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全宇宙に感謝を!


#読書の秋2021

喜多川泰さんの、「運転者」についての感想です。本書は、全宇宙に対する感謝の気持ちを忘れがちだった私への警告として受け止めた。
現代の物質的に豊かで便利な社会があるのは、先人達の努力の賜物であるということにも気づかされた。

主人公の修一は、生命保険会社に勤務する既婚者。
営業成績が芳しくなく、給料とボーナスがかなり減額される見通しで、転職を考え始めていた。
妻との海外旅行の約束は、中止せざるを得ない。
おまけに、中学生の娘は不登校で、担任教諭との面談もしなければいけない。
あと、実家で一人暮らしをしている母親の、今後についても考えなくてはいけない、という状況だ。

八方塞がりの修一は、とりあえず新規の契約を取るため、重い足取りで営業に出かけた。
すると、通りの向こうから一台のタクシーが現れ、修一の横で停車した。後部座席のドアが開き、何となく修一は乗ってしまう。運転手は、修一に行き先を聞いた。いろいろ考え事をしていた修一は、え〜っと、と口ごもる。
「まずは、娘さんの担任教諭との面談に行ったほうがいいんじゃないですか?」
と、運転手に言われ、
「うん、そうだね、そういえば今日は面談の日だった」
そう言った後、修一は不思議に思った。
(何で、初対面の運転手が、俺の家庭の事情を知ってるんだ?)

ここから、修一の運命が劇的に変化していく、という内容だ。


運は、いい、悪いではなく、貯めて使う。何もしてないのに、いいことが起こったりはしない。運がいいと思われている人は、貯まったから使っただけです。運命を好転させるには、とにかく上機嫌でいなければいけない。機嫌が悪いと、運は逃げる。

考えてみると皆、大人になるにつれて、不機嫌な顔でいることが多いのではないだろうか。
苦虫を噛み潰したような顔で歩いている大人をよく見かける。仕事、子供や両親のこと、自身の健康状態など、考えなければいけないことがあればあるほど、その傾向は強いのかもしれない。
なにはともあれ、良い気分でいることは、心身共に穏やかで前向きな気持ちになると思う。私もできるだけ、不機嫌を遠ざけよう。

努力は報われる

今、様々なことに対して頑張っているのに、なかなか結果が出ないと言って苦しんでいる、人によっては運が悪いと思い始める。短い期間の努力で結果が出ることを期待しすぎている。諦めるのが早すぎる。もっと、もっと長い目で見れば努力は開花する、もし死ぬまでに報われなかったとしても、次の世代で開花する、と本書では言っている。

頑張っても報われない場合もあるのではないかと思っていた私は、全ての努力は報われるという断言に対して、本当にそうだろうか? という疑問が拭いきれない。
でも、努力し続けることは運を貯めていくことに繋がっていくから、努力することを辞めるつもりはない。

たった一膳のご飯でさえ、宇宙のすべてが必要で、今の時代、地球上のすべての人間の営みが必要なんです

ここは、とても共感しました。衣食住に関しては、ほとんどの人々は自分の力で生きてるのではなく、他人の力を借りて生きている。食べ物、洋服、車など、すべて他の人々が作った物を購入して暮らしている。自分で作った物など一つもない。
野菜を作るための土、人間には不可欠な水、酸素、それらは人間の力の及ばないところで作られている。すなわち、宇宙の恩恵によって私達は生きてる。

また、今の便利な社会も、先人達が努力し苦労して築き上げてきた。

同じことの繰り返しの日常の中で、不平不満を言ったりするが、当たり前を当たり前と思わずに、すべてに感謝しなければいけない、と強く思った。

あなたが生まれ、ほんの百年ばかり生きて死んでいく。そして、少しでも多くの恩恵を残してこの世を去る。


私達は、過去からの恩恵を受けている。
百年後の未来世代のために、今やるべきことをやって、充分に生き切ることが大事なんだな、と本書から教えられました。


この不思議な運転手さんのタクシーには、修一の娘と修一の上司も乗って、その後運命が激変したのです。

ちょっとミラクルなストーリーで、でも多いに共感できる、素敵な小説です。

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