地下グルメ
昔、名古屋駅の近くに勤めていた頃、昼食は大体近くの三軒でローテーションした。飲食店は周りに随分あったが、迷うのが面倒だったのである。
三軒とも地下街にあり、一番近いのがあんかけスパゲッティー屋だった。これはエレベーターの扉が開くと目の前にあった。
あんかけスパゲッティーは太い麺に胡椒の効いたソースをかけたもので、名古屋めしの一つである。
自分は元々パスタ屋で働いていたものだから、どうもこれをスパゲッティーと認めたくない。名古屋に来てもずっと食べずにいたが、ここへ来てから食べてみたら存外美味くて、ローテーションの席次に加えた。
次に近かったのは定食屋で、「わらじかつ」を売りにしていた。
わらじのように大きなとんかつということらしいが、一度注文してみると、大きいには大きいが甚だ薄い。
揚げる前に叩いて薄く伸ばしたのだろうけれど、何だかうどんをふやかすみたいな印象で、こんなことをするより普通の厚みのを普通の大きさで出してもらった方がありがたいと思った。
改めて考えると、わらじというのは別に大きなものではない。
それからこの店に入っても、わらじかつはきっと食べないことにした。
最後の一軒はカレー屋である。
あんまりはっきり覚えていないのだけれど、「おばあちゃんの懐かしいカレー」というようなのが店の一推しだったと思う。
最初はそれをそう云ってみたが、甚だ普通のカレーで、特に懐かしさもおばあちゃん感もない。もっともこちらはそんなことはどうでもいいので、カレーだったらハズレはないのと値段も安いのとで、三軒の中で一番よく行った。
ある時、この店で食事を済ませた後で急に便意を催した。腹が痛いわけではないが、物凄い圧力で肛門を内側から押し開けようとされる感覚がある。
それで事務所へ戻る前に急いでトイレへ入ったら、時ならぬ下痢便がどっさり出て、色々考えさせられた。
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