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機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女を観て

今日は映画を観に行ってきた。

去年は劇場版孤独のグルメを観ただけだったので約一年ぶりの映画館。

ショッピングモール内に併設されているシネコンで規模はそれなりに大きい。

数多ある上映作品から私が選んだのは「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」だった。

前作は配信で観たのだが登場人物の紹介のようなイントロ部分が多めで物語の核心に迫った内容ではなかったので続編にあたるこの作品を観に行った次第である。

日曜日なので映画館は大盛況。

私は映画を観る時は基本的に誰かと一緒の方がいい。

上映後に感想会を開いてお互いの意見を言い合うのが楽しいからだ。

なので今日も妻と一緒に劇場に。

ちなみに私は三歳の頃に機動戦士ガンダム通称ファーストにリアルタイムで触れた世代でそれ以来Zガンダム、ZZガンダム、逆襲のシャアと宇宙世紀シリーズ他、数多のガンダム作品を観てきた。

派生作品も含めると膨大な量があるガンダムであるがやはり宇宙世紀シリーズが本流で馴染み深い。

妻はガンダムと言えばアムロとシャアを知っているくらいでアムロが良い方でシャアが悪者というおぼろげな認識がかろうじてある位でモビルスーツの知識は皆無である。

そんなほぼガンダムバージンな妻に無理を言ってついてきてもらった。

上映時間の少し前に劇場に着いてタッチパネルを操作してなるべく周りに人がいない席を探す。

閃光のハサウェイ キルケーの魔女は大ヒットで来場者数、興行収入的にも大成功を収めているそうだ。

先月の末に封切りされたのだがなかなか夫婦のタイミングが合わずようやく今日観る事が出来た。

上映十分前になって入場案内のアナウンスがあったので中に入る。

映画館内は空気が乾燥しているので私はコーラ、妻はオレンジジュースを買っておいた。

スクリーン真正面よりやや左寄りだが観やすい位置に陣取る。

上映が始まるまでに長い宣伝があるのでその間にスマートフォンの電顕を切ったり入場特典で貰ったトレーディングカードを眺めていたら私たちの席の真後ろに高校生くらいの男子五人組が賑やかに入ってきた。

ドッカと座って、五人組が前作の話やこれから始まる映画の内容についてあれこれとまあまあ大きな声でとても早口で喋っていた。

何となく嫌な予感がしたがまだ始まる前だしと思って気にしない事にした。

映画のジャンルはガンダムなので戦争物である。

逆襲のシャアのラストシーンでアムロが見せたアクシズショックから十二年後が物語の舞台となっており、主人公は長年アムロと共にジオンやティターンズ、ネオジオンとの戦いに艦長として指揮を執った伝説の名将ブライト・ノアの息子であるハサウェイ・ノアである。

シャアの反乱以降地球連邦政府は地球に住めるのは限られた富裕層か政府高官及び軍人と定めてそれ以外の市井の人々は強制的に宇宙コロニーに移民をさせるという強硬政策を取っていた。

そのあまりに驕り高ぶった政府のやり方に反発して各地でゲリラ的な反政府運動が起きたがその中でも規模の大きな反抗勢力がマフティーと名乗っている。

そのマフティーを率いているのがハサウェイ・ノアでありマフティー・ナビーユ・エリンと名乗って活動している。

他の主な登場人物は素性が不明で感応力と洞察力に長けており、どこか現実味のない謎の美少女、ギギ・アンダルシアが物語のキーパーソンになっている。

またマフティー殲滅を旗印に連邦軍の威信をかけてハサウェイ達を追い詰める生真面目で切れ者だがすぐに感情的になる連邦軍大佐ケネス・スレッグの三人の視点で物語は進んでいく。

物語の核心を突く話はこれから劇場に足を運ぶ方もいらっしゃると思うので割愛するが、私個人の感想としては閃光のハサウェイシリーズがようやく動き出したなという感じだった。

ガンダムと言うとしょせん子ども向けのアニメでしょ?と頭ごなしに馬鹿にしてくる人も大勢いるが、長年の権力の専横によって腐敗した地球連邦軍と政府の要人の驕り高ぶった態度と地球に住む人のみを地球人として特権階級扱いをしてそこに含まれない宇宙コロニーに住んでいる人をスペースノイドとあからさまに人種差別をする権力構造は現実社会にも通ずるものがあると思う。

