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ナンパ細胞 (ショートショート)


俺は白衣の人間に囲まれ液体が入った高額な小瓶を口元にあてる。

どうぞ、の言葉を合図に俺はナンパ細胞活性化ドリンクレベル2を飲み干す。

周囲のモニターが一斉にピピピ、ブブーと鳴った。白衣たちがそのモニター画面を見て手元のクリップボードに書き込みをしている。俺は一気に自信がみなぎるのがわかった。白衣集団の唯一の女性、年かさのブスが俺の顔をうっとりと眺める。一番偉い担当医が失礼だぞとそいつを叱ったが、俺も興味がわかずスルーする。

さあドリンクの効果が薄れないうちに繁華街に出てナンパをしないといけない。大勢の好みの美人に声をかけて連絡先をかわして少子化に貢献するのだ。

白衣の人が整列して俺に「行ってらっしゃいませ」 とお辞儀をした。担当医が俺の肩に親し気にさわり「もう会わないかと思いますが、念のために」 と紙きれを渡す。割引券だったので俺はそれを破り、繁華街に出陣した。

背後から一瞬、冷笑を浴びたようだが気のせいだろう、多分。





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