『聖夜のフクロウカラス』せりふ三題噺
「ホーホッホッホッ」とフクロウの真似をしているカラスに、それホッホッホじゃなくて、ホーを繰り返した方がいいよ、と教えたけれど、聞こえないふりだ。
「フクロウの真似してどうするの」と聞くと、「夜、よく見える」からだと言う。夜に何か見たいものでもあるのと重ねて聞くと、今度はニヤリと笑う。「プレゼントを狙ってる」
今夜、髭の生えた爺が、プレゼントを持って子供のいる家に侵入するらしい。そんな噂をつかんだのだとカラスは得意げだ。さすがカラスは情報通だ。
でも実際は、ほとんど家の中で完結するから外で待っていても無駄だと思うよ、と教えたけれど、「そんなことないさ」と、カラスは自信満々だ。
朝いつも、ごみ置き場で顔を合わせる仲だ。友人を、真夜中に一人にしておけない。僕も一緒に待つことにした。今夜、暖かい部屋の中で飲むつもりだった温め直したグリューワインを両手で握りしめ爺を待つ。
……でも、来るはずはない。爺役は僕だから。
しょうがない。娘へのプレゼントから、キラキラ光る星柄の包み紙だけをそっと剥がし、カラスに差し出す。
「もらっていいの? ありがとう」カラスは嬉しそうに羽を広げ、「ホーホッホッホッ」と鳴きながら夜空へ跳んでいった。
フクロウの真似鳴きなら、真夜中でもよく見えるのだろう。聖夜に、フクロウカラスの声が響き渡る。
ホーホッホッホッ、ホーホッホッホッ。
(了)
※下記、はらとけい様の企画に参加させて頂きました。
