✴︎✴︎✴︎の冒険〜第1話 尖っているのはだれ?〜
大きな栗の木の下で
あなたとわたし
仲良く遊びましょう
大きな栗の木の下で
栗の木っていいよな、って
僻みとも憧れとも似た感情を常に
思っている
ただ立っているだけで
人が集まってくるんだから
いや、この本によると
大きな木っていうのはもしかしたら、
搾取されるだけのものなのかも知れないが…
それでも、、僕は…
大きな木への僻みとも憧れとも似た感情を
消すことが出来ない
そう、この尖り具合からも
もう皆さんお分かりですね
僕は栗のイガです
僕は常に中身を守ってます
中身の栗の実はもう、それはそれは
栗の木にとっては大切なものとして
さまざまな天敵からお守りしなければ
ならない
いや、天敵と言いながら
一部、僕らの守備を掻い潜り
獣にどこか遠くに運ばれて埋められて
忘れ去られた栗の実は
また新たな木として新しい人生を歩むこととなります
それが、栗の木の一つの大きな目的でも
あるわけで
矛盾を孕んでいると思いませんか?
なんて、栗の木ってツンデレなんだと思いませんか?
あぁそう、勝手に山の恵なんかって
言っちゃって
山から持ち去って須く食べてしまう
獣もいますね
あれが一番厄介、
僕らを足でぎゅーーーって踏みつけて
一粒残らず長い嘴みたいな板で挟んで
山から実を取り去ってしまう…
ほら、噂してたら
来ましたよ
件の獣が…
おおきなくりの〜きのしたで〜
♤あ〜な〜た〜と
♧わ〜た〜し〜
♤♧な〜か〜よ〜く〜遊びましょう
おおきなくりの〜きのしたで〜
(さぁ、みんなでいっしょに唄いましょう♪)
やたらいい声で唄う獣と少し調子っぱずれの声が何故か水筒の中から聴こえて
どうやら2人でデュエットしているようである
山に来るのは、2週間ぶりね
だな、いや師匠にもちょくちょく挨拶したいし、
山の守り人としての癖でな
どうしても、森が気になってしまうんだよ
付き合わせてしまってすまない
良いのよ、私も山って好きだから
時々ならこうして連れて来てね
なんの話をしているのか、
そもそも何故水筒の中から声がするのか
僕にはよく分からなくて考えているうちに、
いい声で獣が
祝詞のような台詞を更々と唱えたかと思うと
ザザザザー
ゴゴゴゴゴー
ザワザワザワザワ
急に大風が吹いて木々を揺らし、
さっきまでの好天が嘘のように
真っ黒な雲で空が覆われたかと思うと
サーーーーー
小気味よい雨が夕立のように
短い時間降り続いた
よし、もうこれくらいでいいだろ
また、いい声のする獣が今度は短い台詞を唱えると
さっきの黒雲が嘘のように晴れ
まるで何もなかったような
空に戻っていた
え?え?
僕の今見たものは…一体??
僕は、自分のほっぺたをつねろうとして
あれ、いやほっぺたがどこに有るんだ
どうやってつねるんだよう、なんて
少しネガティブになりながら
耳を澄ませると
やはり、いい声の獣はまだそこにいた
うみ、もう少し時間をくれないか
はーーーん、さては栗の実を根こそぎ
拾っていくつもりだな…
僕は栗の大木に耳打ちした
栗の大木、いい声のアイツ、あの獣はまた栗を根こそぎ取ってくつもりじゃ無いか?
ザワザワ ザワザワ
栗の大木は何も答えない
ただ、今日は違う、と言ってる気がした
いつも、コイツはそうだ
だから、近くにいてイライラする
だが、僕の予想に反して
いつまで経ってもいい声は栗の実を拾うことなく
周辺をくまなく歩きながら
木の幹に手を当てて、何か木と話をしている
ような感じを受けた
いつの間にか、僕のいる大木の幹にも手を当てて
いた すると不思議なことが起こったのだ
君は、君のこころはトゲトゲだね…
良かったら、一緒に来てみないか?
え?え??
それが、奴の口から出たのか
僕の意識に反響した声なのか分からず、
戸惑っていると…
おいでよ!
あ、こら!
いいじゃ無い少しくらい
と押し問答が聞こえたあと
水筒からニュッと顔を出したのは…
イガグリによく似てはいるが、
何か違う
黒光りしたトゲトゲの生き物だった…
to be continued…
(本文 1612文字)
きゅうに始まったこの話
うみたちのその後…と思われます
ゆるっと書いてみます
