(掌編小説) タカシとナオトの間で揺れるユウコとノートを貸す岩男

この物語は2人の男性の間の恋心で揺れるユウコとその揺れるユウコの心の隙間を狙う男と、ただユウコにノートを貸す岩男の物語である
登場人物
ユウコ…出会ったときから、ナオトの顔に惹かれていたが、タカシの一途な想いにほだされてタカシと付き合いはじめた
しかし、ナオトへの想いを断ち切れずナオトに告白した
タカシ…出会ったときから、ユウコだけを愛する心優しき一途な男
ユウコが自分と別れてナオトが付き合った後も一途にユウコを想っている
ナオト…タカシがユウコに好意を持っているを知って2人のキューピットになった男
美しい顔をしていて、女性に優しいがナルシストな男
中島先輩…ユウコとタカシとナオトが入っている大学のサークルの先輩
一見、優しいが女好きな男
岩男…ただユウコにノートを貸す男
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どうしても、ナオト君の事が好きなの
ナオトは昨日ユウコに言われた言葉が頭から離れないでいた
ユウコは親友であるタカシの彼女だ
むしろ、2人をくっつけたのは自分だった
奥手なタカシに変わってユウコを誘って3人で遊びにいっては、いつも途中で帰って2人っきりになるように仕向けた
ユウコが自分に好意を持っているのはなんとなく気がついていたけど、女性に好意的に見られるのはいつものことなので、特に気にしていなかった
人に言うと嫌われるから、誰かに言ったことはないけれど、僕は顔が整っている
顔が整っている上に自分でそれをわかっているから、自分の顔が1番良く見える髪型やファッションを研究している
基本的に僕と接した女性は僕に対して好意を抱くので、あまり気にしないでタカシとユウコが上手くいくように仕向けていた
ただ一つ、いつもと違っていたのは、ユウコと接すれば接するほど、色っぽい と感じてしまっていたことだった
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どうしてもナオト君が好きなの
タカシは昨日ユウコに言われた言葉が頭から離れなかった
わかっていた事だった
ついにはっきりと言葉に出されてしまったと思った
付き合う前に3人で遊んでいた時から、ユウコがナオトを見る目に恋心があるのはわかっていた
それでもユウコの事を好きな気持ちは変わらなかった
ナオトも自分の事を応援してくれた
だから、ナオトの事を好きなユウコごと好きになれば良いと思った
ユウコが自分の告白に応じてくれて付き合う事になった時は、天にも昇る気持ちだった
このままゆっくりとユウコの中のナオトへの気持ちを消していけば良いと思っていた
だけど、ユウコの中の気持ちは消えなかった
それは、ユウコだけの問題ではなかった
僕達が付き合うようになってからも、ナオトは3人で遊ぼうとするのをやめなかった
2人っきりになるのは付き合う前と同じで3人で遊んだ後、ナオトが帰ってからだった
ようやく2人っきりになった時、ユウコはいつも寂しそうな目をしていた
付き合っていけばいくほど、ユウコの寂しい顔を見れば見るほど、ユウコの気持ちに気づいているのにしばりつけている罪悪感のような物に苛まれるようになっていた
だけど、僕は離れられないでいた
ナオトの事を想っている顔でさえ、愛おしくてたまらなかった
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どうしてもナオト君のことが好きなの
ユウコから電話があったのは、昨日の夜だ
ユウコから
先輩、すぐにきて
と言われて居酒屋に呼びだされた
ユウコとタカシとナオトはサークルの後輩でいつも3人でいた
その光景は少し異様だった
普通は仲良し3人でもそのうちの2人が付き合えば、カップルとそうでない人間には距離ができる
なのにあの3人はまるでそれがなかった
原因はナオトにあると思っていた
ナオトはナルシストだ
意識してか無意識か、全ての女性にモテようとする
まわりの人間は気がついていないけど、俺は気がついていた
ナオトはユウコとタカシのキューピットをしたのに、無意識でユウコにモテようとしているように見えた
多分、俺はナオトと同類だから気がつくのだと思う
まんまとナオトを好きになってしまったユウコは感情がグチャグチャになって、昨日ナオトに告白して、そのままタカシにもそれを言ったらしい
居酒屋に着いたときには、ユウコは酔っていた
タカシが優しい事と、それでもナオトに惹かれてしまう罪悪感をずっと語っていた
どうでもいい
そんな事より、ユウコは色っぽかった
昨日は気の済むまでユウコの愚痴を聞いてあげた
中島は隣で寝ているユウコの頬にもう一度キスをした
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どうしてもノートを貸して欲しいの
大学のテストが近づいたときにユウコは岩男に話かけてきた
岩男はノートを貸した
