体育ICT研究会の「メタバースによる研究成果報告会」に参加をして
2月18日(土)の17時から19時まで、体育ICT研究会の「メタバースによる研究成果報告会」に参加した。
もっとも、正確に言えば「メタバース上で行われた研究成果報告会をYouTubeの生配信で視聴した」ということになる。
もともと体育の授業では、「動画を見て、よい動きのイメージをもつ」「自分や仲間の動きを撮影し、再生・視聴して学びを深める」など、ICTの活用が盛んだった。
GIGAスクール構想による「1人1台端末」が実現してからは、さらにその活用が進んでいると感じる。しかし、さすがにメタバースとなると話は別で、まだまだ身近なことではなかった。
今回は、たまたまFacebook上でこの報告会のことを知って興味をもち、「参加」をさせてもらったという次第である。

第1部では、メタバース上でのポスターセッションという形式で研究成果発表会が行われた。
会員の皆さんはVRヘッドセットを付けてポスターセッションの会場に集まり、各ブースの間を自由に歩き回って発表を聞いたり、質問や議論をしたりすることができる。
その様子をYouTubeで視聴していると、まるで参加者全員が同じ空間にいるように感じるが、もちろん実際には日本各地から、そして海外からも参加をしていたようだ。

また、私のようなYouTube視聴者のために、この《ピンク色のクマ》のアバターが、カメラマン兼ナビゲーターとして各ブースを順番に案内してくれた。
ちなみに今回の報告会では、「メタバース」「同期型遠隔体育」「非同期型遠隔体育」「VR」「AI」「技能と認知の見える化」「メディアポートフォリオ」の7部会によるブースが設けられていた。

このうち、「同期型遠隔体育」のブースでは、新潟県と鹿児島県の学校による表現運動の合同授業に関する報告があった。
離島や山間部などの僻地には小規模の学校が多く、体育も含めて「協働的な学習が成立しにくい」という課題がある。また、特別支援学校の場合には、学校単独だと学び合いが難しいということもあるだろう。
しかし、ICTによって複数の学校が同じ仮想空間で授業を行うことにより、たとえバーチャルではあっても協働的な学びをすることが可能になる。
さらに、教師やインストラクターが当該の学校以外の場所から授業に参画することも容易になるだろう。

また、「メタバース」のブースでは、「メタバース教員研修」に関する報告があった。
通常、体育科の公開授業の場合、参観者は教師や児童生徒の邪魔にならないように、少し離れた場所から学習の様子を見ることが一般的でだ。
しかし、メタバースの技術を用いれば、「すぐ近くから」「真上から」「子ども(教師)の目線で」等々、多面的・多角的に授業を見つめ、分析をすることが可能になる。
こうした技術は、今後の授業研究に大きな変化をもたらすことになるだろう。
また、教員が遠隔地の学校で行われる公開授業に参加をすることについては、自校の勤務との兼ね合いや旅費・宿泊費の問題などから、参加をしたくても諦めていたというケースが少なくないと思われる。
けれども、メタバースによって時間や空間の移動が自由になれば、教員の学びのあり方も大きく変わっていく可能性がある。
(授業のこととは離れてしまうが、こうした技術を用いれば、「サッカーのゴールキーパーの視点」「大相撲の行司の視点」などでスポーツを楽しむことができるかもしれないと、夢が広がる。)

7つの部会の発表を通して感じたのは、それぞれの取組が単独で存在しているのではなく、相互に関連しているということだ。そして、今後も様々な組み合わせによって、可能性はさらに広がっていくことだろう。
もちろん、不登校や病気療養児などに対する学びの機会の提供や、実習、見学、旅行、就労等の疑似体験など、体育以外の分野にも汎用性があるということは言うまでもない。

続く第2部は、「AIの体育での活用可能性」というテーマでのシンポジウムだった。
《シンポジスト》
松田恵示氏(東京学芸大学理事・副学長)
小宮山利恵子氏(東京学芸大学准教授他)
今井浩氏(Qlik日本法人社長)
《モデレーター》
鈴木直樹氏(東京学芸大学准教授)

シンポジウムの中では、「テクノロジー、AIを活用することによる体育の変化」として6つの内容が示されていた。大変にわかりやすく、納得できる内容だった。

また、今後の具体的なアイデアの一つとして、「任天堂『Wii Fit』にAIを導入することによって体育でも活用できる可能性がある」という話題が興味深かった。
現状では、VRヘッドセットなどの技術を導入できる学校は、一部の研究協力校やモデル校などに限られてしまうだろう。
しかし、任天堂『Wii Fit』にAIが搭載され、汎用的な価格で購入できるようになれば、体育の授業に大きな変化をもたらすことになるのではないだろうか。
今回の報告会のような内容が全国各地の学校に普及するまでには、かなりの時間を要するのかもしれない。
けれども、「ChatGPT」があっという間に教育界を席巻してしまったことを考えれば、その時は意外に近くまで迫っているのかもしれないのだ。
