かげろう
私は、かげろう。
イヤ、偽物のかげろうだ。
生まれるや否や、時の渦に呑み込まれ
あたふたしながら、死へとまっしぐら。
つい、この間、成人式を終えたと思ったら
そろそろエンディングノートを準備しなければ
いけない年齢にまで達した。
本物のかげろうは私に比べ
ちゃんと(人生?)を全うしている。
脱皮し、パートナーを見つけ
産卵し、使命を全うし
やがて死に至る。
その間、たったの24時間だ。
刹那的とも言える、ごく短い時間で
全てのことを、やり終えている。
それに比べ、私は人生の所々で
無駄に時間を費やした。
本物のかげろうより、膨大な時間があるのに
ぐだぐだと時を過ごし無為にした。
馬鹿げている。
今まで、いったい何をしてきた?
そして、未だ自分の使命さえ分からずにいる。
愚かとしか言いようがない。
私は偽物のかげろう。
使命に気づかないまま
時の激流に喘ぎ、溺れそうになりながら
揺るぎない確かなものに突き進む。
逃れられない、確固たる約束。
それは、死。
