った。
これに対処すべく、ピーチ姫は強力な武器であるファイヤーフラワーの安定した生産体制を模索した。
そして平和で肥沃なこの島に生産を依頼し、貿易協定が結ばれたのだ。
たぬきちにとって、この協定はまたとないビジネスチャンスだった。
しかし彼は大きな問題にぶつかった。労働力不足だ。
この島は人口が少ないうえに、住民たちは遊んでばかりで怠惰だった。
ドンチャン「特にオマエだ、ハナタレ。」
僕「グサッ!ハナタレって言わないで!」 
たぬきちは策を打った。移民の受け入れだ。
貧しい島から大勢のこびとが職を求めてこの島に押し寄せた。
小人はよく働き、瞬く間に島の財政は潤った。
巨万の富を手にしたたぬきちは島に自分の城を建造した。
僕「そ、そんなの知ってるよ!ずっと住んでるんだもん!それがパッキーの事件とどう関係あるさ!?」
ドンチャン「大アリだよ。パッキーはお前らが殺したんだ」
僕「!?」

第六話 パッキーの真相

テキパキ兄弟もまた、貧困から脱するためにこの島にやってきた。
たぬきちは労働者の士気を上げる目的で身分制度を実施し、階級に応じた服を与えた。
最上位の階級(黒服)は城での公務職を任され、豊かで安定した暮らしが約束された。
それ以外の小人はせまい居住区での暮らしを強いられ、過酷な肉体労働に従事した。
熱意に溢れたテキパキ兄弟は、寝る間を惜しんでテキパキ働いた。
テッキー「弟よ!ついに青帽子だ!あと一つで公務職だ!!」
パッキー「うん!もう少しで城内で働け、うぐっ…!」
テッキー「どうした?弟よ」
パッキー「な、なんでもないよ、お兄ちゃん…」

働きすぎたパッキーは激しい腰の痛みを抱えていた。
肉体は限界に近づいていた。
いま身体が動かなくなれば昇格は絶望的だ。
パッキーは焦った。
一刻も早く安定の公務職に就く必要があった。
パッキーは直談判をしに、たぬきちの屋敷に向かった。
パッキー「もうこの手しかない…!実績は十分に積んだはずだ…!」
その日は月に一度の住民会議の日だった。パッキーは会議に忍び込んだ。
そこでパッキーは耐え難い絶望を味わう。

第七話 小さなパッキーの 大きな痛み

僕「さて問題です!今月の僕は何回ハチに刺されたでしょう?正解は8回!ハチだけに〜!」
一同「ハハハ〜!おもしろい〜!」
パッキー「なに、この会…つまらないし…」
住民会議は会議と名ばかりのお茶会で、ろくに議論もせず与太話をしていた。
たぬきち「そういえばパッキーさんが腰痛そうだっただなも」
パッキー「!?」
たぬきち「もうダメそうだから"さよなら"するけど、皆んなはどうだなも?」
一同「お任せしまーす♪」
パッキー「僕が"さよなら"だって!?!?」
"さよなら"は島の隠語だ。
裁判で労働力にならないと判断された小人は
最下層の身分として廃棄場に捨てられる。
見下せる存在は労働者たちの生活の不満を和らげた。
そして「最下層になりたくない」という恐怖心から労働に邁進した。
たぬきちは彼らを島の発展に必要なゴミと考えていた。
傷ついたパッキーは、そっと屋敷を後にした。
しかし道中でついに腰の痛みが限界に達し、身動きが取れなくなった。
彼はもう一歩も歩くことができなかった。
パッキー「誰か、助けて…」
振り荒む雪に凍え、このまま凍死する己の姿が脳裏をよぎったその時、
パッキーはドンチャンと出会った。

