【ES015】エッセイ『望んだもの、与えられたもの』-RedピルとBlueピル-(vol.15)
『望んだもの、与えられたもの』-RedピルとBlueピル-
「選択肢は二つ、RedピルかBlueピルか」
映画『マトリックス』🎞️のモーフィアスのようにカッコよく提示されたわけではないが、BLUEは目の前の小さなカプセルを見つめていた。花粉症の市販薬ではない🤧
Redピル——すべての真実を知る。だが、知ったからには後戻りできないかもしれない
➡️安定した生活を失ったり人生が根底から覆るとしても、真実を知りたいのか⁉️
Blueピル——心地よい現実のまま、これまで通りの安定した世界に留まれる
➡️満ち足りた生活や幸せな人生、しかしなにも知らない状態であり続けたいか⁉️

1999年の映画『マトリックス 』
に使われた印象的なモチーフ
「当然、Redピルでしょ!」
BLUEは迷いなく赤いカプセルを手に取った。
・・・というか、『あと先あまり考えずに』が正しい表現かも知れない
ゴクリ。
「うっ……!」
次の瞬間、視界が揺らぎ、周囲の景色が変わり始めた。
目の前に現れたのは、一匹の🔵青いザリガニ🦞だった。
「お前は……?」
「マロンだ。」
「ウチの愛猫娘🐈がこんな姿に😭」
「ネコ? マロンって言ったら、栗🌰?ってツッコむのが普通だろ〜💦」
「なんだ、お前の『普通』って❓
BLUE家では、マロンと言ったら、可愛いネコ娘のことなんだよ‼️」
「なんか調子狂うんだよな〜 まぁいい。俺は、ザリガニのマロンだ。たまに青い個体が現れるレア種さ。」
ーーBLUEは混乱した。今更だが、なぜ、ザリガニが喋るのか?
そして、なぜ赤ではなく青い個体なのか?
マロンは続ける。
「本来、ザリガニは赤い。でも俺みたいに希少な青い個体もいる。
お前、人間界でも赤が主流なの知ってるか?」
「レーザーとか? 赤色は波長が長いから、昔からよく使われてるよね。」
「そうそう。でも青色レーザーが登場したとき、世界は大きく変わった。
日亜科学の中村修二氏が開発したことで、技術革新が起きたんだ。」
「赤いバラも青いバラもそうだよね。青いバラなんて、昔は『不可能』の象徴だったのに、今は人工的に作られてるし。」
マロンはハサミをカチカチと鳴らしながら頷いた。
「つまり、少数派の青が世界を変えることもあるってことさ。」
BLUEは、ふと自分が選んだRedピルを思い出した。
Redピル——すべての真実を知る。だが、知ったからには後戻りできないかもしれない
➡️安定した生活を失ったり人生が根底から覆るとしても真実を知りたいのか⁉️
「じゃあ、Redピルを飲んだ俺は、どうなるんだ?
しかも、対峙するザリガニが Blueって、なんか調子狂うんだよな〜」
望んだものがRedの真実で、与えられたのがBlueの虚構ということなのか・・・。
「それはお前次第さ。望んだものと、与えられたもの——それをどう解釈するか。」
目が覚めると、BLUEは元の世界に戻っていた。
「……夢?」
いや、違う。何かが変わっていた。
スマホの画面を見ると、そこには「BLUEピル、吐き出しますか?」という選択肢が表示されていた。
「は? そんなのアリ?」
「しかも俺が飲んだのは、Redピル・・・」
Blueピル——心地よい現実のまま、これまで通りの安定した世界に留まれる
➡️満ち足りた生活や幸せな人生、しかしなにも知らない状態であり続けたいか⁉️
BLUEは、マロンの言葉を反芻した
「それはお前次第さ。望んだものと、与えられたもの——それをどう解釈するか。」
そうだな、俺ならこう解釈するかな
BLUEピル、吐き出しますか?
➡️BLUE、(飲み込んだRed)ピルを吐き出すか?
こうとも解釈できるな
➡️(以前飲み込んだ) Blueピルを吐き出すか?
