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珈琲とイモ畑    #なんのはなしです珈

私の妻は珈琲が大好きです

それに比べて私は珈琲をあまり飲みません

深い理由はなく、しいて言うなら、お茶の方が好きだからくらいです

思えば、妻と一緒にいることができる理由は妻が珈琲を飲み、私がお茶を飲むからかも知れません


妻と知り合ったのは大学生のときのサークルでした

私は生粋の陰キャですが、18歳から10年ちょっとの間、無理をして陽キャのフリをしていた時期があり、妻と出会ったのはその時期でした

チャラチャラしていました

サークルもチャラチャラしているサークルに入っていました

サークルの男子は私の大学の学生で、女子は近隣のいくつかの女子大の女の子達を勧誘していました

いわゆるインカレサークルという類のモノでした

テニスサークルという名前だけど、女の子と出会うためだけのサークルでした

週に1回集まり、1時間くらいテニスをしたら皆でお酒を飲みにいき狙った女子をロックオンする、そんな軽薄なサークルでした (私にいたってはテニスラケットも持っていませんでした)


女の子達側からしても、目的は出会いだったみたいで、皆、一様にパンツが見えるくらいのスカートにバッチリメイクでした

テニスをやる気のない彼女達は私と一緒でラケットを持っていなくて、私の先輩達から借りてやっていました

そんなある日、今日からまた新しい女子大の女の子達がくると先輩が言いました

当時、各大学のセキュリティ意識が低くて、校門でチラシを配ってもなにも言われなかったため、毎週のように、いろんな女子大の校門でチラシ配りをしていました

新たなるミニスカート達が登場してくるとワクワクしていた我々の目の前に現れたのは

上下黒ジャージ、メイクではなく日焼け止めを塗りたくり、運動靴に、ラケット持参 という 

全力でテニスをしにきた5人組の女の子でした

我々男子はみんなあっけにとられました

まさか、インカレサークルに本気でテニスをしにくる女の子がいるとは思っていなかったからです

我々は彼女達を影で イモ女 と呼んでいました

彼女たちは1時間でテニスを切り上げてお酒を飲みにいこうとするのを拒否しました

もっとテニスがしたいと

スカートの短い女の子達は、お酒を飲みにいきたがりますが、テニスを楽しんでいるイモ女達をおいていくわけにはいかないので、テニスコートの使用時間ギリギリまで我々も付き合うことになりました

そんな日が毎週続いてくるとスカートの短い女の子達はサークルにこなくなりました

我々は スカートの短い女の子達 より イモ女達 を優先しました

派手で男の子と出会うのが目的の女の子達より、一生懸命テニスをやっている イモ女達といる方が楽しくなっていったのです

我々も軽薄な集団だったくせに…あとから考えるとスカートの短い女の子たちには悪いことをしました

それから我々のサークルはイモ女達が楽しくテニスができるといってたくさん友達を呼んだ結果、さらなるイモ女達であふれ、大豊作のイモ畑になりました

妻は、黒ジャージのイモ畑の1人でした

服装はイモジャージだが、当時、私が大好きだった ジュディ アンド マリー というバンドのボーカルのユキにどことなく似た妻の顔が好きになりました

顔が好きになったので口説きましたが、当時の妻には真面目な彼氏がいて陽キャのフリをしてチャラついていた私は全く相手にされませんでした

ずっと口説き続けましたが、全然相手にされず、彼氏と別れるまで3年間待ちました

なんでそんなに好きになったのかというと、顔が好き以外の理由は、妻と話をしていると疲れないからでした

それまで私は趣味や気があったり、ユーモアのセンスのあう女の子と会話を被せあって楽しんだりするような付き合いをしていました

そういう人と一緒にいると、とても楽しくて盛り上がるのですが家に帰ると、どっと疲れが押し寄せて体が重くなっていました

妻は話をしてもユーモアに興味もなく、趣味も全然あわなくて会話も盛り上がりませんでした

会話が盛り上がらないのに、一緒にいたり会話をするとなぜか安らぎを感じ、全く疲れませんでした


交際をして結婚してからもそれは変わりませんでした  

妙なサービス精神がある私は、人に楽しんでもらったり笑ってもらうために自分のポテンシャル以上のものを出そうとしていつもクタクタになっていました  

クタクタになって家に帰ると完全にスイッチを切っても大丈夫な相手である妻がいました

私の精神衛生を健全に保てる場所がそこにありました

もし、物事を細かく考えてしまう私が妻と同じく珈琲を好きだったら


どんな風に珈琲をいれたら喜ぶかな

どのタイミングがいいかな

今日は何の豆がいいかな

冷たいのがいいかな 温かいのがいいかな


みたいな感じで毎日考え過ぎて、少しずつ疲弊してしまうと思います

しかし幸いなことに妻とは何もかも趣味があわないので、私がお茶を飲んでいるときに、妻は全然違う方向をみながら珈琲を飲んでいます

こうして今日も心の安寧が保たれた私は自分が飲まない珈琲を買って帰ります


珈琲を飲んで幸せな顔をしている妻がみたいから…


いつまでたっても珈琲豆の種類は覚えられないけど…




#なんのはなしです珈


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