第八話 紅いのパッキー

遠く離れた島の裏社会を統べるドン、それがドンチャンだ。
寡黙で狡猾なドンチャンは卓越した人心掌握術とカリスマ性で街のチンピラをまとめ上げ、一大ファミリーを築いた。
しかし激しい抗争の末に組織は弱体化し、
追われるように故郷を後にした。
そして流れ着いたこの島で、
ドンチャンはボロボロのパッキーと出会った。
ドンチャンは家でパッキーの手当てをし、事情を聞いた。
そして救いの教えを説いた。
ドンチャン「この女神像は自由と平等の象徴だ」
"自由と平等"
その教えは過酷な生い立ちのパッキーにとって、身が震えるほど感動するものだった。
パッキーの悔恨は怒りに変わった。
労働服を捨て、真っ赤な服に身を包んだのだ。
そして祈った。
パッキー「女神さま、私に自由と平等を」
ドンチャン「祈ってるだけでは変わらない。動くんだ。」
パッキー「動く?」
ドンチャン「この島の大多数は小人だ」
ドンチャン「ルールを多数決で決めることができれば、暮らしを変えられる。」
ドンチャン「身体の大きさは関係ない。」
ドンチャン「お前には島を変える力がある」
パッキー「!!」

第九話 さよなら パッキー

さっそくパッキーは小人たちに働きかけた。
パッキー「みんな!選挙をしてもらおう!この暮らしを変えるんだ!」
小人たち「・・・」
しかし小人たちは聞く耳を持たなかった。
妙な波風を立たさないで欲しい、彼らは変化を恐れていた。
一心同体だったはずの兄にも心無い言葉を投げられた。

テッキー「自分の努力不足をたぬきちさんのせいにするな!」
パッキー「お兄ちゃん…」
パッキーは孤立を深めた。
パッキーは諦めなかった。
方針を変え、住民に訴えることにした。
住宅街でビラを撒いたのだ。
パッキー「みなさん!協力してください!選挙をしたいんです!!」
しかし、その声が住民に届くことはなかった。
僕「なにか聞こえるなぁ、ハエかな?うーん、むにゃむにゃ。」
そして、その夜…
パッキーは亡き人となった。

第十話 無知の罪

僕「嘘だ!たぬきちさんが犯人だなんて信じられないよ!」
ドンチャン「現場にヤツの痕跡があった。」
僕「そんな…」
ドンチャン「元凶はたぬきちだが、お前らも共犯だ。
お前らの怠惰心がパッキーの身と心を苦しめたんだ。」
僕「そ、そんなの知らなかったんだから仕方ないじゃないか!」
ドンチャン「違う。お前は知らなかったんだじゃない。
無関心だったんだ。」
ドンチャン「テメェは贅沢に暮らして小人だけが働くいびつな状況を都合よく解釈して、問題にしなかった。」
僕「ギクッ!」
ドンチャン「小人を迎える立場のお前には、彼らの暮らしを保障する義務があった。
それを放棄し、たぬきちに全権を委ね、ひとつの責任も背負わずスローライフだと?
よく聞け」
ドンチャン「無知は罪だ」
ドンチャン「来い、ハナタレ。お前に償いのチャンスを与えてやる。」
僕はドンチャンの家に連れてかれました。
ドンチャンは小人さんの居住区に家を建てていました。
僕「こ、これは!?」
ドンチャン「改革派の連中だ。まだ少数だがな。」
ドンチャン「パッキーの死で立ち上がったんだ」
ドンチャン「お前に償う方法があるとすれば一つ。あいつらに協力することだ。」
僕「えっ!?」

第十一話 名探偵やーめた

た、確かに小人さん達には悪いことをしたけど、突然協力しろっていわれても…
そりゃ僕の力で島が変わったら凄いよ…
そしたら偉人さんだよ…歴史に残る偉人さん…
ぼ、僕なんかがそんなカッコいい偉人さんになんて…
な・る!!(どーん)
そんなわけで僕は名探偵改め、改革家になりました!
ドンチャン「まずは仲間集めだ」
僕「よっしゃ!」
僕「テッキー!一緒に島を変えようよ!パッキーの無念を晴らすんだ!」
テッキー「でも…、失敗したら酷い仕打ちを受けるんじゃないか…?」
僕「大丈夫!僕が説得するよ!僕は君たちに償わなくちゃいけないんだ!」
テッキ-「ありがとう…。俺も弟に償いたいことがいっぱいあるんだ…。」
住民である僕が参加したことで改革の気運が高まり、沢山の仲間が集まりました!
皆んなに勇気をあたえられたぞ♪
僕「さぁ、ひとり一票を実現しましょう!」

