ヒジャブ、シャーマン、シャガイ…アニメ1本で異文化がわかる
【異文化理解】
アニメを見ているだけなのに
13世紀の世界史や宗教文化がすっと頭に入ってくる…
そんな体験、したことありますか?
今、私がまさにその体験をしているアニメがあります。
『天幕のジャードゥーガル』です。
以前、エモいモンゴル語を紹介しましたが、
今回は「文化」に注目してみたいと思います。
マンガ原作者のトマトスープさんは幼少期に
中国の内モンゴル自治区に行ったことがあり
モンゴル帝国史が好きとのことです。
だからこそでしょうか
生活に根ざした文化が随所にちりばめられていて
見るたびに「へえ!」と声が出てしまいます。
第1話から第7話まで、印象に残った文化をまとめてみました。
知れば知るほど、アニメの見方が変わってくるはずです。
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第1話|13世紀のペルシャの女性の服装
ヒジャブ
女性が皆ヒジャブというスカーフで頭髪をかくしている。
イスラム法に基づく慎み深さの表現として、
また砂漠気候や日差し・砂塵から身を守る実用的な目的も兼ねていました。
指先を赤く染める化粧(ヘンナ)
シタラが仕えていた奥様の指先が赤く染められている場面もありました。
当時の女性にとって、手や足の爪、指先を赤く染めることは
洗練された化粧(おしゃれ)の一部だったそうです。
(奴隷であるシタラたちは、染めていません)
13世紀のペルシャ(および中世イスラーム世界)で
女性が指先や手足を赤橙色に染めるのは、
植物の「ヘンナ(ヘンナ/指甲花)」を使った化粧や伝統的な慣習です。
「魔除け・幸福への祈り」「美しさの強調」「人生の節目(結婚など)の祝福」という意味がありました。
こうした小さな仕草ひとつにも
身分や信仰が映し出されているのだと感じました。
第1〜2話|13世紀のイスラム世界の奴隷制度
奴隷が、過酷な労働だけでなく
なごやかに家族の一員のように生活していた場面が印象的でした。
主人公のシタラ(のちにファーティマと名乗る)は
学者の家の奴隷となり
働きながらも文学や学問を学ばせてもらいます。
そして奥様(ファーティマ)から娘のように愛され、
いずれは息子の嫁にとまで思われていました。
すべての奴隷がこのような人間的扱いを受けるわけではないでしょう。
けれど13世紀のイスラーム法の下では、
奴隷に対する一定の権利や保護規定があり
主人との関係性や条件次第では解放される道や
社会的な教養を身につけて力をつける可能性が存在したとのことです。
奴隷のアニースはこの件について話したあと
「でも、あまり期待しない方がいいわ。自分じゃ何も決められないの、私達。人じゃなくて所有物なのよ」とシタラに話しています。
この一言に、当時の現実の重さを感じました。
第3話|日時計
ファーティマ(シタラ)が
モンゴルのゲル(移動式テント)の天窓(屋根)から
差し込む光の位置で時間を計っていました。
ファーティマの賢さが際立つシーンで
道具がなくても知恵で工夫する姿に見入ってしまいました。
第4話|羊の解体方法の違い
ファーティマ(シタラ)が
自分の故郷(ペルシャ)とモンゴルの違いを比較していた場面です。
ペルシャ式(イスラーム圏)
神の名を唱えながら鋭利な刃物で羊の喉を切り
血液をすべて体外へと完全に排出させます。
イスラーム教では「流れる血」を不浄なものとして
食べることを禁じている(ハラール)ため、
徹底的な血抜きが必須とされています。
モンゴル式(遊牧民)
羊の腹を小さく裂き
そこから手を差し入れて心臓近くの太い大動脈を指で引きちぎります。
血は体外へ出さず、胸の中に溜めて器ですくい取ります。
遊牧民にとって血は「大地を汚してはならない神聖なもの」であり、
同時に血のソーセージなど貴重な栄養源として
余すことなく消費するための知恵でもあります。
同じ「羊をいただく」という行為ひとつにも
信仰と自然観の違いがはっきり表れていて
とても興味深く感じました。
第6話|シャーマン
ドルゲネのはじめの夫
メレンゲ族のダイルは「カム」と呼ばれていました。
「カム」とは、モンゴルやテュルク系諸民族の間における
シャーマン(巫術者・呪術師)を指す言葉です。
神や霊的な存在と交信し、託宣を得たり祈祷を行ったりする存在。
諸説ありますが
日本語の「神(カミ)」やアイヌ語の「カムイ」の語源とも言われ
霊的な高次の存在と人をつなぐ役目を持つとされています。
第7話|羊のくるぶしの骨=シャガイ
ファーティマ(シタラ)がシャガイを使って占っていました。
モンゴルでは遊牧民の子どもの遊び道具と聞いたことがありますが、
実際に使っているのを見たことがなかったので、
アニメに出てきて「おお!シャガイだ!」と
テンションが上がったのは私だけかもしれません。
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☟原作者トマトスープさんのインタビューより
「学ぶこと」は何のためにあるのかというと、
「自分で決める」ためなんじゃないかと、私は今のところ思っています。
この言葉に出会って、はっとしました。
文化や歴史を知ることは、
誰かを裁いたり優劣をつけたりするためではなく
自分がどう生きるかを、自分で選び取るためにあるのだと。
ヒジャブも、血の抜き方も、シャガイの占いも、
それぞれの土地で生きる人たちが
長い時間をかけて選び取ってきた「知恵」なのだと
このアニメを通して改めて感じました。
私がこの記事を書いたのも、同じ理由かもしれません。
知ることは、誰かと比べるためではなく
自分らしく生きる道を見つけるためにある。
そんなことを、13世紀の物語から教えてもらった気がしています。
8話以降も、放送を見ながら「これは!」と思う文化の描写に出会えたら、
また続編としてまとめたいと思います。
原作の漫画も、これを機に読んでみたくなりました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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🌈表紙はGemini
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「#世界史が好き」で、コングラボードをいただきました。
スキをくださった皆様、ありがとうございます。

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