活動が広がるときこそ、事務局を整える
はじめ
私が監事を務めているNPOの定期監事監査がありました。
監事監査というと、会計帳簿や決算書を確認する仕事をイメージするかもしれません。
もちろん、それも大切です。
ただ、今回の監査で気になったのは、数字そのものよりも、その数字の向こう側にある「事務局の体制」でした。
活動が活発になるほど、事務局の仕事も増える
この団体では今年度、地域での啓発活動やイベントが例年以上に活発になっています。
活動が広がり、多くの人に届くことは、とても喜ばしいことです。
一方で、活動が増えれば、当然ながらその裏側の事務も増えます。
長く団体を支えてきたスタッフの退職も重なり、少数の専従スタッフに仕事が集中していました。
さらに、団体には「使用済み切手」のような、市民の善意によって集まってくるものもあります。
一つひとつは小さな作業でも、仕分けや整理には時間がかかります。
活動が広がることと、それを支える事務局の体制を整えること。
この二つは、セットで考えなければいけません。
「人を増やす」だけではなく、仕事のやり方を変える
今回の監査では、いくつか具体的な提案をしました。
一つは、会計業務のクラウド化です。
これまで手作業で行っていた入力を減らせるよう、無料で利用できる仕組みへの移行を提案しました。導入時の設定や操作については、私も会計専門家として、監事の範囲で関与します。
もう一つは、ボランティアの関わり方を細かく分けることです。
「一日イベントを手伝う」となると参加できる人は限られます。
でも、
「使用済み切手を仕分ける」
「チラシを三つ折りにする」
くらいなら、少しだけ手伝える人がいるかもしれません。
仕事を小さく切り出して、単発のボランティアを募集できる仕組みとつなげる。
事務局が全部抱えるのではなく、「ここだけ誰かにお願いできませんか」と言えるようにすることも、組織を続けるための工夫だと思います。
人を頼るなら、ルールも必要になる
一方で、人にお願いすれば、それだけで解決するわけでもありません。
新たにスタッフを雇ったり、有償で活動をお願いしたりするのであれば、雇用なのか、業務委託なのか、あるいはボランティアなのか。
その境界を曖昧にしないことも大切です。
善意で始まった活動ほど、このあたりが曖昧になりやすいものです。
人を増やすことと、安心して関われるルールを整えることも、やはりセットです。
「体制を整える」ことも事業の一つ
そして最後に、次年度の事業計画に、
「スタッフの確保・育成と事務局体制の強化」
を盛り込むことを提案しました。
活動そのものだけが「事業」ではありません。
その活動を続けられる人や仕組みをつくることも、団体にとって大切な仕事です。
特に活動が広がっている時期には、目の前の事業をさらに増やすだけではなく、一度足元を見て「この体制で続けられるだろうか」と考える必要があります。
監事監査は、間違いを探すためだけの時間ではありません。
数字や組織の状況を手がかりに、
「この活動を続けていくために、今、何を整えておく必要があるのか」
を一緒に考える機会でもある。
税理士として、そしてNPOの現場に関わる者として、そんな監事の役割も大切にしていきたいと思っています。
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