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この新訳版で再読して衝撃をおぼえました。いままで何を読んでいたのかと。
簡素な筆致でつづられていますが、じつに怖い作品ですね。
岸田国士の旧訳ではオブラートに包まれていてもどかしかった家族間のモヤモヤしたものが、中条省平訳によって容赦なく正体をあらわしている、という気がします。
解説とあとがきもひじょうに有益でした。おすすめ。
赤毛とそばかすの外見から「にんじん」と呼ばれる少年と、おもに彼の家族との短いエピソード集からなる自伝的小説です。
少年と彼を取り囲む人々を描いた心温まるストーリーを想像していたのですが、読み始めてすぐに予想は覆されました。
本作では、時によっては虐待ともいえるような冷たい母から仕打ちを受け、兄・姉からは爪はじきにされ、影の薄い父親は無関心を決め込み関与せず、家庭内でにんじんが激しく疎外される様子が繰り返し描かれています。にんじん自身も彼なりにそのような環境をやり過ごしながらも、愛に飢えた孤独な身の上からか、端々に残酷さや狂気を伺わせるような一面も垣間見せます。また、少年の両親にしてから、その夫婦関係が冷めきっていることが読み進めるうえで徐々に明らかにされます。
この物語が類型的な児童文学として扱うできないことは明白ですが、とはいえ、本作をどのように捉えれば良いかは難しいところです。道徳を訴えるわけでもなく、無垢な子供像を描くでもなく、わかりやすい成長物語でもない、かといって単に子どもへの残酷な仕打ちを扱ったリアリスティックな作品としても捉えられません。容易には吸収できない、そして心に奇妙な後味を残す印象深い読書になりました。
なお、この光文社古典新訳文庫版は訳者による解説とあとがきが非常に優れており、著者の生涯や日記、他作品を参照しつつ、ある種難解で一読では捉えがたい本作の理解を大いに助けてくれます。
項目が短いところがいい。
あとは内容はひどかったね。おねしょしたのをスープに入れるとか。
序盤は楽しんで読めましたが後半が苦痛でした。やっぱり小説は合わないね。
"それでどうしたっていうんだい?そんなことは、あんたに関係あることかい?自分のことだけを、ちゃんとやったらいいんだよ。ぼくのことなんかかまわないでくれ"1894年発刊の中編小説であり戯曲作品でも知られる本書は、愛情に飢えた少年の姿を生き生きと描き、読み手にも様々な想起を起こさせるコラージュ的な一冊。
個人的には、この本は子供時代に読むと人によっては少年に自分自身を重ねて【酷薄な親の虐待物語】としてトラウマ化するのではないか?と不安にもなってしまいますが。しかし、少年を【信頼できない語り手】何かしら【意図的に隠蔽された物語】として捉えてみると実存主義的先駆けな作品ではないかと感じました。(とはいえ、子供向けではありませんよね。。)
また、大人が描く少年像って、いわゆる【純真で元気一杯】とか、どこか極端に紋切り型で描かれることも多いと思うのですが。著者自身の幼少時が色濃く反映された本書の赤毛の少年【他者への残酷さを充分に発揮する少年】の姿はとてもリアルというか異色な印象で。私的には子供時代を振り返って突き刺さってくる読後感でした。
自身の子供時代を振り返ってみたい、かっての子供へ。また隠蔽された物語をあれこれ考えてみたい空想好きな誰かにもオススメ。