金閣寺と逆さま
先日、たまには家族でどこかへ出かけましょうと妻が云い、一家三人で金閣寺へ行った。
娘は先年小学校の修学旅行で行ったが、ガイド役のタクシードライバーがポンコツ過ぎて、写真が一枚も残っていない。二年経ってもそれで怒っているので、よほど腹に据えかねるのだろう。
自分は中学校の修学旅行で京都へ行ったけれど、ちょうど古都税に関連した拝観停止騒動があって金閣寺へは行っていない。
だから今回の行き先として金閣寺はちょうど良かったのである。
金閣寺と云えば、真っ先に浮かぶのがアニメの『一休さん』である。
生まれて初めて金閣寺の実物を目の当たりにし、自分は一休さんの絵を上手に描いた友人のことを思い出した。なかなか一休さんの絵を描く人はなかったから、こいつは一休さんを描くのかと感心した。
アニメ以外では、小学生の時に金閣寺のプラモデルを作ったことも思い浮かぶ。
当時はガンダムのプラモデルが大変なブームで、店へ入荷してもすぐに売り切れる。それで見かけた時にすぐ買えるよう小遣いを取っていたのだけれど、いつまで経ってもガンプラには出くわさない。それでとうとう、ガンダムの代わりに金閣寺を買ったのである。
組み立てる際、パーツに施された金メッキに接着剤が着くと容易に剥がれた。その部分は地のグレーが見えて、何だか汚らしくなるのである。何しろ小学生のことだから、あんまり丁寧には組み立てない。おかげでどうもみすぼらしい金閣寺ができ上がった。
それをしばらく机の横に飾っていたが、じきにどこかへやってしまった。
黄金色の建物をバックに、中東の青年に写真を撮ってもらった。青年はアングルを変えて二枚撮ってくれた。随分気の利く中東人だと感心した。彼が撮影する間、その足元では小さな子供が地面に目玉の絵を描いていた。
敷地を一通り見て歩き、最後に出口付近のトイレに入ると、奥の個室でうめき声がした。苦しそうな恨めしそうな案配で、気持ちが悪い。段々怖くなって急いで出たら、個室からおじさんが現れた。
おじさんは登山帽を被っており、目鼻口が上下逆さについていた。そうして水道で手を洗った。
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