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踏切オーディション (バレエショートショート)

藍が参加したオーディション会場は蒸し風呂のようだった。主催者が参加者にわびた。

「空調設備がすべて壊れてしまいまして…でも窓は全開にして選考は予定通り続けますので頑張ってください」

しかしこの熱気。熱中症になりそうと辞退者がでた。藍は役が欲しいので辞退はない。最後まで踊ると決めている。この選考に受かると大舞台で踊らせてもらえるのだから。仮にここが熱帯でも北極でも踊りきる。

選考員たちが入室してきた。

「左端から三人ずつ中央に出てこの曲で即興で踊れ」

すると音楽をかき消すような「カンカンカンカン」という騒音が出た。踏切が近かったのだ。

皆が立ち尽くしたが藍だけが踏切の音にあわせて踊った。この選考に参加できただけでも光栄だから。選考員が藍の踊りを見つめる。

カンカンカンの音が消えたと思ったら今度は列車が通る音だ。

ごおおガタンガタン


藍はそれにもあわせて緩急つけて長く足を掲げてそのままぐるぐると回転する。

「君は合格。隣の部屋で手続だ」

やったー。





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