非SI単位
非SI単位(ひ SI たんい)(Non-SI Unit)とは、主としてメートル法による単位であるが、国際単位系(SI)に属しない様々な単位である。メートル法以前から汎用されていた単位(分・時・日、度 (角度)・分 (角度)・秒 (角度)など)、メートル法以後のメートル系の単位(ヘクタール、リットル、トン、オングストローム、エルグ、ダイン、バーン、重量キログラムなど)が含まれる。
非SI単位を広義に「SIではない単位」とした場合には、尺貫法による単位やヤード・ポンド法による単位など古今東西の無数の単位を含むことになるが、通常はそれらを取り立てて非SI単位とは呼ばない。非SI単位の対義語は、「SI単位」である。
日本の計量法における法定計量単位は、SI単位を基本にしているとうたわれることが多いが、実際には多数の非SI単位を含んでいる(後述)。
以下に、非SI単位を列挙するが全てを尽くしているわけではない。
非SI単位の2つの分類
[編集]国際単位系国際文書との関係で、非SI単位は便宜上、次の2つに分類できる。
- SI文書中の非SI単位 SI文書第9版のVer.4.01(2026年6月)に掲げられている23単位
- 上記以外の非SI単位
SI文書中の非SI単位
[編集]SI文書第9版(2019)Ver.4.01(2026年6月)第4章表8「非SI単位(Non-SI Units)」に掲げられているSI文書中の非SI単位であり、以下の23単位である[1]。
- 時間の分・時・日、角度の度・分・秒、面積のアール・ヘクタール・バーン、体積のリットル、質量のトン、長さのオングストローム、加速度のガル、圧力のバール、質量のダルトン、長さの天文単位・海里、速さのノット、エネルギーの電子ボルト、比の対数のネーパ・ベル・デシベル、無効電力のバール
以上の23個の非SI単位は、廃止されたSI併用単位とは異なり、SI単位との併用が認められているわけではなく、また、国際単位系(SI)において何等の特別の地位を占めているわけではないことに注意[2]。また何等の使用規則(例えば、SI接頭語の付加の可否)も定められていない。詳細はSI文書中の非SI単位を参照のこと。
2019年第9版のうち、Ver.3.02(2025年8月)までに掲げられていた非SI単位
[編集]国際度量衡委員会(CIPM)は、SI国際文書の第9版(2019年)のVer1.01からVer.3.02においては、非SI単位のうちSIと併用できる単位(SI併用単位)を少数(15単位)に限定し[3][4]、その第1版(1970年)以来の、実験的に求められる単位、暫定的に併用できる単位、CGS単位、その他の単位などを一切、国際文書に記載しなかった。
2006年第8版に掲げられていた非SI単位
[編集]国際単位系(SI)国際文書第8版(2006年)(廃版)第4章の表7、表8、表9に掲げられていた単位である。正式にはSIとの併用が認められていないが、SIとの換算数値を明記することにより、使用が許容されていた単位である[7]。
- 表7 SI単位で表される数値が実験的に求められる非SI単位[8]
- SIとの併用が認められている単位 4単位:電子ボルト、ダルトン、統一原子質量単位、天文単位(ただし天文単位は2014年の補遺によって、SI併用単位に格上げされていた[9]。)
- 自然単位系 4単位:速さの自然単位(真空中の光の速さ)、作用の自然単位(換算プランク定数)、質量の自然単位(電子質量)、時間の自然単位
- 原子単位系 6単位:電荷の原子単位(電気素量)、質量の原子単位(電子質量)、作用の原子単位(換算プランク定数)、長さの原子単位・ボーア(ボーア半径)、エネルギーの原子単位・ハートリー(ハートリーエネルギー)、時間の原子単位
(注)このうちガル(Gal)については第9版表8の欄外注に掲げられており、やや特別な扱いになっている。
以上の表7、表8、表9の単位のうち、天文単位(ただし2014年の補遺によって既にSI併用単位となっていた[9]。)、ダルトン、電子ボルト、ネーパ、ベル、デシベルの6単位(およびガル)は、第9版(2019年)のSI併用単位に格上げされ、残りの単位は全て第9版からは削除された。
2006年よりも前に掲げられていた非SI単位
[編集]国際文書の1970年の第1版以降、1998年の第7版までの国際文書に掲げられていた単位である[12]。SIと併用できる単位、実験的に得られる単位、CIPMとしては使用を推奨しない単位、使用を避けるべき単位など様々であった。以下の分類では、国際文書の版によって扱いが異なるため、重複がある。