第十二話 我らの道

・・・・・
改革派は諜報員をたて、たぬきちを監視していた。
たぬきちの動向を把握した諜報員は本部に合図を送った。
「チャンスは今晩だ」
リーダー「みなの者!ついに時が来た!」
リーダー「今晩、我々は城に攻め入る!覚悟はできてるか!」
一同「おぉー!!」
僕「城を攻める!?ひとり一票を目指すんじゃなかったの!?」
ドンチャン「まずはたぬきちに制裁を与える。あいつはパッキーを殺したんだ。放っておくつもりか?」
僕「そ、そうだけど!無駄な争いはやめようよ!」
ドンチャン「これは奪われた尊厳を取り戻す戦いだ。無駄なことなどあるか。必要な争いだ。」
その時、僕ははじめて見ました…
ドンチャンが笑う顔を。
リーダー「我々は怒ってる!パッキーの声に真剣に向き合わなかったことを懺悔をさせてくれ!」
リーダー「何もしなければこの不平等は酷くなる一方だ!パッキーの死で我々は気づいた!」
リーダー「たぬきちはこの不平等に歩み寄る気はない!問題とすら考えてないのだ!」
一同「パッキーの死を無駄にするな!女神様、我らに自由の導きを!女神様、我らに自由の導きを!」
女神様、我らに自由の導きを!!
小人達の怒号は建物を揺らし、ほどなく島全体を揺らそうとしている。
しかし
そのすべてを
たぬきちは見ていた。
たぬきち「ふーん」

第十三話 雨、出陣。

ドンチャン「野郎ども!出陣だ!」
一同「うぉぉおおお!!!!!」
ドンチャンの合図で小人の軍勢は一気に城へ駆けました。
ドンチャン「俺たちも動くぞ」
僕「う、うん…」
軍勢が城に到着すると、城前には武装した上級職の黒小人が待ち構えていました。
赤小人「道を開けろ!さもなければ敵とみなす!」
黒小人「テロリストを駆逐しろ!」
城前は両軍一触即発の睨み合いになりました。
一方、僕とドンチャンは監視が手薄になった廃棄場に侵入しました。
ここには"さよなら"宣告された小人さんを捨てるための土管があり、城内と通じているのです。
城内の裁判所に潜入が成功すると、そこには…
たぬきちさんが待ち構えていました…!
たぬきち「目障りなドブネズミだなも」
ドンチャン「ツラの皮剥がしにきたぞ、バケダヌキ」
ついに2人が対峙しました…!

第十四話 これは訓練ではない

城前の均衡は破られ、白兵戦となりました。
皮肉なことに小人同士の合戦です。
これを受けて島内全域に緊急事態宣言が発令されました。
しずえさん「緊急事態です!みなさ〜ん!ただちに避難してください!」
しずえ「これは訓練ではありません!」
しずえ「繰り返します!これは訓練ではありません!」
しずえ「訓練したことないんですけどー!」
・・・・
僕「たぬきちさん!どうしてパッキーを殺したの!」
たぬきち「そもそも小人たちは労働に同意して島に来ただなも。なのに僕たちと同じ権利を求めるのはおかしな話だなも。」
ドンチャン「お前はあいつらの生活を保障もせず、労働資源としかみていない。」
たぬきち「僕たちが求めたのは労働資源だなも。」
たぬきち「ね?」
僕「で、でも小人さんもお友達だよ!」
たぬきち「じゃぁ君も働く?ハナタレの君が?」
僕「ハナタレやめて!!」
たぬきち「確かに僕は強欲だなも。でもみんなの事を守るのも僕の大切な仕事だなも。」
たぬきち「僕はこの島の住民が大好きだも!」
僕「えっ!!」
僕「ねぇ、やっぱりたぬきちさん悪い人じゃないんじゃ…」
ドンチャン「黙ってろ、ハナタレ」
ガーン
たぬきち「君だって僕の座を奪うために彼らを戦闘員として使ってるだなも」
ドンチャン「俺ならお前より上手く手懐けられるね」
黒小人「たぬきち親分!報告です!」
黒小人「テロリストどもを包囲しました!!」
たぬきち「よくやっただも!」
・・・・。

