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勝った人だけを見るな。負けた人の中にこそ、人生を変える答えがある

「勝者ではなく敗者に注目すること。敗因には普遍性があり、敗者は負けるべくして負けています。決断力のなさ、情報収集の甘さ、慢心など、反面教師として学べる点が多い」

これは、予備校講師として多くの受験生を指導し、テレビ番組でも活躍している林修先生の言葉です。

私たちは、つい成功した人に目を向けがちです。

スポーツでも、勉強でも、仕事でも、「勝った人」「成功した人」「結果を残した人」の話には多くの人が興味を持ちます。

「あの人はどうして成功したのだろう」

「どんな練習をしていたのだろう」

「どんな考え方を持っているのだろう」

そう考えることは、とても大切なことです。

しかし林先生は、少し違った視点を私たちに教えてくれています。

それは、「負けた人から学ぶ」という考え方です。

一見すると、少し厳しい言葉に聞こえるかもしれません。

しかし、この考え方には、人生を良い方向へ変える大きなヒントが隠されていると思います。


林修先生が見てきた、成功と失敗の数々

林修先生は、東京大学法学部を卒業後、一度は一般企業に就職しました。

誰もが羨むような経歴ですが、順風満帆だったわけではありません。

会社員時代には、自分の思い描いていた人生との違いを感じ、退職という決断をします。

その後、事業に挑戦するもののうまくいかず、多額の借金を抱えた時期もありました。

そのような失敗を経験したからこそ、林先生は「成功だけを見る危険性」を知っています。

現在では、東進ハイスクールの人気講師として何万人もの生徒を指導し、「いつやるか?今でしょ!」という言葉で全国的な存在になりました。

しかし、その裏には、たくさんの失敗や挫折がありました。

だからこそ、成功者の華やかな部分だけではなく、失敗した人がなぜ失敗したのかを分析することが大切だと語っています。


成功には偶然がある。しかし失敗には理由がある

私はこの言葉を聞いた時、レスリングの世界と非常によく似ていると感じました。

試合が終わった後、多くの選手は勝った試合よりも負けた試合を何度も見返します。

なぜなら、勝った試合には偶然うまくいった部分が含まれていることもあるからです。

もちろん努力をした結果ではあります。

しかし、「たまたま相手の調子が悪かった」「相手の作戦と自分の戦い方が噛み合った」ということもあります。

一方で、負けた試合には必ず原因があります。

体力が足りなかった。

技術が不足していた。

試合前の準備が甘かった。

相手の研究ができていなかった。

最後まで諦めない気持ちが足りなかった。

そこには、次に成長するためのヒントがたくさん隠れています。

私自身、選手時代に世界大会や日本一を経験してきました。

嬉しかった勝利も数え切れないほどあります。

しかし、今振り返った時に自分を大きく成長させてくれたのは、むしろ負けた試合だったように思います。

負けた直後は、悔しくて現実を受け入れたくないこともありました。

「もしあの場面で違う技を選択していたら」

「もっと練習していたら」

そんな“たられば”を考えたこともあります。

しかし、そこで目を背けずに、自分の弱さと向き合った時に、次の成長につながりました。


負けを認めることは、強くなるための第一歩

しかし、人は負けた理由を正しく見ることが簡単ではありません。

負けた時、人はどうしても自分を守りたくなります。

「審判の判定が悪かった」

「相手の方が運が良かった」

「体調が悪かった」

もちろん、実際にそういう要素が影響することもあります。

スポーツは人間が行うものですから、完璧な条件で毎回戦えるわけではありません。

しかし、そこで全てを周りのせいにしてしまったら、自分自身が成長する機会を失ってしまいます。

私自身、レスリング人生の中で数え切れないほどの勝利を経験してきましたが、それと同じくらい悔しい敗戦も経験してきました。

全国大会や世界大会という大きな舞台では、少しの判断ミス、一瞬の迷い、ほんのわずかな準備不足が勝敗を分けます。

負けた時は、もちろん悔しいです。

努力してきた時間が長いほど、その悔しさは大きくなります。

しかし、そこで目を逸らさず、

「なぜ負けたのか」

「次に勝つためには何が足りなかったのか」

を考えることができる選手ほど、次の大会で大きく成長します。

逆に、負けた理由を外に求め続ける選手は、同じ失敗を何度も繰り返してしまいます。

これはスポーツだけではありません。

勉強でも、仕事でも、人間関係でも同じだと思います。

テストの点数が悪かった時に、

「問題が難しかったから」

だけで終わってしまえば、次も同じ結果になるかもしれません。

しかし、

「勉強時間が足りなかった」