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ナオトは、ユウコの気持ちを受け入れて付き合うことにした
タカシには、ユウコと3人で会って、ユウコを好きになってしまったことと、ユウコも自分を好きだと言っていることを伝えた
タカシは わかった と言った
そして お前らの邪魔はしないけど、誰よりもユウコを好きだから、ユウコの気持ちが戻るのを勝手に待ってる と言って去っていった
タカシが去っていくのを涙を流しながら見ているユウコはたまらなく色っぽかった
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あれだけ好きだったナオトと付き合えたのにもかかわらず、ユウコは次第に寂しさを感じるようになっていた
ナオトは言葉使いは優しいけど、タカシとは違っていた
タカシは夜道は危ないからと言ってデートの帰りは必ず家まで送ってくれた
タカシは月に一度の女の子の日でも一緒にいたいといって泊まってくれた
タカシはどんなワガママを言っても、しょうがないなと笑って許してくれた
タカシは自分の親友と付き合うという最低な裏切りをした私をずっと待ってると言ってくれた
だけど、やっぱり、どうしようもなくナオトの顔が好きでたまらなくて、タカシのもとに戻りたいのにナオトの顔に溺れていたかった
そんな自分の醜い感情に嫌気が差したときは中島を呼んで抱かれていた
とことん最低なことをして、闇堕ちすることで感情のバランスをギリギリで保っていた
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岩男君、ノート貸して
岩男はいつものようにノートを貸した
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ナオトと付き合えば付き合うほど、中島に抱かれれば抱かれるほど、タカシがどれだけ自分を大切にしてくれていたかを感じるようになっていた
細かい話だけれど、タカシとデートしていた時、お金は全てタカシが出してくれていた
タカシが金欠なときに、今日は私がデート代もホテル代も出すから会おう と言った時もタカシは
じゃあ、今日は公園でデートして
と言って、公園で散歩してジュースをおごってくれてキスをしてバイバイした
ナオトなら、私にホテル代を出させていただろうし、中島なら公園で私を抱いただろう
やっと気がついたんだ
私はやっぱり、1番大切にしてくれる人と一緒にいたい
タカシと一緒にいたい
そう思ったけど、どんな顔してタカシのもとに戻ればいいのかわからないまま半年が経っていた
タカシと別れてからあまりサークルに顔を出していなかったので、この半年、ほとんどタカシと会っていなかった
大学の帰り道、金欠のタカシとデートした公園を1人で歩いていたら、あの優しい顔が視界に入ってきた…タカシ…ああタカシだ…
自然と涙がでてきた…もう気持ちを抑えられない…タカシが好き…
駆け寄ろうとした私よりも先に、笑顔でタカシに駆け寄っていく女の子が視界に入った…
そうだよね…
そうだけど…もう半年も経ってるから、他に彼女ができてもおかしくないけど…
嘘つき…ずっと待ってるって言ったのに…やっと素直になれそうだったのに…
ナオトに連絡したけど繋がらなかった
ナオトは多分、私以外にも彼女がいる
私の事も、自分の親友の彼女を好きにさせる自分に酔っていただけだ
自分を大好きな人だから
中島に連絡したけど繋がらなかった
多分、今日もどこかの女の子と会っているのだろう
ナオトと似ていて、女の子にモテることでしか自分の存在を確認できない人だから
フラフラと大学に戻ったら、私がいつもサボって出てない授業がちょうど終わる所だった
教室から既視感のある男の子がでてきた
[あの、岩男君…]
[ああ、ユウコさん、ノートだね、今、バックから出すからちょっと待ってね]
[あっ、うん、ノートもだけど、今日、この後ヒマ?]
[えっ?]
[あっ、いや、なんでもない…]
[ヒマヒマヒマヒマヒマ‼なになに?]
[もしよかったら、飲みにいかない?]
[いくいくいく‼]
誰でもよかった
真面目が取り柄の地味な男
皆がノートを借りているのを見て、面識ないのに私にもノートを貸してといったら笑顔でいいよと言ったお人好しな男
ノートを借りるときしか会話をしたことのないブスな男
居酒屋でこのブスな男の子と飲んでいたら意外と楽しかった
まるで昔からの友達のようにすぐに打ち解けることができた
お酒の勢いもあって、いつの間にか、タカシの事 ナオトの事 中島の事 全部を岩男に話してしまっていた
楽しかったはずなのにタカシの事を思い出したら、やっぱり悲しくなった
タカシがさっきの女の子と手をつないだりキスをしているのを考えると胸が苦しくてたまらなくなった
やけくそな気持ちが怒涛のように湧いてきた
もう、今日は岩男でもいい 誰でもいい
と思って上目遣いで
岩男君、今日、ずっと一緒にいてくれる?
