フリーズしそうな片隅で... ~賞味期限切れのあなた~
とある寒い室内で
賑やかな会話が聴こえてきた。
あら、今日は私がトップバッターみたい♪
皆様、行ってきま~す 。
おや、珍しく朝からなのかい?
行ってらっしゃいマイちゃん!
最近は外の空気は暑いから
冷えてるこの部屋でゆっくりしたいわ。
どうやら、この部屋は
人気者からお呼びがかかるらしい…
マイちゃんとブレ子の会話を聞きながら
新入りのエダモンは様子をうかがう。
そろそろ、呼ばれなきゃ
実力発揮の期限が切れちゃいそうだよ~!
はす向かいに座るGO坊の嘆きを聞いた
カンショ大学が呟く。
オレは、毎年この時期になると
嫌でもお迎えが来るのさ!
ここに入った途端に呼ばれるのもつらいぜぇ〜。
カンちゃん、さすがだわ〜!
まぁ、でもこれからの寒い季節は
GO坊の出番も増えんじゃないのかい?
と、他人事のようなブレ子はベテランで
この部屋でもトップクラスの人気者。
なんたって、毎朝のように呼ばれるらしい。
そうよ、いつもあたしたちは
いいコンビじゃない…
もう少し待てば…きっと出番はあるはずよ…
と、奥で眠そうなカシワンの独り言。
ガラガラガラ~!
突然、扉が開くと
一気にカシワンとGO坊が呼ばれた。
ほらほら…
やっぱりあたしたちっていいコンビよねっ!
カシワンと一緒に、ホッと胸をなでおろす
GO坊であった。
ところで…
俺の出番はまだなのかい?
出番の期限が明日で切れちまうんだが…?
あら、ヒィーモさん。
お久しぶりに声を聴くわ~!
やっぱり、ヒィーモさんのお声は
味わい深くて良いお声だわ。
ブレ子の声に機嫌を良くしながらも
ため息をつくヒィーモ。
ヒィーモさんは時間が経つほどに
深味が増すから、ギリギリくらいが
ちょうどいい塩梅なんじゃないかしら?
お隣の部屋にオロシさんが応援に来たらしいわよ。
そうだといいんだがなぁ~!
もう少し粘ってみるか…
………
皆さんは羨ましいでございます。
私なんぞは、年に一度しか…しかも、
年末年始にしか日の目を見ませんのに。
と、一番奥でじっと寝ていた
ご意見番がポロリとこぼす。
あぁ、そうだったわ〜!
ヒダカンさんを見習わなきゃ、私達。
腕を磨いて、毎回同じ時期に
呼ばれるようにならなきゃだわねぇ。
と、ブレ子がすかさずフォローしていると
ヒダカンが続けた。
実をいうとね…
出番の期限は、あるようで無いような…
本当のところは、呼ばれる私には
分からないのでございますよ。
それは、呼んだ人の
腕によるものでございますし
私はただ、ただ…この部屋でじっと
ストレスを溜めずに寝待ちしているだけ
なのででございますよ。
その会話聞きながらエダモンは思った。
なるほど…じゃあ、毎週末の夜には
呼ばれやすい場所に居ることにして
なるべくストレスを溜めずに寝ていようと。
…………
土曜の夜。
なにやら人の賑やかな声が近づいてくる。
ガラガラと扉が開く。
「あっ、枝豆買ってたんだ!じゃあ、今晩はコレで乾杯しましょうよ!」
エダモンは密かにガッツポーズをした。
ヒィーモはブレ子に慰められながら
一人寂しく、肩を落としていた。
フリーズしそうな
冷凍庫の片隅で
密かに繰り広げられる
我家の冷凍食材たちの囁きが
聴こえてくるような…ないような。
干物って忘れやすい…私なのだった。
今日の登場人物(食品)たち
マイちゃん … 冷凍ご飯
ブレ子 … 冷凍ブレッド(パン)
エダモン … 冷凍枝豆
GO坊 … 冷凍ささがきゴボウ
カンショ大学 … 冷凍大学芋
カシワン … 鶏肉
ヒィーモ … 干物
オロシ … 大根
ヒダカン …日高昆布
「賞味期限切れのあなた」といえば…
またまた、食品しか思いつかない私です。
私の稚拙な創作をここまで
お読み下さり有難うございました。
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