見出し画像

溢れる熱気とエネルギー 〜ハルビンで受けた「文化の洗礼」〜


【はじめに】


これまで、ドイツ・ミュンヘンの「日曜日は街が眠る?」や、4回にわたるアメリカの「州をまたげば別の国」シリーズをお届けしてきましたが、お楽しみいただけていますでしょうか。

今回はガラリと趣を変えて、中国・ハルビンの様子をお届けします。私にとって初めての中国。しかも当時は、日本人が現地当局に拘束されたというニュースが流れた直後の出張でした。街を散策する際も、写真撮影一つに「おっかなびっくり」だった当時の旅路を振り返ります。

【成田空港からの旅路:果てしなく続く大地】


2018年4月。整備受託先の航空会社がハルビンへ新規就航するための事前準備として、ハルビン太平国際空港へと向かいました。

成田から中国系航空会社の機材に揺られて約3時間。眼下の雲間から覗く「大地」の景色は、飛んでも飛んでも一向に変わることがありません。その広大さと、初めての国への緊張感も相まって、フライト時間は実時間以上に長く感じられました。

かつての「満州(現在の中国東北部)」の中心都市であったハルビン。先人たちがこれほど遠く、広大な土地までやってきたのかと思うと、機内で一人、深い感慨にふけっていました。

(実際の風景:ハルビン郊外、滞在先ホテル付近の様子)

【空港周辺の風景:静寂と緊張のシャッター】


ハルビン空港を一歩離れると、滞在先のホテル周辺はまだ道路の舗装も十分ではなく、車はガタゴトと激しく揺れながら進みます。一方で、空港周辺は驚くほど綺麗に整備されていました。

ふと空を見上げると、空港を飛び立ったばかりであろう航空機が、細く長い飛行機雲を描いていました。航空業界に身を置く者として、その美しさに思わずカメラを向けましたが、頭の隅には「拘束」のニュースがよぎります。

「監視員のような人が現れて、職務質問を受けるのではないか……」とヒヤヒヤしながらシャッターを切ったことを、今でも鮮明に覚えています。

(実際の風景:空港付近で見上げた、静寂を切り裂く飛行機雲)

【中国の食堂での熱気:並ぶ文化、叫ぶ文化】


写真撮影で呼び止められることもなく、胸をなでおろしたのも束の間。今度は中国の「食のエネルギー」に圧倒されることになります。

昼食のために入った食堂は、凄まじい熱気に包まれていました。そこには「整列して順番を待つ」という概念はなく、大勢の人だかりをかき分けて注文した者が勝つ、という世界。意を決して人混みに分け入り、料理名を叫んでみましたが、私の声は全く通じません。

二度、三度と空しく声を張り上げる私の姿に見かねたのは、同行していた同僚でした。彼は慣れた様子でコックさんとの「間合い」を詰め、私の代わりに力強く注文を通してくれました。ようやくありつけた料理の味と共に、「ルールが異なる場所で生きる逞しさ」を痛感した場面でした。日本のような整列文化のありがたみを、これほど感じたことはありません。

(写真はイメージです:活気と熱気に溢れる中国の食堂風景 / Adobe Firefly)

【おわりに】


ハルビンでの「洗礼」とも言える昼食のエピソード、いかがでしたでしょうか。文化の違いは、時に戸惑いを生みますが、同時にその国の持つ強烈なエネルギーを感じさせてくれます。

次回は、一転してヨーロッパへ。非常にスリリングでありながら芸術にあふれたオランダの街並みや、何度も訪問して分かったシンガポールの魅力などを順次お届けする予定です。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


いいなと思ったら応援しよう!