Photo by
juxmux
紫陽花男子 (バレエショートショート)
梅雨のため傘が手放せない。ということは通学時に片手が使えない。しかし藍は平気だ。来月の発表会で、魔法使いの杖を持って踊るから。舞台中での杖は実は紙製で中は空洞なので軽い。でも軽々しく振り回すと品がないし、威厳を持たせて重々しく杖を持って踊りたい。サイズ的には傘が一番いいので、何事も練習と思っている。誰もいないときは傘を持って踊りながら前を歩く。
今日もそうしていたら、通りの家から女性が出てきて「息子に会ってくださいませんか」 という。その家の窓を見上げると車いすの男の子が藍を見ている。藍は承知した。
「君はいつも踊っていて楽しそうだ。君がそうなので僕も雨が降るのが楽しみなんだ、ありがとう」
藍は見られて恥ずかしかったが嬉しかった。そして男の子に傘を魔法使いの杖に見立てて踊っていると教えた。男の子は大喜びだ。藍は発表会においでとチケットをあげた。その家の庭にはたくさんの紫陽花が咲いており、お土産にその花束をいただいた。
」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
たらはさまの企画に参加中です。
今週のお題は「紫陽花男子」 でした。
いいなと思ったら応援しよう!
ありがとうございます。