展示感想:<道程> 船山佳苗 展「景色の架け橋」 Gallery Face to Face 7.4Fri.ー7.13Sun.
Gallery Face to Face、船山佳苗 展「景色の架け橋」行ってきました。
今回の展示のテーマは風景画ですが、非常に興味深い特徴があります。今回の作品は奥行きというか、ここと向こうとの二元性を感じます。

風景というのは、ある場所から眺めたものですが、今回の作品は、どこか作者の<所在>が滑り込むように現れています。
上の作品でも、下半分は、自分のいる場所の姿、そして上半分は眺めて見えたものという感じです。
この絵を逆さにしてみるとその二つの分離がはっきりしてきます。

絵の上部を取りまとめる中心と、絵の下部を取りまとめる中心が明確に異なるのです。
僕らは現実に生きています。でも、一歩、未来へと踏み出そうとする時は、その風景は未来へ、理想へと繋がっている。今回の船山さんの絵は、理想という夢の世界と、現実に縛られている私の身体性、その二つが織り込まれているようです。
同じ絵を九十度回転させると、その二つがはっきりします。

遠近、奥行きを持ちながら、その向こうが実は反転して覆い被さっている、そんな二重性を感じました。

未来という理想に向かう自分を、回帰的に表される、つい高村光太郎の「道程」<僕の前に道はない、僕の後ろに道ができる>を思い浮かべました。

この作品は、上下だけでなく左右が強くあらわれて来ています。具象から生まれる抽象ですが、抽象は、みるものをして、己の意識の底を引き上げるだけでなく、作者をして、己の無意識を自覚させるものでもあるのだと得心しました。

描くつもりのないものが描かれていく、そのことを実感するような個展でした。
まだ、続きますので、よければ足を運んでください。
