ありがとう、無人店舗。アイフルを支えた「場所」物語
皆さんは「無人店」と聞いて、どんな景色を思い浮かべますか?
街道沿いに立つ看板。
駅前ビルに入る契約ルーム。
アイフルの無人店は、長くお客様との大切な接点でもありました。
2026年7月、無人店は役割を終えます。
WEB完結やアプリでの手続きが当たり前になった今、静かに表舞台を降ります。しかし、それは“なくなる”ではなく「役目を果たした」ということ。
アイフルの成長を支え、多くのお客様との出会いをつくり、時代の変化とともに進化してきた無人店。
そこには、店舗をつくり、守り、支えてきた人たちの想いが詰まっていました。
今回は、一つの時代を支えた無人店の歴史を振り返りながら、その場所に込められた想いと、次の時代へ受け継がれていくものを見つめていきます。

街で見かけた「あの看板」
今でこそ、スマートフォンやWEBで申込み、契約から借入まで完結する時代。
しかし、少し時計の針を巻き戻せば、そこには今の主流とは異なる金融サービスの“普通“がありました。
かつて、金融サービスの利用は「店舗に行くこと」が当たり前。そうした時代に登場したのが、無人契約ルームこと無人店です。
対面でのやり取りに不安や抵抗を感じるお客様にとって、プライバシーに配慮された空間で手続きを進められる無人店は、新しい選択肢となっていました。

「誰にも会わずに相談したい」
「周囲の目を気にせず手続きをしたい」
そんな声に応える存在として、多くのお客様に利用されてきた無人店。
街道沿い。
駅前。
街中のビル。
全国へ広がった無人店は、多くのお客様にとって最初の接点でした。
たとえサービスを利用したことがなくても、アイフルの無人店といえば「赤いハートの看板」が印象的なはず…。
そんな看板を見かけることは、それ自体がアイフルというブランドを身近に感じるきっかけにもなりました。
無人店は単なる営業拠点ではなく、お客様とアイフルをつなぐ入口であり、
事業を支えてきた重要な存在だったのです。

変化してきた無人店のあゆみ
30年ほどの歴史があるアイフルの無人店は、会社や事業の成長に伴い、そのスタイルを変えてきました。
当初、自動契約機が業界に誕生したのは1993年。
非対面や秘匿性を売りにした自動契約機は、これまで利用がなかった新規顧客層を流入させ業界にブームを巻き起こします。
アイフルにとっても転換点となった一大ブーム――。
この時、会社としても高い集客効果を認識して開発したのが、「お自動さん」というキャッチーな名前の付いた自動契約機です。

「お自動さん」は、アイフルのホームページが開設された年と同じ、1995年に東京2店舗からスタート。
「自動」と「地蔵」が掛け合わされた、このネーミングは、社内公募によって誕生しました。
ローンの申込みが自動でできる「お自動さん」は、多くのお客様に親しまれ、アイフルを象徴する存在になっていきました。
なんと…とある店舗では、従来1か月分の新規顧客をわずか10日で獲得したという実績があったとか。


社内資料によれば、アイフルの無人店最盛期には全国で1,704店舗へと拡大。
沿道、駅前、商店街の一角……気づけば契約ルームは、街中のあちこちで見かけるようになります。
既存の有人店ではカバーしきれなかったエリアにも続々と展開され、アイフルと全国のお客様との接点は大きく拡大していきました。

2013年には、新たな無人店舗「てまいらず」が誕生します。
従来の自動契約機と異なり、デスクに受話器やプリンター、スキャナーなどを配置した、機能ごとに整理されたシンプルなレイアウトを採用。
申込みから契約までの手続きを効率化し、所要時間の短縮を実現しました。
お客様は機械を操作する必要がなく、ルーム内に設置された電話を通じてオペレーターの案内を受けながら、申込みから契約までの手続きを進めることができます。

