継ぎ目の旅
「わび・さび」の話をしていた時のことだ。
海外の方から、「Kintsugi(金継ぎ)」という言葉を教わった。
「わび・さび」の美学は、室町時代の茶の湯文化の中で発展し、欠けやヒビを「景色」と呼び、不完全さの中に美しさを見出す、日本独自の世界観が息づいている。
金継ぎとは、割れたり欠けたりした陶磁器を漆で接着し、その継ぎ目を金や銀の粉で美しく装飾する日本古来の修復技法である。
壊れた部分を隠すのではなく、むしろ
「新たな景色」として際立たせる。
そんな考え方に、
日本人らしい美意識が息づいている。

説明文を読んでいたぼくは、
golden joinery
という英訳を、なぜか
golden journey
と読み間違えた。
読み間違えたというより、
老眼が始まっただけかもしれない🤣
joinery(継ぎ)と journey(旅)。
たった数文字。
けれど、その数文字の迷子が、
また新しいBLUE Worldの扉を
開いてしまったのである🚪
なるほど🧐
器のヒビは、人生の旅路にも見えなくはない。
いや、むしろこの予定調和から外れた曲くねったヒビこそ、人が歩んできた道そのものではないだろうか、と。
──思えば人生も、
まっすぐ進んだ記憶より、
遠回りした記憶の方が強く残っている。
出会った人。
読んだ本。
失敗した経験。
思い通りにならなかった出来事。
その時は意味が分からなかったものたちが、
あとになって不思議と一本の線でつながっていく。
まるで割れた器の破片を、ひとつひとつ丁寧につなぎ合わせるように。

──話は少し逸れる。
一般的には、
金継ぎ=golden joinery
が正しい。
一方、
金継ぎ=golden journey
は、明らかな読み違いだ。
けれど、
「そう見えてしまった」
ということもまた、ぼくにとっては事実である。
事実とは、
いつもfactだけでできているわけではない。
人は世界をそのまま見ているのではなく、
それぞれの解釈というレンズを通して見ている。
セレンディピティとは、
案外こういう誤認識の中にも潜んでいるのだと思う。
もし正しく読んでいたら、
このエッセイは生まれなかったのだから🤣
さて、そんなことを考えているうちに、
ぼくは一人の男を思い出した。
キャプテンハーロックである。
幼い頃、ぼくのお腹には小さな手術痕があった。
その傷を見て、
「ハーロックみたいで格好いいじゃないか」
と、一人で感心していた。
もっとも、
人様に見せられる場所ではなかったのだけれど🤣
今思えば単純な子どもだった。
けれど、
その感覚は案外間違っていなかったのかもしれない。
ハーロックの傷は、
単なる傷ではない。
覚悟の証であり、
生き様の証であり、
失ったものを抱えながら前へ進む意志の象徴だった。
だからぼくたちは彼に憧れた。
完璧だったからではない。
傷を抱えていたからだ。
金継ぎもまた同じなのだと思う。
割れなかった器を称えるのではない。
割れたあともなお存在し続ける器を称えている。
そこには「わびさび」がある。
不完全さを受け入れる美しさ。
そこにはレジリエンスがある。
壊れた経験を抱えたまま生きる強さ。
そして変容🦋がある。
傷を傷のままで終わらせず、
新しい価値へ変えていく力である。
考えてみれば、
人間も器も同じなのかもしれない。
生きていれば傷がつく。
失敗もする。
割れることもある。
けれど、本当に価値があるのは、
傷のない人生ではなく、
その傷とどう付き合ったかという物語なのだろう。
幼い頃のぼくは、
ハーロックに憧れながら、
そのことを直感的に知っていたのかもしれない。
男の生き様がお腹の傷だ、と。🤣
そう言うと少し照れくさい。
けれど今ならこう言える気がする。
人生の価値は、
割れなかったことではなく、
割れたあとに、どんな継ぎ目を残したかで決まるのだと。
BLUEのしずく💧
ぼくは金継ぎについて学ぼうとしていたはずなのに、
結局また妄想の旅に出てしまった。
しかもそのきっかけは、
たった数文字の読み間違いである。
けれど、セレンディピティというのは
案外こういうものなのだろう。
正しい答えを探していたら、
偶然、別の問いに出会ってしまう。
そして、その問いのほうが、
なぜか心に残る。
だから今日もまた、
言葉の継ぎ目を旅してみる。
そこにはきっと、
辞書には載っていない景色が広がっているから。
だから『今日もまた、種を蒔く。』
p.s.
簡単ホットサンドの作り方動画に金継ぎを見た⁉️
四等分したパンを溶き卵で繋ぎ止めるホットサンドが、金継ぎの器に見えるのは僕だけだろうか🤣

《A Drop Remains.💧》
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