✴️死を覚悟した日と生き延びた理由[昔話]
「死を覚悟したことがある」
そんなことを言う経営者がたまにいるし、そんなことを聞いたことがある人もいるだろう。
もちろん経営者が皆経験するわけではない。
もしかすると、それほどの窮地に追い込まれた経験がある、という比喩なのかもしれない。
ある身近な経営者はこう言っていた。
「3回はあったな」と。
笑いながら言っていたが、内容は笑えない。
そして、自分も例外ではなかった。
過去に一度だけ、本気で「終わり」を考えたことがある。
今回は、昔話。
その時、何を考え、何をしたのか。
正直、内容が内容だけにメンバーシップ限定にするか迷ったが、
少しでも多くの方にこのリアルをお伝えすべきと思い、一般公開することにした。
🔶会社がまわらなくなるのはどんなときか?
「赤字」が膨らんだときか?
答えはNo。
「黒字」でも普通に死ぬ。
しかも、わりとあっさりと。
いくら利益が出ていても、キャッシュ(現金)が尽きた瞬間、ゲームオーバー。
経営というゲームを強制的に退場させられる。
🔶「黒字なのに倒産する」という違和感
売上はある。
利益も出ている。
なのに会社が潰れる。
これがよく言われる「黒字倒産」というやつだ。
なぜこんなことが起きるのか。
答えはズレだ。
🔸売上が立つタイミング
🔸お金が入るタイミング
🔸支払いのタイミング
この3つがズレる。
図にするとこんな感じ。
売上発生
↓(まだお金は入らない)
仕入・人件費・家賃の支払い
↓
キャッシュが尽きる
↓
終了
利益は「帳簿上の数字」
キャッシュは「血液」
血液が滞れば死ぬ。
極端な話、赤字でもキャッシュがあれば延命できる。
コロナのとき、補助金や融資で延命した企業が多かった。
いわゆる「ゾンビ企業」が増えたのも、この構造だ。
善悪の話ではない。
ただの仕組みの話だ。
🔶昔話
自分も一度、この状態に落ちたことがある。
売上は伸びていた。
でも、現金が消えていく。
理由はいくつか重なった。
🔸事業拡大による先行投資
🔸売上増加に伴う仕入の増加
🔸取引条件の変更(入金が遅れる)
🔸イレギュラーな支出
どれも1つ2つなら耐えられる。
でも、このときはすべてが同時に押し寄せてきた。
🔶やれることは全部やった
🔸支払いは可能な限り後ろにずらす
🔸個人資産を売る
🔸親・親戚・金融機関から借りる
とにかく現金をつくった。
しかし、それでも足りなかった。
もう、恥も外聞もなかった。
頭を下げて解決するなら、いくらでも下げる。
泥水すすってどうにかなるなら、喜んでそうする。
そのくらい行き詰まっていた。
ついに、打つ手がなくなり
「死」という現実が、すぐ目の前まで迫ってきた。
死んで家族が守れるなら…
いや、もしかしたら
死んでラクになりたかった自分がいたのかもしれない。
そんなとき、妻に言われた。
「死んでどうする気なん?死んだところで誰も幸せにならんよ?」
「死ぬ方法を考えるヒマがあったら、1つでも多くやれることをやりなさい」
何かが吹っ切れた。
不思議なもので、腹をくくった瞬間から流れが変わった。
🔸交渉が通る
🔸資金の目処が立つ
🔸協力者が現れる
偶然かもしれない。
でも、確かに「流れ」が変わった。
結果として、なんとか会社は持ち直した。
🔶あの頃のメンタル
当時、毎日簡単な日記をつけていた。
気分を5段階(5が最良で1が最悪)で記録していたが、
あの時期はずっと「1」。
何をしても気分が晴れない。
寝ても覚めても資金繰りのことばかり。
考えても苦しい。
考えなくても苦しい。
そんな状態だった。
🔶「破産」すれば済む?
「死」を選ぶ経営者は珍しくない。
むしろ一定数いる。
極限まで追い込まれたとき、彼らが見ている景色は、もはや外から見える現実とは別物になっている。
残るのは、崩れた信用と、巻き込んだ人への重い負債。
そして、多くの場合、会社の借入に個人で連帯保証をしており、倒産はそのまま自分の破綻に直結する。
家族、従業員、取引先、金融機関…
関わってきた人の顔が浮かぶほど、逃げ場は狭くなる。
やり直せる制度があっても、「もう戻れない」という感覚がそれを遮る。
そんな極限の圧力が、現実にある。
🔶結局、何が大事か
①会社は「利益」ではなく「キャッシュ」という「血液」で動く生き物。
止まればそれで終わり。
だから
この血液が滞らないように回し続けなければならない。
②「目先の利益より、将来を取れ」
これ、理屈は正しい。
わかっている。
わかっていても、
わかっていても、
キャッシュ確保のために、目先の利益を取りにいかなければならない瞬間がある。
③本当に詰んだと思ったとき、
まだやれることは意外と残っていたりする。
考え続け、行動し続ける限り、打ち手はゼロにはならない。
ゼロだと思った瞬間に終わりを迎える。
🔶最後に
経営はきれいごとでは回らない。
数字と現実の世界だ。
でも最後に効いてくるのは、
意外と「開き直り」と「行動量」だったりする。
あのとき、もし諦めていたら、今はない。
今日も誰かがギリギリのところで踏ん張っているのかもしれない。
そんなことを考えながら、昔の話を書いてみた。
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