「苦手な分野から逃げていた」

「計画の立て方が悪かった」

と、自分自身に原因を探すことができれば、次は改善することができます。

負けることは決して悪いことではありません。

本当に怖いのは、負けから何も学ばないことなのだと思います。


反面教師という最高の教科書

林先生の言葉の中に、「反面教師として学べる点が多い」という表現があります。

私はこの考え方が非常に大切だと思っています。

私たちは子どもの頃から、

「成功した人を見習いなさい」

と教わることが多いと思います。

もちろん、成功者から学ぶことは非常に多いです。

一流選手の努力、考え方、生活習慣には参考になる部分がたくさんあります。

しかし、それと同じくらい大切なのが、失敗した人から学ぶことです。

例えば、宿題をいつも後回しにして困っている友達を見た時、

「自分は早めに終わらせよう」

と思うことがあります。

これも立派な学びです。

交通事故のニュースを見て、

「自分は安全確認を徹底しよう」

と思うことも同じです。

誰かの失敗を見ることで、自分が同じ道を進まないようにする。

これが反面教師という考え方です。

実は、これはとても効率の良い学び方です。

自分自身が全ての失敗を経験しなくても、他人の経験から学ぶことができるからです。

人生には時間の限りがあります。

だからこそ、成功例だけではなく失敗例にも目を向けることで、自分の人生をより良い方向へ進めることができるのだと思います。


勝者の言葉だけを信じてはいけない

最近は、SNSや動画などで多くの成功者の話を簡単に聞くことができる時代になりました。

「この方法で成功した」

「これを続けたら人生が変わった」

という話を見る機会も増えました。

もちろん、そこから学ぶことはたくさんあります。

しかし、林先生の言葉を借りるなら、勝者だけを見ることには危険もあります。

なぜなら、同じことをしても全員が同じ結果になるわけではないからです。

成功した人の裏には、同じ挑戦をして失敗した多くの人がいる場合もあります。

だからこそ、

「なぜ成功したのか」

だけではなく、

「なぜ失敗したのか」

という視点も持つ必要があります。

物事を一つの方向から見るのではなく、様々な角度から見ること。

それが、冷静な判断につながるのだと思います。


私自身が競技人生で学んだ「敗者から学ぶ」ということ

この考え方は、私自身のレスリング人生の中でも非常に大切にしてきた考え方です。

私は小学生からレスリングを始め、中学・高校時代には全国大会や世界大会など、さまざまな大舞台を経験してきました。

もちろん、日本一になった経験や世界大会でメダルを獲得できた経験は、自分にとって大きな自信になっています。

しかし、今振り返ってみると、私を大きく成長させてくれたのは、勝った試合だけではありません。

むしろ、負けた試合の方が今の自分を作ってくれたと感じています。

勝った時というのは、もちろん嬉しいです。

「努力してきて良かった」
「自分のやってきたことは間違っていなかった」

そう感じることができます。

しかし、勝利の中には、時として見えない問題が隠れていることもあります。

たまたま相手の調子が悪かったかもしれません。

自分の苦手な部分を相手が攻めてこなかっただけかもしれません。

それでも結果だけを見れば「勝ち」です。

だからこそ、人間は自分の弱点から目を背けてしまうことがあります。

一方で、負けという結果は非常に残酷です。

試合が終わった瞬間に、自分に足りなかったものを突きつけられます。

技術が足りなかったのか。

体力が足りなかったのか。

練習量が足りなかったのか。

試合中の判断が悪かったのか。

気持ちの準備が足りなかったのか。

負けた原因を探ることは、決して楽しい作業ではありません。

自分の弱さと向き合わなければならないからです。

しかし、その苦しい時間こそが、人を強くすると私は思っています。


負けた時に大切なのは「誰かのせい」にしないこと

スポーツの世界では、負けた時に言い訳を探そうと思えば、いくらでも探すことができます。

「審判の判定が悪かった」

「相手の組み合わせが悪かった」

「体調が良くなかった」

「環境が悪かった」

もちろん、本当にそういう要因もあるでしょう。

私自身、納得できない判定を経験したこともあります。

どれだけ努力をしていても、競技には自分ではコントロールできないことがあります。

しかし、そこばかりに目を向けてしまったら、自分自身の成長は止まってしまいます。

大切なのは、

「自分が変えられることは何だったのか」

という視点を持つことです。

例えば、試合当日に体調を崩したのであれば、前日の過ごし方や日頃の身体管理を見直すことができます。

最後まで体力が持たなかったのであれば、練習方法を変えることができます。

技が通用しなかったのであれば、新しい技術を身につけることができます。

