コンテンツにスキップ

スモモ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スモモ
スモモ
分類
界 : 植物界 Plantae
階級なし : 維管束植物 Tracheophyta
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : バラ類 rosids
目 : バラ目 Rosales
科 : バラ科 Rosaceae
亜科 : スモモ亜科 Prunoideae
属 : スモモ属 Prunus
亜属 : スモモ亜属 Prunus subg. Prunus
節 : スモモ節 Prunus sect. Prunus
種 : スモモ P. salicina
学名
Prunus salicina
Lindl. (1830)[1]
和名
スモモ(李)
英名
Japanese plum

スモモ(李[2]・酢桃・黄吉[3]、学名: Prunus salicina)はバラ科サクラ属の落葉小高木。また、その果実のこと。原産地は中国[4]。中国から古くに日本へ渡来し[4]、和歌などにも詠まれる。果樹として栽培される。

名称

[編集]

スモモの果実はモモに比べて酸味が強いことが、和名の由来となっている。漢字では「李」とも書かれる。英語では “Chinese plum”(チャイニーズ・プラム)、“Japanese plum”(ジャパニーズ・プラム)などとよばれる[5]。

特徴

[編集]
スモモの花

落葉広葉樹の小高木[4]。枝はよく分岐し、横に広がる[4]。葉は長楕円形または長披針形[4]。

開花期は4月[4]。中国ではモモとともに春の代表的な花となっている[4]。葉の付け根に白い花を1 - 3個咲かせる[4]。果実は無毛で、夏になると緑色から赤色に熟す[4]。果肉は赤色や黄色があり、酸味はあるが完熟すると甘みが出る[4]。

果実の旬は6 - 9月ごろとされ、食べごろのものは良い香りがある[2]。果実にはカリウム、リンゴ酸、クエン酸などが含まれる[2]。果皮表面には白い粉状のブルームがつき、鮮度のよい果実ほどブルームが残っている[2]。

栽培

[編集]

スモモは多くの品種が自家不和合性であり、安定した結実には交配親和性のある品種の花粉による受粉が必要となる[6]。

病害には、結実直後の果実が肥大して奇形となるふくろみ病などがある。ふくろみ病は春先の気温が低く、降雨が多い場合に多発しやすい[7]。

2010年(平成22年)2月20日から2021年(令和3年)3月31日まで、ウメ輪紋ウイルス(プラムポックスウイルス)について植物防疫法に基づく緊急防除が実施された[8]。

スモモミハバチはスモモのみを寄主とする外来種で、幼虫が幼果の内部に食入し、被害果は肥大を停止して落果する[9]。中国および韓国にも分布し、日本では2019年に山口県で初めて確認された後、広島県、大分県、福岡県、佐賀県でも確認されている[10]。

品種

[編集]

本種には多数の栽培品種があり、日本で栽培されるニホンスモモ系の品種は総称して「プラム」ともよばれる[2]。19世紀にアメリカ合衆国に渡ったスモモは、育種家のルーサー・バーバンクらによって品種改良され、「サンタローザ」「ビューティー」などの品種が育成された。これらの日本系スモモは日本へ再導入され、日本でも品種改良が進められた[11]。19世紀にアメリカに渡ったニホンスモモは、育種家のルーサー・バーバンクによって「サンタローザ」「ビューティー」などの品種に改良され、その一部が日本へ再導入された[12]。一方、ヨーロッパスモモは青紫色の楕円形の品種が多く、日本ではプルーンがよく知られている[2]。

