額に入った夕暮れ (バレエショートショート)
藍が通うレッスン場の窓は、いわゆる掃き出し窓で床から天井まである。学校が終わると夕方からのレッスンに早めに来てストレッチする。奨励さんは藍を見かけて夕暮で窓枠が額縁に見えて素晴らしいと褒めた。
ところで、プロセニアムアーチって知っているかい?
藍は身構えた。
また何かを創ろうとされるなら、先生から協力しないように言われています
昔からある額縁舞台の話だよ。パリのオペラ座などに見かける。これは舞台と現実を隔離するために重要なことだよ。今度の発表会でも、いつもの代り映えしないホールなので、もうちょっと手を加えるべきだと思う。こんなふうに舞台の良さを感じられるように工夫をしたい。いつも早めに来るので手伝う時間はあるだろ?
そこへ井伊野が奨励さんに近寄った。
バレエ人形の腐ったヤツを発明したって言ってただろ、見せてくれよ
レッスン場を出ていく二人の影が長く後を引いており、藍には出口の扉が額縁に見えシュールな夕暮風景だと思った。
」」」」」」」」」」」」」」」」」」
たらはかにさまの企画に参加中です。
今週のお題は「額に入った夕暮れ」 でした。
舞台史は面白い。古代から人間は、現実的な世界と空想の世界を交互に行き来していたと思っている。知性あればこその行動でしょう。
いいなと思ったら応援しよう!
ありがとうございます。