- SIと併用できる単位:SI併用単位#SI文書における位置づけの推移を参照。
- 実験的に得られる単位:SI併用単位#SI文書における位置づけの推移を参照。
法定計量単位である非SI単位
[編集]日本の計量法が法定計量単位として認めている非SI単位は次のようになっている。 太字になっているものは、SI国際文書の第9版Ver.4.01(2026年6月)の第4章表8に掲げられている非SI単位(SI文書中の非SI単位)である。
計量法第3条、別表第1関係
[編集]この別表第1は表題が「SI単位に係る計量単位」となっているが、実際には多くの非SI単位が混在している(計量法#SI単位との関係による分類)[13]。以下の非SI単位は、別表第1における列挙の順序である[14]。メートル毎時、グラム毎リットル、毎分、毎時、ワット時、クーロン毎キログラム毎時、レントゲン毎秒のような単位の組み合わせとなっているものはここには掲げていない。
- 質量:トン
- 時間:分、時
- 角度:度、分、秒
- 体積:リットル
- 圧力:バール
- 放射能:キュリー 暫定的使用、SI単位はベクレル(Bq)
- 吸収線量:ラド 暫定的使用、SI単位はグレイ(Gy)
- 照射線量:レントゲン 暫定的使用、SI単位はクーロン毎キログラム(C/kg)
- 線量当量:レム 暫定的使用、SI単位はシーベルト(Sv)
上記の単位のうち、放射能の計量単位である、キュリー、ラド、レントゲン、レムの4単位は、「暫定的使用」する単位として位置づけられており[15]、その性格が特殊である。
計量法第4条、別表第2関係
[編集]別表第2「SI単位のない量の非SI単位」における列挙の順序である[16]。
計量法第4条、別表第3関係
[編集]別表第3「SI単位のある量の非SI単位」における列挙の順序である[17]。
特殊の計量に用いる単位
[編集]計量法第5条第2項と計量単位令別表第6は、特殊の計量に用いる長さ、質量、角度、面積、体積、速さ、加速度、圧力又は熱量の計量単位(すべて非SI単位)を定めている[18]。詳細は、計量法#用途を限定する非SI単位を参照。なお、このうち、アール、ヘクタール、オングストローム、ガル、海里、ノットは、SI文書中の非SI単位である。
ヤードポンド法の単位
[編集]計量法附則第五条第一項(ヤードポンド法による計量単位)に基づく。輸出入に係る取引・証明、輸出される計量器、航空機の運航、ヤードポンド単位表記と法定計量単位表記とが併記されている輸入された商品にのみ用いることができる。
仏馬力
[編集]計量法 附則第六条に基づく。 仏馬力は、内燃機関に関する取引又は証明、外燃機関に関する取引又は証明に用いる場合にあっては、当分の間、工率の法定計量単位とみなす。
法定計量単位ではない、SI文書中の非SI単位
[編集]次に掲げる非SI単位(7単位)は、国際単位系(SI)文書(2019)Ver.4.01(2026年6月)に掲げられている非SI単位であるが、計量法上の法定計量単位となっていないものである。日以外の単位は、商業・工業における取引や証明(計量法#取引、証明とは)に用いることはまれであり、法定計量単位に位置づける必要性に乏しい。太字になっているものは、SI国際文書の第9版Ver.4.01(2026年6月)の第4章表8に掲げられている非SI単位(SI文書中の非SI単位)である。
出典
[編集]- ↑ International System of Units, 9th Edition(2019)Ver.4.01(June 2026),BIPM, 4 Non-SI Units (pp.140-141)
- ↑ Updated SI Brochure clarifies the status of non-SI units, Clarifying the role of non-SI units, 2026-06-04, BIPM
- ↑ 国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版 産業技術総合研究所、計量標準総合センター 4 SI単位と併用できる非SI単位 表8 SI単位と併用できる非SI単位、p.114
- ↑ The International System of Units(SI) 9th edition 2019 Bureau International des Poids et Mesures, 2019-05-20, p.145-146