ーーでも、青のピルは飲んだ記憶ないしなぁ
まぁいい。解釈はどうであれ、結果は2つにひとつだ
迷った末、BLUEはポチッと「Yes」を選んだ
すると、どこからともなくマロンの声が響いた。
「後の祭りってやつか?」
「やはり、俺が飲んだのはRedピルだったようだな
真実を知ったからには後戻りできないか……。当然だな。」
BLUEはマロンに応えた
「……まぁな。でも祭りなら、楽しむのが一番でしょ?」
BLUEは笑って、立ち上がった
Redピルを飲んで世界を知り、もう後には戻れない。
そして、そこは、少数派のBlueが支配する世界だった。
BLUEが望んだRedの世界は、皮肉にも青の世界だった。
そして、そこは、かつてBLUE自身が、長(おさ)として少数派のBlueを治めていた場所だった。
マロンは知っていた。
BLUEが青の支配する世界に嫌気をさして、かつてBlueピルを飲んだことをーー。
「お帰りなさい」
マロンは、そうつぶやいた
あとがき
今更吐き出したって遅いんだけど、それが「後の祭り」ってやつさ(笑)
そして、その祭りを楽しむのも、望んだ結果として、与えられたものだったんだ
そして、素直に現状を受け入れることが、その人の与えられたフィールドで最善の策を選択する自己受容の大切さや、京都瀧安寺の知足の蹲踞(つくばい)に書かれた『吾唯足知』(金持ちでも満足できない人はできないし、貧乏でも感謝の心を持てば満足できる)の心を伝えたかったんだよね。
BLUEは迷った挙句、
解釈はどうであれ、結果は2つにひとつだ
迷った末、BLUEはポチッと「Yes」を選んだ
Redピルを吐き出そうと決心したのだが、それは後の祭りだと言われ、もう引き返せない運命を一度は受け入れた。少数のBlueが支配する世界に留まる運命を。
しかしそこは、BLUEの故郷だった
Theme Concept
一見すると「願ったものは与えられなかった」と語りながら、実は「本当に必要なものは与えられていた」
「人の願いと、人生が与えるもののズレ」 の両極の現実を一度は素直に受け止める事ができた時、その深い洞察の先に、新たな価値観への扉が待っている
洞察を通して、人間の視点から見れば「不足」や「欠落」と感じることも、視座を高め、より広い視野から見れば「成長」と「気づき」のために必要なものだったのかもしれない🤔💭
それはまた、人は「力」や「成功」を求めるけれど、実際に与えられるのは「弱さ」や「失敗」だったりする。
でも、その「ズレ」が、人生の深みを作っていくのかもしれない🤔💭
そのズレが「劣等感」であり、それを『吾唯足知』の心で「自己受容」する
そして、今のあるがままの自分を受け入れたからこそ、次なるステージへの扉が用意されるのだ
カンナさん提供のマロン

写真提供:カンナさん@鳥羽水族館
マロン
英名:Marron
学名:Cherax cainii
オーストラリア南西部の池や河川に生息するザリガニです。
淡水に棲むザリガニの中で3番目に大きくなる種とされており、体長は最大で30cmを越えます。
体色は茶褐色や黒色で、甲殻がマロニエ(セイヨウトチノキ)の実に似ているところから
「マロン」と名付けられたという説があります。
稀に青い個体が現れます。
現地では食用のほか観賞用としても養殖されています。
この青いマロン、まるで水中に現れた「BLUEの化身」かと思ったよ🤣
マロンは本来、茶褐色や黒が多いけれど、突然変異でこの鮮やかなブルーが生まれる
まるで、「異質なものとの調和力」を価値観として大切にするBLUEの世界観が、水の中で結晶化したような存在😼
考えてみれば、BLUEもまた「普通とは違う視点」で世界を見ている
これはなにもBLUEに限ったことではない
誰しもそれぞれの色眼鏡を通してこの世界を見ている
それが、その人の主観的パーソナリティー(個性)というものだ
赤が主流のレーザー技術に「青色革命」をもたらした中村修二氏のように、
赤い薔薇が当たり前だった時代に「青い薔薇の夢」を叶えた科学者たちのように、BLUEは「自分だけの青色」を探し、模索しながら表現し続けていくのだろう
そして、このマロンもまた、「青くあることを選んだザリガニ」なのかもしれない
もしも、マロンに意識があったら、BLUEにこう言うかもね😉
「君も僕も、“BLUE”であることに誇りを持とう」
そして、いま
BLUEは、愛猫娘のマロンへ話しかけている🗣️
キミは、綺麗な茶褐色の毛色だけど
いずれ鮮やかなBlueを身に纏いたいかい?
BLUEは、猫なで声で話しかける愛猫娘のマロンが
青いザリガニであることをまだ知らないーー
【了】