つまり、負けという結果の中には、次に勝つためのヒントがたくさん隠れているのです。

だから私は、選手たちにも「負けることを恐れるな」と伝えています。

もちろん、勝負をする以上、勝ちたいという気持ちは必要です。

負けてもいいと思って試合をする選手は、成長しません。

しかし、負けたという事実から逃げてしまう選手も、また成長できません。

本当に強い選手というのは、負けた後に自分を見つめ直すことができる選手です。


指導者になった今だからこそ感じる敗北の価値

現在、私は指導者として学生たちと向き合っています。

選手時代とは違い、自分がマットに上がることはありません。

しかし、学生たちの勝利も敗北も、自分のことのように感じます。

勝った時は本当に嬉しいです。

努力してきた姿を知っているからこそ、心から喜ぶことができます。

一方で、負けた時は本当に悔しいです。

特に、あと一歩届かなかった試合を見ると、

「もっと違う練習方法があったのではないか」

「もっと良い声掛けができたのではないか」

と、指導者である私自身も反省します。

これは、選手だけではなく指導者も同じです。

成功だけを見ていては成長できません。

失敗や敗北の中にこそ、次に進むための答えがあります。

だからこそ、私は学生たちに結果だけで評価をするのではなく、そこに至るまでの過程や、負けた後の行動を大切にしてほしいと思っています。

負けた瞬間に全てが終わるわけではありません。

その敗北をどう受け止め、次の行動に変えるのか。

そこに、その人の本当の強さが現れると思っています。


勝者の物語だけを追わない

世の中では、成功者の話が注目されることが多いです。

オリンピックチャンピオン。

会社を大きくした経営者。

夢を叶えた芸術家。

もちろん、そのような成功者から学べることはたくさんあります。

しかし、成功者の裏側には、数え切れないほどの失敗があります。

また、その成功までたどり着けなかった人たちの経験にも、たくさんの学びがあります。

なぜうまくいかなかったのか。

どこで判断を間違えたのか。

どんな準備が足りなかったのか。

そこには、同じ失敗を繰り返さないための大切な教訓があります。

車を運転する時も同じです。

事故を起こした人の事例を学ぶことで、「自分はこういう行動をしないようにしよう」と考えることができます。

これはスポーツも、勉強も、仕事も、人生も同じです。

敗者の経験は、私たちに「こうすれば失敗する」という貴重な地図を渡してくれているのです。


負けを経験した人だけが語れる言葉がある

私は、人生で一度も負けたことがない人はいないと思っています。

スポーツで負けること。

試験に落ちること。

仕事で失敗すること。

人間関係でうまくいかないこと。

誰もが、人生のどこかで敗北を経験します。

しかし、その経験は決して無駄にはなりません。

むしろ、苦しい経験をした人ほど、人の痛みを理解できるようになります。

負けたことがあるから、負けて悔しがっている仲間に寄り添える。

失敗したことがあるから、挑戦する人の勇気を理解できる。

これは勝利だけでは手に入らない、大切な財産だと思います。

林修先生の

「勝者ではなく敗者に注目すること。敗因には普遍性があり、敗者は負けるべくして負けています」

という言葉は、決して負けた人を馬鹿にする言葉ではありません。

むしろ、負けという経験の中には、誰もが学べる大きな価値があるという意味だと私は受け取っています。


最後に 〜負けた日の涙を未来の力に変える〜

私たちは、勝ちたいから努力をします。

誰だって、負けるために努力する人はいません。

だから負けた日は悔しいです。

涙が出ることもあります。

「もうやりたくない」

そう思うこともあるかもしれません。

しかし、その悔しさを感じるということは、それだけ本気だった証拠です。

本気で挑戦した人にしか、味わえない感情です。

大切なのは、負けた次の日にどう行動するかです。

負けた原因から目を背けるのか。

それとも、もう一度立ち上がり、自分を変えるために行動するのか。

その小さな差が、数年後には大きな差になります。

私はこれからも、勝った経験だけではなく、負けた経験から学び続ける人間でありたいと思います。

そして、指導する学生たちにも、勝敗だけに一喜一憂するのではなく、その経験から何を学ぶのかを大切にしてほしいと思います。

勝利は自信を与えてくれます。

しかし、敗北は成長するための課題を与えてくれます。

人生を長い目で見た時、どちらも自分を成長させてくれる大切な経験なのだと思います。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。

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