第十五話 たぬきち裁判

ドンチャン「めでてぇツラができるのも今のうちだ。この騒ぎをキノコ王国が知ったらどうなる?あそこは大国だぞ。」
たぬきち「キノコ王国との連絡網は厳重に管理してるだなも。一網打尽にしたいま、何もなかったのと同じだも♪」
ドンチャン「おたくの事務員さんは穏やかじゃなかったぜ?」
たぬきち「ん?」
🕰️数日前
しずえさん「たぬきちさんが犯人!?」
ドンチャン「最大の難点はたぬきちが全権を握ってることだ。誰も奴を裁くことができない。そこで相談がある・・・」
しずえ「わかりました…。悲しいけど、間違ってることは正さなくちゃダメ。」
???「ごきげん麗しゅう、ごきげん麗しゅう。たぬきち殿、いらっしゃいますか?」
一同「ピーチ姫!?」
ピーチ姫「皆様ごきげんよう。先日、しずえ様から御島の報告を受けました。」
たぬきち「しずえさんが!?」
ピーチ姫「まず殺人事件に関して。キノコ王国としては島の事件はそちらのルールで裁かれべきと考えます。」
ピーチ姫「一方で強力な武器であるファイヤーフラワーの生産は危険をともないます。御島が平和だからこそ依頼できたのです。
人権の軽視とそれに伴う治安の悪化は断固として見過ごせない問題です。」
たぬきち「ちょっと待つだなも!」
ピーチ姫「また、事件を受けて調査を行った結果、たぬきち氏はファイヤーフラワーを他国に無断輸出していることが発覚しました。
御島のファイヤーフラワーは種子を含めて、すべて我が国に所有権があると協定書に明記されています。
これは我々の海域の安全保障を脅かす重大な事態です。」
たぬきち「待つだも!他国輸出は貴方と密約したはずだなも!!僕たちは利益を共有してただも!!」
ピーチ姫「そのような協定を結んだ証拠があるんでしょうか?」
たぬきち「そんな!!!」
ドンチャン「梯子を外されたようだな。哀れなタヌキだ。」
ピーチ姫「たぬきち氏の行いは我が国との友好関係を著しく傷つけるものです!」
ピーチ姫「よって我が国といたしましては、貿易の即時停止と損害賠償の請求を行います。」
ピーチ姫「そして!キノコ王国の法に則り、直ちにたぬきち氏を拘束し、身柄を我が国に受け渡すことを要請いたします。」
ドンチャン「お姫さん、身柄の受け渡しは容赦して欲しい。こちらのルールで裁かせてくれ。」
ドンチャン「バケダヌキが異国の地でブタ箱に入るなんて甘い裁きだ。お前はこの土管の向こうでゴミになってもらう。」
たぬきち「僕を"さよなら"するつもりだなも!?」
ドンチャン「残りの人生、小人たちと同じ苦しみを味わえ。」
僕「あわわわわ!どうしよう!」
黒小人「たぬきち親分!大変です!」
黒小人「出荷予定のファイヤーフラワーを積んだトラックが行方不明です!」
たぬきち「どういうことだなも!?」
黒小人「この騒動で警備が手薄になってる間に何者かに強奪されました!」
ドンチャン「まさか!?」

第十六話 我らの怒り

🕰️出陣前
リーダー「ファーザー!」
リーダー「もしも…、もしもだが我々が制圧された時にはトラックで城に突撃しようと考えている!!」
 ドンチャン「おいおい、自殺部隊はいらねぇぞ」
ドンチャン「それにファイヤーフラワーはたった一輪で大魔王クッパを倒せる威力があるんだ。
島ごと吹き飛ばすつもりか?」
リーダー「敗北に喫して今より苦しい日々を送るなら、天国で自由と平等を得ることを我々は望む!!魂は自由だ!!」
 ドンチャン「冷静になれ。感情に身を任せるな。覚悟だけ受け取っておく。」
・・・・。
ドンチャン「あの馬鹿ども!!!」
リーダー「我々の怒りは冷えることはない!」
リーダー「我々の魂は自由である!」
リーダー「たぬきちに制裁を!我らに!自由を!!」
ドンチャン「おい!今すぐ逃げるぞ!!」
僕「ど、どうしたの!?」
ドンチャン「あいつら!この城に突っ込む気だ…!」
僕「えぇぇえ!!!!?」
女神様!我らに自由の導きを!女神様!我らに自由の導きを!!