無人店を支える一部であり、現在も稼働を続ける草津セのコンタクトンターは2002年に運営開始。
アプリ開発と並行して、センター内のデジタル化を段階的に進めることで、遠隔でもお客様が安心して申し込める仕組みを構築していきました。コスト削減につながる運営体制も整備し、申込みから契約、そして社内業務のシンプル化へと繋げています。
こうして来店契約が主流だった時代から、インターネット申込みが広がる時代に移り変わった今。アイフルの事業を長年支えてきた各地の無人店は、2026年7月をもって、ついに全廃店を迎えます――。
無人店に詰まった想い
「無人店舗」という名称ではあるものの、その空間の裏側には、常に人の手と社員の想いが介在していました。
ここでは、無人店に関わったことのある2名の社員から、それぞれの立場で見つめてきた「無人店」を振り返ります。
樋口さん(当時、経営企画部)
2013年、現在の無人契約ルームにつながる改革プロジェクトに携わっていました。担当は書類保存の仕組みづくり。京都周辺の店舗で実証を重ねながら、「もっと便利にできないか」を毎日のように議論していました。
帰宅は深夜になることありましたね。新しいアイデアもたくさん出ましたが、なかには「それ、持ち帰られませんか?」の一言で消えたタブレット導入案なんかも(笑)。知恵を出し合ってつくった無人店がなくなると思うと、やっぱり感慨深いです…。


中島さん(当時、博多駅前店)
無人契約機が導入された当時、与信審査はお客様の顔を見ながら行うのが当たり前でした。そのため、対面せずにお金をお貸しすることに不安を感じる社員も少なくありませんでした。
しかし、導入後は状況が一変。契約ルームは連日の大盛況で、待合室のソファーが埋まり、まるで病院の待合室のようになることも…。店頭窓口の方が早いと案内しても、「待ちます」と無人契約機を希望されるお客様が続出。対面での借入れに抵抗を感じる方々のニーズに応え、無人契約機は新たな時代の入口となっていましたね。
当時は有人店に隣接した無人店もあり、「機械の後ろにいるんやろ?」と操作に戸惑ったお客様から声を掛けられ、遠隔案内のはずが何度も契約ルームへ駆け付けたことも。『無人とは?』と苦笑して対応したのもいい思い出です。

役目を終える、無人店
ひと昔前まで、カードローンの契約といえば無人契約機に足を運んでいただく「来店契約」が主流。街角でおなじみの風景として、長らく多くのお客様を支えてきた大切なタッチポイントでした。
しかし、時代は大きく動いています。
現在のアイフルでの「WEB申込率」はなんと97%。
スマホ一つで完結し、物理的なカードすら不要とする紙からWebの時代に突入しています。
この劇的な行動変化をアイフルで支えているのが、私たちのDX(デジタルトランスフォーメーション)の進化です。
現在ではデータに基づいた「独自スコアリング技術」を活用することで、WEB上でもスピーディーかつ精度の高い判断が可能になりました。
そしてサービスが便利に使える一方、アイフルでは回収不能となった債権の割合を示す年間貸倒率は3%前半の低位安定を続けており、安心できるサービスのご利用に向け、日々誠実な対応と改善に努めています。

このようにアイフルが長年磨いてきたスコアリングモデルと与信ノウハウ、そしてデジタルを掛け合わせることで、わざわざご来店いただかなくても、一人ひとりに合わせた最適な体験をご提供できるようになりました。
つまり、これまでの窓口であった無人店が役目を終えることは、決してサービスの「縮小」ではありません。
独自のデータ活用とデジタル領域へリソースを集中させ、時代に合った新しい価値をお届けするための、前向きで「戦略的な選択」なのです。
お客様の期待を越える―未来へのバトン―
2026年7月、アイフルの無人契約ルームが完全廃店――。
少しずつ街中からその姿が減っていることには気づいていましたか?
看板が少なくなり、扉が閉じられる瞬間。
それらは一つの時代の終わりを感じさせ、どこか寂しさも感じます。
しかし、無人店が役目を終えても、アイフルが大切にし続けてきた「お客様に寄り添い、困りごとに真摯に向き合う」という姿勢は変わることはありません。
接点がリアルの店舗からデジタルの画面へと変化したとしても、その想いはいつも存在しています。
無人店の運営を通じて培われた「プライバシーへの細やかな配慮」「分かりやすい案内」「不安を取り除く丁寧なサポート」。
こうした知見やノウハウは、今も形を変えて受け継がれています。見やすい画面設計や操作しやすいアプリ、安心して利用できるカスタマーサポート。アプリやチャットボット、コールセンターなど、さまざまなサービスの中には、無人店で積み重ねてきた経験が息づいているのです。

無人店が担ってきた「安心と信頼のバトン」は、今、デジタルという新たな接点へと引き継がれています。
お客様に寄り添うこと。 不安に向き合うこと。そして、誰もが安心して利用できるサービスを追求し続けること。
その想いはこれからも、サービスの中で受け継がれ、次の時代へとつながっていきます。
無人契約ルームという場所と、それを支えたすべての皆さまへ。
長いあいだ、お疲れ様でした。
そして、ありがとうございました――。

担当:若林