- ↑ SI Brochure: The International System of Units (SI) Previous editions of the SI Brochure, BIPM
- ↑ SI国際文書における該当ページは以下の通りである。
- 1970年(第1版), pp.15-16(仏語版)
- 1973年(第2版), pp.15-16(仏語版)
- 1977年(第3版), pp.15-17(仏語版)
- 1981年(第4版), pp.18-20(仏語版)
- 1985年(第5版), pp.76-78(英語版)
- 1991年(第6版), pp.80-82(英語版)
- 1998年(第7版), pp.106-108(英語版)
- 2006年(第8版), pp.125-129(英語版)
- ↑ SI第8版(2006) pp.38-41
- ↑ 国際単位系 (SI) 国際文書第8版 2006年(日本語訳) 表7
- 1 2 The International System of Units Supplement 2014: Updates to the 8th edition (2006) of the SI Brochure 英語版の部分、pp.13-14
- ↑ 国際単位系 (SI) 国際文書第8版 2006年(日本語訳) 表8
- ↑ 国際単位系 (SI) 国際文書第8版 2006年(日本語訳) 表9
- ↑ Previous editions of the SI Brochure SI Brochure: The International System of Units (SI)、BIPM
- ↑ 新計量法とSI化の進め方 通商産業省、SI単位等普及推進委員会、1999年3月発行、p.6、1.1 SI単位に係る計量単位(表2.1)「厳密に言うと、これらの単位のうち時間の分(min)、時(h)、質量のトン(t)などはSI単位ではないが、計量法ではこれらもSI単位に係る計量単位として定めている。」
- ↑ 表1 SI単位に係る計量単位
- ↑ 単位について p.20、(参考)法定計量単位とSI(国際単位系 )との関係 一覧表 項番57,58,62,63,64,65、2005年度第1回 計量行政審議会 開催資料 資料4(12)、経済産業省 計量行政審議会、2005-07-26
- ↑ 表2 SI単位のない量の非SI単位
- ↑ 表3 SI単位のある量の非SI単位
- ↑ 計量単位令 別表第6
- ↑ 計量行政. 経済産業省. p. 2.B / Q5 A5. 「日、週、月、年は暦の単位であり、計量法における単位の使用規制の対象外である。したがって、暦の単位としてd(日)を用いることは可能である。同様に、計量法における物象の状態の量としての流量も、暦の概念は含まれないので、暦としての1日当たりに流れる量を表すものとしてのm3/d(立方メートル/日)も計量法における単位の規制の対象外である。」
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]
ウィキメディア・コモンズには、非SI単位に関するカテゴリがあります。- International System of Units, 9th Edition(2019)Ver.4.01(June 2026),BIPM, 4 Non-SI Units (pp.140-141)
- (以下は日本語での基本文献であるが、最新(2026年6月現在)のBIPM版Ver.4.01では第4章「非SI単位」の記述が根本的に書き換わっており、上記のBIPM版を参照すべきである。)BIPM 著、産業技術総合研究所 計量標準総合センター 訳『国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版』(pdf)産業技術総合研究所 計量標準総合センター、2025年10月。。この日本語版はBIPM版Ver.3.01(2024年8月)の翻訳であり、すでに2段階古くなっている。
- SI brochure — 国際単位系の利用案内書。国際度量衡局 (BIPM) による。
- International System of Units (SI) - Encyclopedia of Earth「非SI単位」の項目。
- 新計量法とSI化の進め方 通商産業省、SI単位等普及推進委員会、1999年3月