第十七話 生きてるって感じ

突撃したトラックは大爆発を起こし、城は吹き飛びました。火災はファイヤーフラワー畑にも伸びて、
島は業火に包まれました。
降りしきる雨も虚しく七日七晩、火が消えることはありませんでした。
島は死にました。
ドンチャンは姿を消し、避難した住民は戻らず、小人さんは全滅しました。
そして、僕ひとりが残りました。
残ったことに意味はありません。
わからなかったのです。
なんでも人任せにしてきたから、
自分で決断ができなくなっていました。
僕は泣きました。
なぜ泣いてるのかもわかりません。
勝手に涙が溢れるのです。
寂しいのか、悲しいのか、虚しいのか、不安なのか、罪悪感なのか・・・。
自分の心も見失いました。
心がわからないのに涙は自然に湧いて、
自分のことがわからないのに泣いてるのは本当で、
涙だけが自分のようでした。
やがて流した涙でつぼみが咲きました。
島は死んでなかったのです。
美しい、と思いました。

僕は胸が震えました。
少しだけ心が戻った気がします。
ここから育ててみようと思います。
自分の力でやってみます。
バカだけど、学んで働くことを誓います。

自分の食べ物は自分で作る。
そんな当たり前のことも、今の僕には大事業に思えるけど。
いつか新しいお友達をお招きして、争いのない優しい街を作りたいです。

だからもう、
鼻は垂らしません

◆制作後記◆
 最後までご覧いただきありがとうございます。これは僕の6年間の遊びの記録になります。
 2020年、コロナ禍で緊急事態宣言が発令された時にはじめてゲーム機を購入し、「あつまれ どうぶつの森」をプレイしました。多くの人がそうであったように僕もまた、このゲームが鬱蒼とした現実社会からの逃避先になり、心が救われました。
 自分の島で起こる出来事を想像しながら島クリをし、アプデで家具やキャラクターが増えるごとにその世界が広がっていきました。マリオ家具の実装、新規住民ドンチャンの追加、カイゾーさんのリメイク、そして二月の大型アプデでの夢の島の実装。あつ森の歩みと共に拡大した妄想の産物です。

 物語は移民問題を取り扱っています。ちょうど昨年(2025年)の参議院選挙の争点にもなっていましたが直接関係はありません。
 それよりも2021年、名古屋の出入国在留管理局に収容されていたスリランカ国籍の女性ウィシュマさんが、十分な医療を受けられず死亡した事件に、この国の安全圏に暮らす一人としてショックを受けたことが色濃く反映されています。とはいえウィシュマさん事件を俎上にあげる意図もありませんでした。
 自分でも作ってる途中で彼女の事件を思い出しました。ずっと罪悪感のようなものが意識の中にあったんだろうなぁ、と己を省みています。

 小人たちが反乱を起こす動機は、労働環境や権利の改善で十分だったのですが、宗教的なモチーフを含みました。
 自分が好きな映画『マッドマックス 怒りのデスロード』のウォーボーイズと、ウォーボーイズのモデルである大日本帝国のカミカゼ特攻、それにヨン・サンホ監督の作品群にみられる宗教団体の暴走もあります。
 信仰や愛国心で結ばれたコミュニティは暴走するとタチが悪い、って意識が自分の中にあるのでそうなっていきました。

 たぬきちには制裁を与えねばなりませんでしたが、暴力で解決したくなかったので裁判所で決着をつけました。とはいえ大国の一方的な正義に裁かれるのも不快なのでピーチ姫も問題のある人物にしました。ドンチャンも小人を利用してるフシがあるから笑顔で終わらせたくない。この争いに勝者はナシ!ってなわけで全部ぶっ壊すことにしちゃいました。ちゃぶ台返し〜♪
 いくつかルートは考えましたが納得いかなかったのでこうなりましたー。

 最後の展開は『新しい町 / T字路s 』という曲をイメージして作りました。町の復興を力強く歌った大好きなブルース曲です。


 兎にも角にもとても楽しい時間でした。ありがとう!どうぶつの森!!いつか新作が出る日を楽しみにしていまーす!!

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