⚪️企画作品|そわそわ
花びらを、ゆっくりと、晴れた日に──
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男の人は自分が胸をガン見してる事を気づかれていないとでも思っているのだろうか。
なんだか機械みたいに正確に胸を見るけど?
自動販売機で特定のボタンを押すと特定の飲料が出てくるみたいに。
(ああ、わたしはまたそうと気付かず、きみのボタンを押したというわけ)
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ダウンコートをクリーニングに出して、裏ボア、ツイード、厚手のジャケットは奥に、ミラオーウェンは残して、もこもこのセーター、ミュウミュウ、スローン、大ぶりのマフラーは薄手のものに選手交代、ダミエグラフィットのストール、フリースも次の出番まではチェストの奥で待機させよう。
ユニフのニット、レース飾りのチュニック、白いパンツはワイド、フレア、テーパード、スキニー寄りのスリム、まだ早いけれどノースリーブと、原色のジャケット、ベーシックなトレンチ、パステルのバッグをスタンバイ、ジルスチュアート、春物をゴッソリ前に出す。クローゼットに花が咲く。
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目が痒い。ショボショボ、ヒリヒリ。でも眠くなるやつだからそれ。
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風はいろんなものを運んでくる。髪とスカートを揺らして去っていく。
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水色と薄いピンクの掛け合わせは何故か人を落ち着かない気分にさせる。ブルーシートの上で頬を染め、大声で騒ぎ大声で笑い、確かにみんな馬鹿に見える。無論わたしも例外じゃない。木にぶら下がって警官にでも注意されろ。
ああ、また、今度は足を見てる男ひとりふたり。立ち上がったり座ったりする動作を目で追っている。スカートにして失敗した。仕方ないけどお願いだから固まらないで。凝視するな。それ以外はお好きにどうぞ。
彼氏がひっきりなしに電話してくる。でも出てやらない。待ちなさい。待ってなさい。謝りたいなら割り込んでこないで。
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慣れ親しんだものから引き剥がされて、どこか別のところへ連れて行かれるみたいに。真新しい服に身を包み即席の笑顔を貼り付けて、無理に期待を高めている。子供たちの歌声に紛れて反対側で赤ん坊が泣いている。
早速序列を決めようという。ポジションの奪い合いが始まる。そもそも最初から奇数なんだもん。どうしたってひとり余るでしょう。最後にオネショしたのはいつだったっけ。あの生ぬるい海で溺れる夢を見たのは?
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息もできないほどの花びらが、青い空から降ってきて、降り積もって、ゆっくりとこの世界を覆っていく。晴れた日にはそれらを一枚一枚かぞえ、目を閉じればそれでいつしか眠れるでしょうね?
(おわり)
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