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永島慎二氏の作品は独特です。
私小説と虚構が織り交ざったようなエピソードと印象的なコマ割り。
抽象画のようなデフォルメされた絵。
文学の世界に太宰治がいるように、ストーリー漫画の世界に永島慎二がいます。
『フーテン』という言葉はもう死語になっているでしょうか。
『男はつらいよ』のフーテンの寅さんが一番有名ですが、フーテンの風俗・生態はこの『フーテン』が最も良く残してあると思います。
瘋癲(ふうてん)という精神疾患を示す言葉だったそうですが、この作品で描かれているような若者が1960年代新宿に現れます。
60年代、ここに描かれた若者は確かにいました。
退廃的であり、芸術的でもあり、無気力であり、平和であり、といった感じでしょうか。
仲間になったつもりはなくてもいつの間にか顔なじみな連中になっています。
時折こういう世界に憧れたワーカーホリックの中年男性が紛れ込んだりしていました。
今でも新宿に『フーテン』はいるのではないでしょうか。
同じような若者達は少しづつ行動形態が変わってゆき、時代時代でいろんな呼び方をされますね。
永島氏は1960年代の一場面を見事に切り取っています。
『フーテン』の発表の場は主に「COM」「ガロ」「プレイコミック」となっています。
「COM」や「ガロ」といった雑誌があって良かったと今更ながら思います。
長らく探していた本です。かなり前に読んで永島慎二さんのファンでした、
手に入り感激してます、
この本は、漫画家・永島慎二の『フーテン』を全編収録しています。以前は、上下巻の二冊で発行されていた作品が文庫化により一冊になったのはお得とも言えます。作品自体は1960年代に描かれており、内容は若者たちの平凡な日常ながら、いかに生きるべきか、といった文学か哲学的要素を多分に含んだストーリーになっています。当時は人気漫画だったようで、独特な永島慎二の画は、多くの漫画家にも影響を与えました。
登場する彼らは 引きこもってこそいないが 今でいう「引きこもり」「ニート」な存在である。
今と違うのは 皆、金がなく飢えていた事だろう だから外に出て仲間にたかるしかない
結局 いつの時代も表現は違えど 若者の苦悩は同じなのだなぁ
今も昔も 若者は常に上の世代を否定して 批判して生きる姿勢は変わらないのだなぁと感じた
反体制は若者の特権なのか?それともヒトとはそういった種なのか?
てな具合に 今の時代と対比して読んでみると面白い本です。
作者の自伝的な作品
フーテンとして生きているその時代の若者達を描いている
絵が素晴らしくデフォルメが気持ちよく効いていて
時に印象画のような精神世界の表現を、線画とトーンで作っている、
線が滲んだような、ちょっとスヌーピーのような独特な線が面白い
主人公達は刹那的であり、哲学的で、破滅的なのだが、根底が明朗で陽気で
憂鬱な感じがあまりない。それは現代のフーテンのような生活をしてる若者達も
同じだ、自分の未来に無関心な気持ち、どうにかなるさ、というような根拠のない勇気、強さ
それを若さと呼ぶのかもしれないけど・・
そのようなリアルな明るさがキャラたちに内在してる
とても面白い作品なのだが、一番興味がひかれたのは、
この作者自身ががフーテンなのだ、自分の持っている感覚を全て表現しようとしているような
赤裸々に全てを表現しようとしている、常人が持ちえない覚悟みたいなものを紙面から感じる。
刹那的であり、哲学的で、破滅的なのだが、根底が明朗で陽気で
憂鬱など感じない、そんな漫画家 彼が描く世界観
それが人生の本来の生き方なんじゃないのか?自分もそうやって生きたい。と
憧れさえ持ってしまった
読後、なにか希望のような優しさを感じて
暖かい気持ちになれた
多くのフォロワーを作った素晴らしい漫画家の名作です