うさぎとロボット
数年前からうさぎを飼っている。
娘が一人っ子で、それは自分が妹と不仲だから弟妹などいらないだろうと思ったからなのだけれど、それはそれとして何かの面倒を見ることも学んでおいた方が好いと考えた。
それにはペットを飼うのが好いが、犬や猫では随分高い。だからといって金魚やハムスターでは、意思の疎通もできなさそうで、少しく趣旨が違うように思われる。
どうしたものかともやもやしていると、たまたま行ったホームセンターにうさぎがいた。一匹数千円から二万円ほどで、これなら無理な額ではない。ケージ、餌、餌を入れる針金ボールなど、必要な物を一式合わせて六万円だったと記憶している。
それで白黒のハチワレうさぎを一匹連れて帰った。果たして娘は甚だ可愛がったが、甘やかしすぎたのか、或は生来そういう性格だったのか、明らかに人間を見下す個体に育って今に至る。
落とした餌を拾おうとすると攻撃してくる。頭を撫でようとすると攻撃してくる。どうも剣呑でいけない。
それでも見た目は可愛らしい。気分が好ければおとなしく撫でられて、ぷうぷう云う。
思春期の娘がこれからますます反発して、きっとこのうさぎのような案配になるのだろうと思っている。
先日、仕事の用件で或る家電量販店を訪問した。
サービスカウンターで担当者を呼んでもらったが、接客中なのか一向出て来ない。十分経ち二十分経ち、その内とうとうカウンターの店員さんも「すみませんね」と顔を曇らせながら帰ってしまった。
自分はどうにも手持ち無沙汰でいけないので、カウンターの傍に小さな丸いロボットがちょろちょろしているのを覗いてみた。
すると先方もこちらに目を向けて、何だかふにゃふにゃ云って来た。何を云っているのだかわからない。どうやら人の言葉ではないらしい。
頭を撫でるとまたふにゃふにゃ云って、手を上下にばたばたさせる。何だか可愛らしい。
もう一体、充電器に乗っていたのが段々目を開けて、やっぱりこちらを見てふぅと云った。もっとも、そう云っただけで寄っては来ない。あんまり人に馴れていないのだろうと承知した。
そこへ担当者が、どうもお待たせしましたと云いながらやって来た。
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