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【ニュース解説】 楽天に最大1500億円__スターリンク依存を減らす国策衛星通信の現実

空からスマホをつなぐ計画が動き出した

楽天が進める衛星通信に、政府が最大1500億円規模で支援する方針だ。狙いは、山の中や離島、海の上、災害で基地局が止まった場所でも、スマホをつなげる通信網を日本にも持つことにある。

いまのスマホは、基本的に地上の基地局とつながっている。だから基地局の電波が届かない場所では圏外になる。衛星通信は、その届かない場所を空から補う仕組みだ。登山中に連絡が取れない。離島で通信が弱い。大きな地震や台風で基地局が使えない。そういう場面では、空からつながる回線がかなり大きな意味を持つ。

この分野では、すでに米スペースXのスターリンクが先に走っている。便利なサービスではあるが、日本の大事な通信を海外の仕組みにどこまで頼っていいのか、という話も出てくる。今回の楽天への支援は、そこにつながっている。

スターリンクだけに頼れない理由

すでに日本では、KDDI、ソフトバンク、ドコモがスターリンクを使ったスマホ向け衛星通信を進めている。スターリンクは米スペースXのサービスで、技術も展開の速さも強い。

利用者から見れば、圏外でもつながる選択肢が増えるのはかなりわかりやすいメリットだ。問題は、その便利な通信網をどこまで海外企業に任せていいのかという点にある。

通信は、ただの民間サービスではない。災害、物流、行政、防衛、医療にも関わる。いざという時に、料金や契約だけでなく、運用の判断まで海外側に寄りすぎると、日本が自分で動かせる余地は狭くなる。

楽天とASTで進める衛星通信

今回の衛星通信は、楽天が単独で衛星を作り、打ち上げ、運用する計画ではない。楽天モバイルは、アメリカのASTスペースモバイルと組み、スマホを衛星に直接つなげるサービスを日本で進めている。

この仕組みの特徴は、専用の衛星電話を使わなくてもいいところにある。いま持っているスマホが、そのまま空の衛星とつながる。基地局の電波が届きにくい山間部や離島、海上でも通信できるようになる。2025年には、日本国内で衛星を通じたビデオ通話の実験にも成功した。

ただ、衛星通信の技術で大きな役割を持つのはAST側だ。ロケットの打ち上げも、日本国内だけで完結する話ではない。楽天が日本でサービスを広げるとしても、その土台には海外企業の技術や宇宙インフラがある。

だから今回の支援は、日本だけで衛星通信を一から作る話ではない。スターリンクとは別の選択肢を日本に持つという意味はある。一方で、完全な国産インフラと呼ぶには、まだまだ足りない部分がある。

それでも政府が支援する理由

では、海外企業の技術を使うなら意味がないのか。そこまで言い切るのは早い。スターリンク一社に寄るより、別の選択肢を持つことに意味がある。

通信の世界では、ひとつの会社、ひとつの国、ひとつの仕組みに頼り切るほど、障害や政治リスクに弱くなる。楽天とASTの組み合わせでも、日本国内で運用や管理に関わる部分を持てるなら、何もないよりはずっといい。災害時の通信は、平時のスマホ料金とは性格が違う。採算だけでは整いにくいところに、国費を入れる判断も理解できる。

日本企業が主役になれない寂しさ

一方で、今回の話には日本の弱さも出ている。日本版スターリンクを作ると言いながら、衛星そのものの主役はアメリカ企業に近い。日本には、楽天以外にこの規模でスマホ直結型の衛星通信を進められる会社がほとんど見えていない。

通信会社も、宇宙企業も、単独で世界と勝負するには時間も資金も足りない。だから海外勢と組む現実的な道になる。これは悪い選択とは言えないが、日本の通信インフラを守るという話なら、次は国内企業がもっと深く関われる形を作らないと、依存先が少し変わっただけで終わってしまう。

1500億円で何を残すのか

今回の支援で見るべきところは、楽天が利益を出すかどうかだけではない。1500億円規模の国費を使って、日本に何が残るのかだ。衛星を飛ばし、スマホがつながり、災害時に役立つ。それはもちろん大切だ。ただ、それだけなら海外サービスを買うのと大きく変わらない。

国内で運用できる人材、地上設備、通信のノウハウ、次の衛星開発につながる経験が残るか。そこまで積み上がって初めて、この支援は日本のインフラ投資として納得しやすくなる。スターリンク依存を減らす一歩にはなる。ただ、その一歩を国産の力に変えられるかは、ここからの作り方にかかっている。

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