徒然BLUEなるままに──余白メモvol.5(望遠鏡と蜂と人)
可視と不可視のあいだ
NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡。
可視光ではなく、赤外線で宇宙を眺める。
人間の目では暗く見える星雲も、
赤外線では、まったく違う表情を見せる。
塵の奥に隠れていた星の誕生が、
ふっと浮かび上がる。
蜂は紫外線を見る。
人間には見えない「ネクターガイド(※)」が、
彼らにはくっきりと見えているらしい。
しかも蜂は赤が見えない。
つまり、
同じ花を見ていても、
見えている世界はまるで違う。
※蜜のありかを知らせる印(花蜜標識、蜜標)
人間が見えるのは「可視光線」。
でもそれは、
人間にとって“見えるから”可視光なだけ。
ネーミングからして、
完全に人間都合。
世界の基準を、
自分の感覚に合わせて名付けている。
宇宙の95%は
ダークマターとダークエネルギー。
僕らが理解しているのは、
せいぜい5%ほど。
それなのに、
見えないもの、
測れないもの、
再現できないものを、
つい「ないもの」にしてしまう。
赤外線で見れば星が生まれ、
紫外線で見れば花が光る。
もし、
僕らの感情にも“赤外線モード”があったら?
もし、
社会にも“紫外線フィルター”があったら?
今は見えていない何かが、
浮かび上がるのかもしれない。
世の中は、
目に見えるものだけで
できているわけではない。
むしろ、
見えないもののほうが
圧倒的に多い。
それを忘れた瞬間
世界は急に小さくなる。
……だから、
少しだけ余白を残しておく。
見えないもののために。
《了》
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