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風|鞍馬山|ちび創作大賞

その風は
わたしを意識して吹いているのか

向かい風も追い風も
わたしは楽しんでいるのだが

ふとそこに誰かの想いを
感じることもある

頼まれたわけでもないだろうに
おせっかいな風だ


鞍馬寺へ向かう山道
50年前 わたしは18歳

誰かに呼ばれた気がして
わき道にそれ奥へと進んだ

小さな沼が見えた瞬間

尾の長い大きな鳥が
突然音をたてて飛び立つ

不思議と驚きはない
風が吹く

いたのか


何年も経ってから
また鞍馬寺へ向かい

かつて入ったわき道を探したが
分からなかった

ここかな? と思った口には
ロープが張ってあり

立入禁止の札がかかっている

違うな
風は吹いてこない

おせっかいな風だが
時と場所はわきまえる


振り返れば
自分なりの旅をしてきた

同じ場所に同じ風など
二度と吹かない

大きい鳥に小さい鳥
出会いは瞬間であり

瞬間は永遠となって
かがやく


風の意識と溶けあえば
届けたい想いは届く

意識を閉じ込めないで
遠く遠くへと飛ばして

風になる

わたしはここにいて
かの沼のへりにもいる

尾の長い鳥が凍りつく場所


意識は解放されてある





ちび創作大賞に参加しています。


天野雫さんのテーマ「風」で書かせていただきました。


ちび創作大賞 共同マガジン



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