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飛行少女

 小学校に入ってすぐ、校庭の遊具の説明があった。クラス全員で遊具を一つ一つ見て回り、担任の岡田先生が使い方を説明した後で順番に試すのである。
 学校だから、遊具と云ってもそんなにたくさんはない。また、ほとんどは近所の公園で使ったことがある。ただし、中で回転シーソーだけはそれまで見たことがない。
 回転シーソーは横から見るとTの形をしていて、横棒が左右にぐらぐらしながらぐるぐる回る。その両端にぶら下がって回りながら上がり下がりする遊具である。
 段々勢いがついて、終いに随分高くまで上がるので、しっかり掴まっていないと落ちて怪我をする。
 どうも怖いようだが、こんな怖ろしい遊具があるとはさすが小学校だと感心した。
「はい、久野さんと森川さん、やってみて」
 岡田先生に云われ、久野さんと森川さんがぶら下がって上下動を始めた。果たして段々高くなり、小柄な森川さんはほとんど宙に舞うような姿勢で振り回されながら、しっかり掴まって身体をピンと伸ばしている。
「そう、あんなふうに森川さんみたいにやるのが正しいです」
 先生は絶賛したけれど、自分はあんなに高く上がるのは怖いから嫌だと思った。森川さんも必死な顔をして、どうも楽しそうではない。そうしてこんな怖ろしい遊具があるとは、さすが小学校だとまた感心した。
 森川さんはそれから二三回上がり下がりした後、ようやく地面へ戻った。
「はい、次は友森君と百君」
 友森とは幼稚園が違ったから、関わるのはこれが初めてである。お互い遠慮したのと、さっきの森川さんが怖かったのとで、あんまり飛ばずに地味に終わった。
 森川さんは教室に戻ってもずっと必死な顔だった。それで自分は、森川さんは元々そういう顔なのだとわかった。
 どういうわけか、森川さんの顔を見たのはこの時きりで、後は一向覚えがない。



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