ゴムゴムの実が落ちてきた?いえいえ、これはオザゲドン
落ち葉を踏みながら職場の敷地内を歩いていたらふと道ばたと芝生の上に赤ちゃんの頭くらいの大きな黄緑色のものが転がっているのが見えた。
「ん、グレープフルーツ?(どなたか落としていかれた?)」
近寄ってみると、実の表面に脳味噌のようなもようが。うう・・・ちょっと気味が悪い・・・・。漫画「ワンピース」に出てくるゴムゴムの実に似ている。これを食べたらルフィのようにゴム人間になれるの?
(こういうのが苦手な方、ごめんなさい!速攻で写真をスクロールして下さいね)

まずはこの正体を確かめてみよう。すかさず実のかたわらに立っている木をチェックした。プレートにはクワ科の木で、ラテン語の学名は”Maclura pomifera"とある。
そしてドイツ語名はというと”Osagedorn "
ん、オザゲドン?
恐竜か?
そして私の頭の中で次の瞬間「お下げどん」と日本語に変換されて、金髪の三つ編みをつけた実がニコリと笑みを浮かべる少女の妖怪みたいなイメージが浮かんだ。

ひええ、キモ可愛いかもしれないけどやっぱり怖い・・・。なんせこの実はかなり重くって秤で計ったら750gくらいの重さがあった。そのうえ固いから上から落ちて頭を直撃されたら気絶するのは間違いなし。正気に返ってもこのウニウニした模様のお下げどんを見たら確実にもう一度気絶すると思う。

なんてことはさておき、いったいこの珍妙なドイツ名はどこからよ?
ドンの部分はスペルを確認してすぐに分かった。Dornは正確に表記するとドルン=トゲの意味。枝から突き出た鋭いトゲがすべてを物語る。

じゃあオザゲは?
ググって分かったのは、この木がアメリカ南部が原産地で、そこはインディアン「オセージ族」の居留地だったことにちなんで名づけられたということ。なんと、オザゲの正体はオセージでしたか。ドイツ語読みすると、一転してホントにカチコチかた一くって厳しい感じがする。
オセージ族は伝統的な弓を作るのにこの木を用いたらしい。
あと大事なことを付け加えると、この木はいろいろな方向に伸びたトゲトゲがあるゆえに、開拓時代の米国では家畜を猛禽類から守ったり、バッファローの食害を防ぐための囲いや柵として植えられたらしい。けれども大きくなると作物に必要な太陽がさえぎられる、一度植えたら移動できないという難点もあって、19世紀に入って鉄条網が発明されると、その役目を終えたのでした。つまりオザゲドンは鉄条網のはしりってわけ。

そうか、オザゲじゃなくってオセージだったのかい、なんてつらつら考えていたら、大学時代、ドイツ語の授業で「行く=Gehen(ゲーヘン)」の活用形、
「ゲーヘン(現在形)、ギング(過去形)、ゲガンゲン(完了形)」
を習った後に、不二家のぺこちゃんみたいな風貌のMちゃんが笑いながら「こんなゲーがたくさんの言葉を使ってたら、性格がいかつくなりそう」と話していたのを思い出した。
確かに食べ物や風土だけでなく、言語もまた民族の特性を形作る(ような気がする)。オザゲと読んで、G(ゲー)の飛び交う国にどっぷりはまってはや四半世紀。私はMちゃんの予言通り、ドイツ人なみに大味なごつい気性になりはてた。いやいや、私には「お下げ」って読み違えてかわいらしく展開できる日本人のお茶目さが残っているんだもの、まだ大丈夫かも。(と自分に言い聞かせる)
ああでもない、こうでもないと迷走しつつ、思索を深める秋が本番を迎えて私は間もなく一歳年齢を重ねる。
いいなと思ったら応援しよう!
いただいたチップは植物のために使わせていただきます。よろしくお願いします。😊