りんごちゃんとかばん組
草木も眠る丑三つ時。今日も今日とてものたちがお喋りをしている。特に今日はりんごちゃんのお披露目会。かばん組(かばんちゃん、扇子はん、カラビナ付きポーチさん、サングラス氏、ハンディファンくん、日傘さん、亀どん)は興味津々でりんごちゃんを見ている。
りんごちゃんがにこにこと挨拶する。
「はじめまして。いつも楽しそうだなって、うらやましかったんだ。主が留守中に部屋の皆さんとお喋りさせてもらったよ。仲良くしてくれるとうれしいな。」
かばんちゃんがぺちゃんとなって、頭を下げる。
「いつも朝、主がお世話になってます!主が遅刻しないのは、りんごちゃんがいつも時間を教えてくれるからだよ。これからもよろしくね!」
「かばんちゃんがしっかりものだから、主が頑張れるんだよ。あたし、いつも感心してるんだー。」
扇子はんが上品に表を広げる。
「りんごちゃん、うちは扇子どす。主のことをいろいろ教わりたいと思ってます。よろしくお願い申し上げます。」
「そんな堅苦しい挨拶はなしなし!扇子はんが面倒見がいいの、知ってるよ!扇子はんのその深いブルーの地にうさぎの柄、かわいいよねー、主が好きなのわかるよ。あ、扇子はんが赤くなった!あたしとお揃いになったねっ。」
「私、カラビナ付きポーチです。『時は金なり』と申します。それを体現なさるりんごちゃんは素晴らしいと思います。」
「うわっ、真面目。カラビナ付きポーチさんのいいところだよねー。インテリで軍師ぽいよねー。でもあたし、ただ仲良くしたいだけだから、もっと気楽に話そ。ね!」
「えーと、わしじゃない、自分、じゃない、ぼ、僕?亀どん言います。え、えーと。」
りんごちゃんが爆笑する。
「大丈夫!大丈夫だから!あたし、亀どんがむちゃくちゃ優しいって知ってるもん!普通に喋って。わからなかったら、おかめさんや扇子はんや団扇どんに聞くから。よろしくね、亀どん!」
亀どんはまたリアル手足を左右に動かした。うれしかったらしい。
日傘さんがにっこり笑う。
「こんなかわいらしい方とお友達になれるなんて、私、とても光栄ですわ!こちらこそよろしくお願いします。」
「やだー、そんなこと言われると照れちゃう。夏のお嬢さん♪に言われるなんて!」
留守番組の年長グループ(蚊取り線香先輩、団扇どん、おかめさんとひょっとこ氏)は内心
「古っ……昭和……」
とツッコミを入れていた。
えーと、風鈴くんとモビール嬢はよくわかってないので、ゆらゆら仲良く揺れている。
サングラス氏がバチっとウィンクする。
「チャオ、りんごちゃん。きみみたいなキュートなシニョリーナと仲間になれるなんてうれしいな。歓迎するよ。よろしく。」
「あ、さすがだねー。ナウくて、シャレオツでトレンディだね。ドキドキしちゃう。」
留守番組の年長グループが心の中でハモっていた。
「ナウい……シャレオツ……トレンディ……雲行きが怪しくなってきたぞ……」
ハンディファンくんがいきなりぶった斬った。
「ねえりんごちゃん、僕、ちょいちょいりんごちゃんが言ってることわかんないよ。もしかして案外、年取ってるの?りんごちゃんって若作りなの?」
一同顔面蒼白になる。
「言うてはならんことを言った。あの子……」
りんごちゃんが絶対零度の視線でハンディファンくんを見た。
「今、なんて言った?」
ハンディファンくんのほぼ満タンだった充電ゲージがゼロになり、ハンディファンくんはその場にバタンと倒れた。
カラビナ付きポーチさんが小さくつぶやいた。
「キジも鳴かずば撃たれまい……」
