⚪️企画作品|シバキますよ?
レシートに記載された商品名によればそれはただの「鞭」であり、より詳しく述べるなら「バラ鞭」である。用途は「仕置き用」だ。
素材は近年流行の兆しを見せている「高級クロコダイル革」で、とりわけシロクマ社製のものは入手困難と言われている。それをゲットした。
フライングゲットした。
言うまでもなく「バラ鞭」はその見た目の派手さや「ウィップ音」の大きさにおいて絶大なる演出上の効果を期待し得るもので、その点、初心者から上級者にも愛される人気用具である。
しかしながら、より激しい痛みを欲する向きにはやや物足りない。それゆえ「軽いウォーミングアップ」または「事後のじゃれ合い」または「焦らし」として使用されることも多い。
要はこちらの使い方次第でどうにでもなるわけで、逆に臨機応変かつクリエイティブな現場能力が問われることにもなる、ある意味、知れば知るほど難しい、奥の深い「鞭」なのだ。
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わたしの使用例をいくつか紹介したい。
当初は忘年会の余興として半ば恒例行事化していたのだが、折からのコンプライアンス重視の波に押され、近年はやや廃れつつあったことは否めない。
しかし、わたしが課長の尻を叩き、部長の股間をシバキ、社長の背中を鞭打つ頃には全社員が喝采する。その瞬間わたしの恍惚も最高潮となる。
あーん!
それがまずひとつ。比較的健全な使い方であって、正直、本来の「鞭」ではない。原理主義者はこれを認めないだろう。彼らにとってはこれこそ不健全なはずだ。わたし?──わたしはどっち付かずの中間層、良いとこ取り、快楽主義者だ。
彼ら原理主義者の認める純粋な「鞭」についてはここでは割愛しよう。それは正真正銘の「秘め事」であり、無闇に白日の元に晒すべきではない。わたしはそのあたりの倫理観にはうるさいのだ。
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紹介したいふたつめは、厳密に言えば使用例ではない。構想段階だからだ。
それは季節ごとの取り組みという最近のわたしの重大テーマにも繋がる使い方で、春には「春の鞭」など、それぞれ「季節の鞭」があるはず、という考え方だ。
日本古来の美意識や無常感、侘び寂びなどをマリアージュさせて振るう数々の「鞭」──わたしはそれを風物詩として、今なら「春の名物」にしたい。
この季節特有の、妙に浮かれた馬鹿者をシバキ倒す。駅前広場や銀行ATMや繁華街の目抜き通り、誰とも知れぬ銅像の周り、夜の公園や、格安居酒屋の出入口付近、様々な遊戯施設、そこら中至るところに現れる不埒な脳内花畑連中に一撃を加えたい。
「鞭」で!
そうなってくると、もはや「鞭」だけでは心許ない。予備として「高電圧スタンガン」もゲットする必要があるだろう。
(おわり)
🟡1104文字
#なんのはなしですか
