【画廊探訪 No.192】メルヘンの森で、枝を折って――Gallery Face to Face 「TSUMUGI」 Römell Solo Exhibition に寄せて――
メルヘンの森で、枝を折って
――Gallery Face to Face 「TSUMUGI」 Römell Solo Exhibition に寄せて――
襾漫敏彦
Römell(ロメル)、そのウムラートが混じる綴りと、語末の音の印象から、作者を、男性だと思いこんでいた氏に、名前の由来を尋ねた。若いころ、ロックとメルヘンが好きで、その二つを結び付けてロメル、Römellとしたそうである。

ロメル氏はアクリルをベースにしながら、様々な技法を組み合わせて、やわらかな幻を現(うつつ)に表す作家である。彼女は、美術の教育を修めた後、イラスト、グラフィックデザイナーの分野で仕事をしていたが、自分の表現の可能性を求めて画家へと転身した。
独立後、マーケットに通用するものとして幻想的な作品を練りあげていたが、今回の個展『TSUMUGI』では、その制約をはずすように抽象表現の世界へ踏み出す。そのためか、彼女自身の性質が、より色濃く表れていた。

ロメルは、ジェッソや砂といったベースと絵具で起伏を加えて支持体を作成し、その上に図像を加えていく。それは、森や草原といった俯瞰した立体地図に存在を加えていく作業に似ているかもしれない。大地(カンバス)の高低の違いによって、光は、瞬くように創造物に独自の輝きを与え、陰影で動きを伝える。

かつて、『詩とメルヘン』という雑誌があった。どこか甘ったるく、一冊で敬遠してしまった。そのメルヘンとは、寓話であるが、あらわれる存在は、宗教画のアトリビュートのように、どこか昔から伝えられてきたイメージや言い伝えをまとった過去の反映でもある。
そして詩、詩は、伝えられた言葉を組みあわせては、世界、環境とわたしの違いを吐き出そうとする努力である。

詩とメルヘン、ロックとメルヘン、魂の森にまどろみながら、その枝を折るふるまい、それはわたしを育んだ世界にありながら、自分にあわせて編み直す、紡ぎなおそうとする輪廻の中の永劫の営みなのだろう。

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Römell(ロメル)さんのサイトです。
