青い春 豊田利晃 (2002)
「九条、俺も連れてってくれよ」
16歳くらいの時に松本大洋原作でミッシェルの曲が使われている映画と聞きつけ、これは観るしかない!!と、すぐレンタルビデオ屋に駆け込んだ。
ブランキーもミッシェルも10代前半に運良く出会えたから38歳の今になっても好きでいられるのであって、この映画も10代で出会えた事が今でも心に残ってる理由のひとつだろう。
ベランダゲーム、ヤンキーの友達、真面目に勉強してる同級生、面倒くさい先輩、生意気な後輩、仲間内でも行われる格付け、卒業後の進路、めんどくせー、とりあえずサボール行く?なんてだらだらした日常を自分の高校時代と重ねて観ていた。
10代の頃の閉塞感、このさき別にいい事ないっしょ。という頭打ち感と諦め。それでも否応なしに迫られる「次」への決断。
堀は九条に鼻を折られて離脱、雪男はペラペラ五月蝿い太田を刺し殺して逮捕、木村はあっさりヤクザの世界へ、それぞれが次へ向かう中、青木は自分のエゴを番長なんだから、示しがつかねえ、雪男や木村に顔向けできねえ、なんて取ってつけたようなセリフで後輩を痛めつけて九条と一緒に大好きな学校に留まろうとする。その様が見てられない九条は「なんでもかんでも俺に頼るな」と突き放し学校を辞める決断する。
青木は屋上から下校する九条へ向けてスプレー缶を投げつける。九条は気にも留めず。そのまま朝まで立ち尽くした青木が決断した「次」とは。
「自分が欲しいものを知ってる奴が怖いです」
仲間が次へ進む中、結局、九条は決断を放棄して怖い奴らから逃げただけなのかもしれない。
2025年10月5日にシネマート新宿で再上映した際、豊田監督が実は家庭のシーンも撮る予定だったけど予算と時間がなかったと言っていたが家庭のシーンは無くて良かったのかも。(青木が髪を剃り上げてきて母親が「あんた、どうしたの…」的なシーンは見てみたいが)
当初ラストは「世界の終わり」の予定と聞いて漠然と九条を思い浮かべるラストもいいけど「ドロップ」で朝まで屋上に立ち尽くし行動を移すまでの青木に想いを馳せるラストが好きだ。
楽曲も全編ミッシェルでいくつもりだったが許可が降りなかったとの事。当時ほぼ完成しきっていたミッシェルだけよりもBLONDIE PLASTIC WAGONの若手っぽさもこの映画にばっちりハマってよかったので様々な偶然がこの映画を作り上げたのだと感慨深い。
千原ジュニアと豊田監督の対談でジュニアが「豊田はずっと垣根を超えたがってたんやなあ」と青い春の感想を言っていたのが印象深い。
最新作の「次元を超える」は豊田監督の集大成なんだと観た後に感じた。
LIVE版ドロップを最高の環境で聴ける映画でもありミッシェルファンの方は是非。
観る度に雪男が太田を刺し殺した後の「雪男くんは将来、何になりたいの?」で泣いてしまうし、青木を見てると学生の頃、無邪気に慕ってくれる友人を邪険に扱ってしまったことを思い出す。今思えばあいつはただただ良い奴なのに悪かったなあと、ちょっと切ない。

再上映の際に展示されたセット。
豊田監督、シネマート新宿、ありがとう。
