今年の夏の「危険性」について
高校野球の地方大会も最終盤だ。今年も各地の大会に行ったが、初めの内は「今年の暑さは大したことない」と思ったのだが、7月半ばから強烈に暑くなったように思った。
今季はついにプロ野球のファーム・リーグの試合が中止になったが、今年の暑さは昨年とはかなり違う印象だ。
そして今年の方が「危険」だと思う。(上掲写真は7月23日の福岡大会、東筑のスタンド)
気象庁の発表をもとに、昨年と今年の6月15日から7月24日までの「真夏日(最高気温30度以上)と猛暑日(気温差35度以上)を観測した地点数の推移を比較するグラフを作った。
「真夏日」の推移

観測地点は全国で914か所。
昨年、最初に真夏日を記録したのは5月5日、5月21日は1か所だけだが猛暑日を観測するなど、非常に夏の到来が早かった。梅雨明けも沖縄が6月7日頃、近畿が6月27日頃、関東甲信が6月28日頃と6月中だった。
まだ梅雨の期間中から気温は上昇し、6月19日には598か所で真夏日となった。いったん落ち着いたが6月末から7月にかけて、つまり夏の地方大会の開催日前後には700か所以上で真夏日になった。
これに対して今年は、最初に真夏日を記録したのは5月2日、猛暑日も5月18日には記録していたが、6月以降、気温が低い日が続き、7月を過ぎても真夏日の地点は100か所前後で推移した。
これが急上昇したのは7月9日、一気に544か所で真夏日を記録、ここから急激に暑くなった。梅雨明けは、近畿地方が7月8日頃、関東甲信・東海地方が7月20日頃になった。

猛暑日の推移

昨年の地方大会開催時期にはかなりの地区で最高気温が35度を超えていた。
そこから7月中旬に一度下がって、20日過ぎから再上昇したのだが、今年は7月7日まで長く酷暑日がなくてそこから急上昇して7月21日には300か所を超えた。
昨年は6月ころから真夏の暑さが到来し、中だるみの後急上昇したが、今年は7月になっても「死んだふり」で、7月10日ころから突然「猛暑」「酷暑」がやってきたことが分かる。
準備不十分のままに夏を迎えた
端的に言えば、今年の夏の方が「危険性」が高い。
昨年であれば6月に入ってから真夏日、猛暑日が増えていったから、多くの人は「夏に慣れる準備」ができた。
夏の暑さに肉体が順応することを「暑熱順化」という。2週間ほど暑い環境で活動すれば深部体温が下がって「暑熱順化」ができるという。
高校野球部で言えば、昨年は地方大会の前の時期にすでに気温が上がっていたから、選手たちは暑い環境で練習することで「暑熱順化」が完了して、そのまま地方大会に臨むことが出来た。
しかし今年は地方大会が始まっても暑くならなかった。そして突然、7月15日ころから猛烈な暑さになった。「暑熱順化」できずに苦しんだ選手が多かったのではないか?
7月22日、ロッテ浦和球場のファーム・リーグ交流戦の千葉ロッテマリーンズ対オリックス戦が、猛暑によって試合中止となった。この日は今年最多の298か所で猛暑日、4か所で40度以上の酷暑日となった。浦和ではこの日の午後2時には38.7度を記録している。
プロ野球選手は、高校野球選手よりも、練習はハードだが専門のトレーナーや医療スタッフもいて「暑さ対策」は、充実しているが、それでもその試合では2名が熱中症になったという。
今年は暑さ対策が不十分なままに夏を迎えたために、リスクが高まったといえる。
これからさらに暑くなる
それだけではない。気象庁は今年の夏の気温は全国的に平年より高いとし、特に東日本や西日本では、最高気温が40℃以上となる「酷暑日」が観測される可能性があるとしている。
残暑の期間は昨年よりも短く、秋の到来は昨年よりも早いとされるが、これから8月いっぱいは「去年の夏よりきつい」と覚悟すべきだろう。
高校野球は今年も一部が「朝開催」と「午後開催」の二部制になっているが、8月14日以降は第1試合が13時30分からになっている。その頃には選手は「暑熱順化」で来ているかもしれないが、観客や応援団には厳しい状況に置かれる可能性があるだろう。
ファーム公式戦が厳しくなった
そしてプロ野球、少し前まで1軍でも7月に屋外球場で「午後4時プレーボール」という試合があったが、さすがに今はドーム球場以外は午後6時プレーボールになっている。
しかしファーム・リーグはまだ昼プレーボールの試合がかなりある。二軍本拠地の中にはナイター施設がない球場が
ロッテ浦和球場(千葉ロッテ)
ファイターズ鎌ケ谷スタジアム(日本ハム)
ナゴヤ球場(中日)
と3つある。こうした球場ではデーゲームをせざるを得ないのだ。
中日ドラゴンズは、急遽、ナゴヤ球場の試合をバンテリンドームに振り替えているが、当然、コストは上がるにしてもファームの試合体制を維持するためにもこうした措置が必要になってくるだろう。
独立リーグなどはさらに危険な環境で野球をしているが、日本野球はそろそろ「7,8月」をシーズンから除外することを真剣に検討すべきではないか?