完熟したスモモ「ソルダム」
  • 秋姫 - 1963年(昭和38年)ごろに秋田県で発見された大玉種。果皮は主に赤色から赤紫色で、袋掛け栽培で黄色もある。晩生種で9月ごろに出回る。[2]
  • 大石早生(おおいしわせ) - 日本産では最も多い中ぶりの早生品種。1952年(昭和27年)に品種登録されたもので、品種名は育成者の名前にちなむ。果皮は完熟すると赤色になるが、色づき初めごろが食べごろで、7月上旬ごろに出回る。[2]
  • 花螺李(がらり) - 台湾原産で、奄美大島や沖縄で栽培され、別名「奄美プラム」ともいう。果皮は黒紫色で酸味が強い。完熟すれば生食できるが、シロップ煮や果実酒に向いている。[2]
  • 貴陽(きよう) - 山梨県南アルプス市の高石鷹雄によって開発された大玉品種で、1996年(平成8年)2月に品種登録された[13]。
  • ケルシー - 果皮が緑色の先が少し尖った形が特徴の大玉種。もともと日本で栽培されていた「甲州大巴旦杏」(こうしゅうだいはたんきょう)という種を、明治時代にジョン・ケルシーが米国カリフォルニアに持ち帰って広まり、大正時代に日本へ逆輸入されたといわれる。果肉は黄白色で、かたく引き締まっている。[2]
  • サマーエンジェル - 米国品種の「ソルダム」と「ケルシー」を山梨県果樹試験場で交配してつくられ、2005年(平成17年)に品種登録された大玉種。果汁が多く、糖度15 - 17度の強い甘みと適度な酸味がある。[2]
  • サンタローザ - 米国で日本スモモとアメリカスモモを交配して作出された品種。大正時代に日本に導入され、別名「さんたろう」ともよばれる。果皮は赤色で、果肉は黄色であるが熟すと赤みが入る。糖度は11 - 13度。[2]
  • ソルダム - アメリカから導入された日本系スモモで、果肉は多汁で、熟すと鮮紅色になる。アメリカには「ソルダム」という品種名はなく、品種名が誤って伝えられたといわれている[14]。
  • 太陽 - 山形県で発見され1969年(昭和44年)に命名された大玉の晩生種。果皮は濃い赤色、糖度は16度で甘い。8月中旬ごろから出回る。[2]
  • ホワイトプラム - 果皮・果肉ともに淡黄色で、果肉は多汁でやわらかく、甘くて酸味が少ない。[2]
  • レッドビュート - 2005年(平成17年)に山梨県で品種登録されたやや大きめの品種。果皮は濃い赤色で酸味があり、果肉は濃いクリーム色で糖度11 - 15度と甘みが強い。やや固めで、果汁は少ない。[2]

生産

[編集]

2025年(令和7年)産の日本のスモモ収穫量は1万4,700トンであった。都道府県別では山梨県が全国の35%を占め、長野県14%、山形県11%、和歌山県9%、青森県5%の順となっている[15]。

脚注

[編集]
  1. ↑ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Prunus salicina Lindl. スモモ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月25日閲覧。
  2. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 199.
  3. ↑ 三省堂編修所『三省堂 難読漢字辞典(2009年発行)』429頁
  4. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 72.
  5. ↑ “Prunus salicina (Chinese Plum, Japanese Plum)”. North Carolina Extension Gardener Plant Toolbox. North Carolina State University. 2026年8月10日閲覧。
  6. ↑ 萩原栄揮、富田晃、山下(土橋)路子、新谷勝広「核果類の人工受粉における溶液受粉の利用」、山梨県、2026年8月10日閲覧。
  7. ↑ “スモモ ふくろみ病”. 山梨県 (2023年3月6日). 2026年8月10日閲覧。
  8. ↑ “ウメ輪紋ウイルス(プラムポックスウイルス)に関する情報”. 農林水産省. 2026年8月10日閲覧。
  9. ↑ “日本で初めて発生が確認されたスモモミハバチの発生生態と防除対策” (PDF). 山口県農林総合技術センター (2021年). 2026年8月10日閲覧。
  10. ↑ “病害虫発生予察特殊報 第1号 スモモミハバチの発生について” (PDF). 佐賀県 (2023年8月10日). 2026年8月10日閲覧。
  11. ↑ 講談社 編『旬の食材 四季の果物』講談社、2004年、52頁。
  12. ↑ 講談社 編『旬の食材:四季の果物』講談社、2004年、52頁。
  13. ↑ ““貴陽” 世界一重いプラムとして認定!”. 南アルプス市. 2026年8月10日閲覧。
  14. ↑ “農産物の上手な利用法(ソルダムジャム(冷凍原料利用)/材料)”. 神奈川県 (2026年3月18日). 2026年8月10日閲覧。
  15. ↑ “令和7年産もも、すももの栽培面積、結果樹面積、収穫量及び出荷量”. 農林水産省 (2026年1月27日). 2026年8月10日閲覧。

参考文献

[編集]
  • 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、199頁。ISBN 978-4-415-30997-2。 
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、72頁。ISBN 4-522-21557-6。 

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]