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 休みの日になんにもすることがないから散歩に出た。南の方へは次の休みに行くことにして、まずは北の城がある方へ歩いて行った。

 北は市の中心部で、それなりの駅もあるが、一本裏へそれると随分古い長屋のような家が並んでいる。ほとんどの家の屋根に祠のようなのが付いている。屋根神様という、この地域の風習なのだそうだ。
 長屋は、玄関前に鉢植えが置かれていたりNHKの支払いラベルが貼られていたりして、人の住んでいるらしいのもあれば、そうでないのもある。どれもみんな、壁に白蟻駆除業者やボンカレーやアース渦巻のホーロー看板がべたべた貼られている。
 自分は何だか子供の頃の夢を見ているような心持ちで、頭がふわふわした。

 長屋の間を抜けてショッピングセンターの前を通り過ぎると、今度はコクヨ事務用品の看板を出した古びた文房具屋があった。
 文房具は好きだが、こういう店は下手に入ると何かを買わなくては出づらい空気になる。だからよほどそのつもりでなければ入らない。この時はそのつもりでないからやり過ごした。
 文房具屋の裏に、市立病院があった。城山から続く起伏を削って建てたらしく、こちらからだと半分埋もれているように見える。
 病院から通りを隔てた住宅地の端に、随分立派な家があった。家と云うより屋敷、屋敷と云うよりちょっとした城だと思った。それから、ちょっとした城はさすがに云い過ぎだと思った。城もどきである。
 全体、もどきと云えば似せて作ったもので、即ち偽物である。がんもどきが雁にどのくらい似ているか、あいにく雁を食ったことがないので知らないが、この城もどきは確かに城に似せている。
 敷地の中に高低差がある。高くなった所に石垣があり、その上へ三階建の天守閣みたいなのが鎮座している。立派だけれど品がない。
 そうして何だかうんこのにおいがした。



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