と言った
正直、自分でも思うけど私は色気だけはあると思う
そういう目で見てくる男の人が多くて、自分の内面を見て貰えないのが寂しいクセにこういう時はそんな自分の見た目を利用して寂しさをまぎらわせてしまう
つくづくダメだと思いながら、今日も岩男を誘った
岩男はちょっと待ってて
と言ってトイレにバックを持っていった
トイレから出てきた岩男は
[はい、ノート 今日は楽しかったよ]
と言ってノートと一万円を置いて帰ってしまった
地味な岩男にもフラれたか…
今日は最悪な日だな と思いながら何気なく岩男が置いていったノートをながめていたら、それはいつもの授業のノートとは少し違う表紙だった
よく見ると
ユウコさん用
という文字が下の方に小さく書いてあった
ノートを開くと表紙と1ページ目の間に手紙が挟まっていた
拝啓、ユウコ様
今日はこれ以上あなたと一緒にいたら、邪な気持ちになってしまいそうなので帰ります
あなたがさっき僕に言ってくれた、タカシ君の事、ナオト君の事、中島さんの事、実は全部知っていました
僕はあなたの事をずっと見ていました
あなたは気がついてないですけど、僕はあなたと同じ中学校出身です
地味で友達もいなくて誰も話をする人もいなかった僕(地味なのは今も地味ですが)が変わるキッカケをくれたのがあなたでした
僕は毎日、誰も話をする人がいなくてヒマだったので、授業中にとったノートを休み時間にわかりやすくまとめ直していました
そんな僕のノートを偶然あなたが見て、
え〜すごい、これ‼
自分でまとめ直してるの⁈
と言って、皆に
マジですごいんだけど、みんな見て‼
と言ってくれて、その日からみんなが僕にノート貸してと話かけてくれるようになりました
その日から僕にとってノートは存在意義になりました
高校はあなたとは違う学校でしたが、あなたにもらった存在意義のおかげで
よかったら、ノート見る?
のひと言が言えたことで友達も作ることができました
大学であなたと再開したときに、あなたから
私にもノートを貸して
と言われたときは嬉しくて飛び上がりそうになりました
だから、だからね、ユウコさん、もっと自分を大切にして欲しいんだ
自分の気持ちに素直になって欲しい
あなたが最近ずっと悲しそうな顔をしていたので、僕はあなたのまわりの人の行動をノートにまとめていました
ナオト君と中島さんはやめた方がいいと思う
いろんな女の子と遊んでいます
タカシ君はいい人です
おそらくタカシ君と一緒にいた女の子は同じゼミのミカさんです
2人は付き合ってないけど、ミカさんはタカシ君のことが好きだと思う
ミカさんもとてもいい人なので、いつかタカシ君の気持ちも動いてしまうかも知れないから、その前に素直に気持ちをぶつけた方がいいと思います
今ならまだ間に合うと思います
あなたにノートを褒められてからの5年間、ノートとあなたへの想いが僕の存在意義でした
だけど僕は今日でノートを存在意義にするのとあなたへの想いを終わりにします
だって、今日あなたに渡したこのノートより意味のあるノートはもう書けないから
僕も前に進むので、あなたもタカシ君に気持ちをぶつけてください
ノートには、タカシ ナオト 中島 そしてミカの直近一ヶ月の行動が詳しく書かれていた
色分けされていて、行動や言動の注意点も詳しくまとめられていて、ナオトや中島が他の女の子と映っている写真まで貼ってあった
探偵じゃん…
もう探偵じゃん…
というかストーカーじゃん…
私はノートを読みながら泣いてしまった…
このノートを作るのにどれだけの労力を使ったのか…
私は世の中には素敵なストーカーがいるのを知った
私は涙で滲んだノートをバックにしまってタカシに電話をかけた
もう迷わない
もう揺らがない
私はタカシが好き
その気持ちをストレートに伝えたら、電話口のタカシは泣きながら
おかえりなさい
とだけ言ってくれた
あれから私は誰かにノートを借りるのをやめた
借りものではない、自分の力で 自分の意思で 自分の人生というノートを埋めていくんだ
できれば、タカシとずっと一緒に
完
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この物語は関谷ユウコさんとダイエットの件でコメントをやりとりしていたら、ノリで書くことになったラブストーリーです
コバルト文庫なるものに寄せたラブストーリーを書くようにとのご指示みたいでしたが、コバルト文庫が何かわからないので綺麗事ではないリアルな感情を含むオリジナルになってしまったことを謝罪します
書いていく内に、岩男がミカにワザとストーカーして逮捕されたり、中島が岩男に恋をしてBLに目覚めたりという、いつもの なんのはなしかわからないはなし になってしまっていきました
しかし、関谷ユウコさんを主役にしたハッピーエンドの話を書くという趣旨を思い出して、バッサリと切り落としてなるべくノーマルなラブストーリーに近づけたつもりですが、私の書くものなので多少、岩男臭のするラブストーリーになってしまったことを謝罪いたします
あと、視点がコロコロ変わる話を書いてみたかったので挑戦してみたのだけど、読み辛かったでしょうか
なるべく誰の視点かわかりやすくしたつもりですが、わかり辛かったら申し訳ございません
なんか、私、言い訳と謝罪ばっかり書いてるな🌊🌊🌊
いつもよりノーマルな分、自信がないからだろうな🌊🌊🌊
では、失敬🌊🌊🌊
