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dinor1980
砂金探し
仕事中に目の見え方がおかしいと思ったら、コンタクトレンズが片方失くなっていた。店長になって間もない頃である。
休憩中のバイトに代わって洗い物を片付けていた時で、足許を探したけれど見当たらない。どうもシンクに落としたらしい。シンクには水を溜めて、汚れた皿が浸けてある。水はミートソースの色に染まって、油が浮いている。
「うーわ、俺コンタクト落としたわ」
ちょうどバイトの上田君が戻って来たので、ぼやいてみた。
「まじですか、その辺に落ちてないですか?」
「探したけど、ない。どうもシンクに落としたらしい」
「あららら」
まぁしょうがないと云うと、上田君は「きっとありますよ。諦めたらそこでゲームオーバーですよ」と名言のような事を言って、汚水を笊で浚え始めた。そうしてすくった残飯を、目を凝らして確認する。川底から砂金を探すような按配である。
「きっとありますよ」
気持は大いにありがたいけれど、こんな汚水の中から出てきた物を目に入れるのは嫌だ。
「ありがとう。でももういいよ」
「でも、きっとありますから」
上田君は砂金探しを一向止さない。どうも、探す作業が楽しいようだ。
結局そのまま皿洗いをしながら汚水の底を探し続け、閉店前にとうとう見つけてくれた。
「店長、ありましたよ!」
「……どうもありがとう……」
「諦めなくてよかったでしょう。買うと高いですからね」
「……うん……」
見つけてくれたはありがたいが、やっぱり使う気にはなれない。自分はそれをこっそり捨てた。
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