願わくばすべてのブスを抱いて眠りたい (創作 フィクション 妙子編)
東でブスが悲しみに暮れていたら、そっと寄り添い、ブスを抱いて眠りたい
西でブスが自分の境遇に怒り心頭になっていたら、そっと寄り添い、ブスを抱いて眠りたい
南でブスが喜びにあふれていたら、喜びを分かち合い、ブスを抱いて眠りたい
北でブスが無表情だったら、一緒に無の境地になり、ブスを抱いて眠りたい
俺の名前は 山田一郎
人呼んで ブスコマシ だ
えっ? ブスの定義を知りたいって?
OK、いい質問だ
ブスとは…
自分で自分をブスだと思っていたり、ダメだと思っている人間だ
そういう人間はそのネガティブな思考により、恋愛、仕事、その他の人生において後ろ向きな結果がでることが多い
俺はそんなブスを救いたい
ブスを抱きたい
顔の作りなど関係ない
俺に抱かれて心が晴れたブスはもうブスじゃない
さて、今日俺が抱くブスは 妙子(29才♀ ) だ
妙子は幼い頃に父親を病気で亡くし、母子家庭で育った
常にお金がなくてギリギリの生活だった
そんな境遇から自己肯定感が低かった妙子はその反動でとにかくお金を稼ぎたかった
かと言って、キャバクラで働けるようなコミュ力も風俗で働けるような度胸もなかった妙子が選んだ仕事は 女体盛り の仕事だった
女体盛り とは宴会などで裸の女性が体に刺身を盛り付けられる仕事で、舟盛りでいう舟の役割を女性の裸体で担うものだった
裸にはなるが性的サービスなしで報酬がよい仕事は妙子にうってつけだった
仕事に慣れた頃、女体盛り仲間から誘われて参加した合コンで1人の男性と知り合い恋に落ちた
合コンでは職業をイベントコンパニオンと偽った為、彼に仕事内容を知られていなかった
やがて彼との将来を考え始めた矢先に事件が起きた
幸せそうな妙子に嫉妬した女体盛り仲間が妙子の職業を彼にバラしたのだ
彼は
[君を抱こうとしたら刺身を思い出すし、刺身を食べようとしたら、君を思い出す 気のせいだと思うが君といるとなんだか生臭い]
という言葉を残して去ってしまった
妙子は自分の運命に絶望した
そしてハマチの刺身を大量に飲み込んだ
窒息をして死のうと思ったのだ
ゴホッ、ゴホゴホ
誰かに背中を叩かれて大量のハマチが喉から飛び出した
ブスコマシ
[オイオイ、ずいぶんとせっかちな女だな ハマチはゆっくり食べたほうが美味しいぜ]
妙子
[誰よあんた、邪魔しないでよ]
ブスコマシ
[そんなにハマチを喉に詰め込んだら、生臭い女がさらに生臭くなっちまうぜ?それにおもちじゃなくてハマチを喉に詰まらせるなんて聞いたことないぜ]
妙子
[何よアンタ‼ 初対面の人間に生臭いって失礼じゃない‼ もうアタシなんてどうなってもいいんだからほっといてよ‼]
ブスコマシ
[初対面の人間に馬鹿にされて怒りが湧いてきたなら、もう死にたくなくなり始めている証拠さ]
妙子
[…言われてみれば確かに死のうとしていたのが急に馬鹿らしくなっちゃったわ、ありがとう]
ブスコマシ
[そうか、そいつはよかった ところで、アンタさっき、自分なんてどうでもいいって言ってたよな? どうでもいいと思っているなら、騙されたと思って俺と一晩ともにしてみないか?]
〜翌朝〜
ブスコマシ
[素敵だったぜ]
妙子
[また会える?]
ブスコマシ
[ああ、いつだって会えるさ まぶたを閉じたらいつだって俺はそこにいる]
妙子
[行ってしまうのね…]
ブスコマシ
[俺にはまだ俺を必要とするブスがいる…妙子の運命はもうブスじゃないから大丈夫さ]
妙子
[さよなら、ブスコマシ…私も本当の 愛 を探してみるわ]
その後、女体盛りの仕事をやめた妙子はパートで働き始めたクリーニング店で、店主に見初められて幸せな結婚をした
ブスコマシとの思い出を胸の奥の引き出しに大切にしまって
