大嘘寺 (バレエショートショート)
藍の親友の舞は、絵画の才能もある。このたび、バヤデールというバレエ劇の背景の寺院のデザインも先生から指示されて大張り切りだ。費用の問題もあり簡易的に布で描いてそれを天井から垂らすことになった。古代インド時代の寺院といっても、どのバレエ団も工夫をこらしてエスニック調の舞台にする。
舞もまず下絵を画用紙に描き起こし、先生にこんな感じでどうだろうと相談していると、横から井伊野が嘘くさいな~こんなの寺院ぽくない~と文句を言ってくる。
先生が井伊野を睨みながら言う。
「バヤデールはエスニックな雰囲気で踊りの舞台、神聖な火も起こすような舞台なのでそれ風の雰囲気がでたらよろしい」
それで井伊野も黙った。しかし先生のフォローがあったにもかかわらず、舞は落ち込み泣き出した。
「そうね、誰も知らない時代の誰も知らない寺だもの、私の絵もどうせ下手だしこれもどうせ大嘘よね」
先生と一緒にいた藍で井伊野を改めて蹴り倒したことはいうまでもない。
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たらはかにさまの企画に参加中です。
今週のお題は「大嘘寺」 です。
サムネ画像は新国立劇場のものをお借りしました。
バヤデールもまた見どころが多いバレエ劇なのですが、下記の画像は古代インド時代の寺と神聖な火をバックに踊っています。ボリショイバレエのステパノワさんのニキヤです。約2分。
ジゼルに出てくるアルブレヒトに劣らず、この作品も女性2人に挟まれて悩むソロルが一番悪いと思う。ニキヤに王恋慕するヤツもそりゃ悪いが。
バレエの舞台に出てくる男性はほぼ全員、地位があっても夫にするにはダメだが、振付が秀逸で観るのが楽しみなものです。別の言い方をすれば、クラシックバレエ劇は振付の秀逸さでもって悲劇の元になる男性の性格の悪さを消滅させることができる稀有な芸術です。
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