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警官・ディープパープル・言葉遣い

 免許証更新の案内が来たのでほっとした。現在所有している免許証は、顔写真がどうかした弾みに老人の顔になって具合が悪い。自分でもあんまり見たくないし、他人にも見せたくない。今度はもう少し男前に写るよう頑張ろうと思っている。

 先年、車で得意先へ向かう途中にパトカーが現れた。どこかで事件があったのだろうと思って道を譲ったら、どういうつもりか、パトカーは自分の前に停車した。そうして中から女性の警官が降りて来た。どうやら事件ではなく、自分を追ってきたらしい。
 こいつまじかとうんざりしていると、果たして警官女子が窓をコンコンやって来るのである。
「何?」
「どうして停められたかわかりますか?」
「さぁ? 自主的に停まったんで、停められた認識はないよ」
 すると女子は、残念でしたというような顔をして、「そうですか。一時不停止です」と言った。
 何が残念でした、か。舐めやがって。と、甚だムカついたが、実際には残念でしたなど云われていないので、勝手にそう思っているだけだと気が付いたら、ムカつきがブーメランのように自分へ戻って来た。それで益々ムカついた。
 あんまりムカつくものだから、「で、何? 何でもいいから早くしろよ」と言ったら、女子の後ろから男性警官が現れた。年の頃は自分より幾分下だったろう。そうして「はいごめんなさいね。早くするんでちょっと待ってね」と言うのである。
 自分は、何だその口の利き方はと、愈々いよいよムカついた。
 ムカつきながら、昔甘木さんが警官に何だか注意された腹癒せにパトカーを蹴飛ばしたら、随分手際よく取り押さえられ、謝って放してもらった話を思い出した。それでムカついた顔のまま噴き出しそうになって困った。

 学生時代に鍵の壊れた自転車に乗っていたら、やっぱり警官に止められた。
 その警官は、防犯登録を照合する間に「君はあれか、ヘビメタか? おまわりさんはねぇ、ディープパープルが好きだったんだよ」とタメ口でにこやかに語りかけてきた。他人を泥棒扱いしておいて何がディープパープルか、お前の趣味なんか知るか、と思いながら「はぁそうですか」と敬語で答えたのを今でも覚えている。

 若い頃は身内以外の誰に対しても敬語だったが、最近はタメ語を基本にしている。五十路だし、もうそれでいいだろうと思う。
 ちょっと面倒くさい人は別だけれど、得意先の担当者レベルなどは一言目だけ敬語にしておいて、二言目からタメにすることも多い。その方がフランクな話ができる。
 敬語とタメ語の合わせ技は割と使える。


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