戦争によって国や家族、仕事何もかも失った者を強制的に宇宙コロニーに移住させるという政府の方針に敢然と異議を唱えるのがマフティーである。

マフティー自体はかつてZガンダムの反地球連邦組織エゥーゴに比べると非常に脆弱で小さな存在なのだが世界中の現行政府の強硬なやり口に不満と疑義を持っているゲリラ組織と連携を取り活動をしている。

主人公のハサウェイ・ノアはかつてシャアの反乱時に戦場で想い人を亡くすという重いトラウマを抱えて生きている。

アクシズショックでアムロとサイコフレームが見せた人類の奇跡から何も学ぼうとしない連邦政府に対して強い憤りを持つのはごく当たり前のことだと思える。

武力による解決では憎しみが憎しみを呼ぶだけで争いは敵を完全に殲滅させるまで続く。

物語の核となるギギ・アンダルシアは自由闊達で奔放な少女だが、苛烈で陰鬱な戦時下においてその美貌と類まれなる直観力をいかんなく発揮している。

マフティーを追い詰める側のケネス・スレッグはハサウェイやギギと比べると年配で冷徹な軍人であり、指揮官としては非常に優秀であるがどこか鬱屈した感情を内面に抱えている人物である。

戦争という綺麗ごとではなく暗く、重く、憎しみや怒りの感情がスクリーンから何度も流れてきてその度に胸の奥をギュッと鷲掴みにされたような胃の腑が握りつぶされるような心の痛みを存分に感じた。

戦争のリアルとやるせない無力感に包まれているうちにあっという間にエンディングを迎える。

私がこの映画を観ようと思ったのは主題歌にガンズ・アンド・ローゼズの初期の代表曲である「スィート・チャイルド・オブ・マイン」が使われているからで最高の場面であの特徴的なギターのイントロが流れてきた時には冗談抜きで鳥肌が立った。

私は中学生の頃からロックにかぶれており、ガンズ・アンド・ローゼズとの出会いはそれまでの自分の人生観をひっくり返すくらいのインパクトを受けた。

なかでも「スィート・チャイルド・オブ・マイン」が収録されているデビューアルバムはカセットテープにダビングしてテープが擦り切れるくらい聴き込んだ思い入れのとても深い曲だったので、この映画を観る大きな動機にもなった。

この曲が好きすぎて自分の結婚式の入場曲に使ったくらいである。
参列者の方はいきなり流れたゴリゴリのロックナンバーに呆気にとられていたが可愛い恋人とこれからどこへ行こうかと問いかける愛の歌である。

ガンダム×ガンズという私にとっては人生のご褒美でしかないこの奇跡の組み合わせは控えめに言って最高だった。

妻は戦争物があまり得意ではなく前作も観ていないので正直よくわからなかったけどギギってしたたかな女の子ねと言う鋭い感想を述べていた。

ただ一つ残念な事があるとすれば私たちの後ろに座っていた高校生五人組が上映中にポソポソとお喋りをして今のシーンあれだよなとか、この角度から撃っても当たらないだろうとか上映中に感想会を開いていた事だった。

何度か後ろを振り向いて映画は黙って観ろと牽制のまなざしを送ったが自分たちの考察に夢中で効果は無かった。

この迷惑行為が無ければ大満足だったのにかなりの残念ポイントである。

この作品に興味を持たれた方には前作の機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイを観てから今作を鑑賞することを強くお勧めする。

人が生きる事と期待を背負う業の深さをこれでもかと突き付けてくる作品で魂が震えた。

私の拙い文章でこの映画の魅力が少しでも伝わったら嬉しい。

次回作が公開されたら必ず劇場に足を運びたいと思わせるのに十分な作品であった。

ロングラン上映になりそうな気配もするのでガンダム好きの方やガンダムは全然知らないけれどガンズ・アンド・ローゼズは大好きというロックファンにもぜひお勧めの一本である。

最後に主題歌の「スィート・チャイルド・オブ・マイン」のMVを貼り付けておくのでこの曲に何か感じるものがあったらぜひ劇場に足を運んで頂きたい。

どうだろう、この熱烈なラブソングを若かりし頃のアクセル・ローズがハイトーンボイスで歌い上げる姿は目も耳もビンビンに刺激してくれる。

やはり家で一人で配信映画を観るよりもスクリーンで見る映画の方が映像も音響も整っていて良いものですね。

今年は心の琴線に触れた映画を積極的に観に行きたいと思う。

興味のまるでないジャンルの映画に付き合ってくれた妻にも感謝。

戦争についても深く考えさせられる濃密な108分の体験だった。


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