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yharuki
復員兵と少年
以前、通勤ルートで毎朝、復員兵のようなおじさんを見かけていた。復員兵と云ったって、平成の終わり頃のことだから、きっと本物ではない。復員兵風のおじさんである。
復員おじさんは毎朝、自作のドラム缶焼却炉でごみを燃やしていた。多分、その辺の地主なのだろう。だから復員兵でも裕福な復員兵なので、復員兵にありがちな悲壮感みたいなのはない。ただ毎朝のルーティンでごみを燃やしているのである。
その傍らを小学生らが「おはようございます」と言って通学し、復員おじさんはニコニコしながら「おぉ! おはよう!」とか「気を付けて行けよ」と返すのである。その光景を見ると、自分はいつも何だか懐かしいような心持ちがした。
全体何がそんなに懐かしいのか、最初は一向判然しなかった。自分の子供時代にはごみを燃やす復員兵はいなかったのである。
それでも見かける度に懐かしい。思い出せないのがどうにももどかしく、じりじりしていたら、ある時ふっと、この復員おじさんがメイツ星人に似ているのだと思い付き、それで全部得心がいった。
メイツ星人は心優しい宇宙人だった。
調査のために地球へやって来て、たまたま身寄りのない地球人少年に出くわした。彼は少年を不憫に思い、帰星を止して少年の面倒を見始めたが、残念ながらじきに身体を悪くした。どうも地球の空気の汚さに馴染めなかったらしい。
そうして日に日に弱っていくところへ、宇宙人はみんな敵だ、悪だと決め付ける地球人から集団リンチに遭って、とうとう命を落としたのである。
メイツ星人のことを思い出すと、人間のために戦うのが嫌になるのでいけない。
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