ベイルイン ベイルアウト
金融機関の経営破たん時に、公的機関が介入して金融機関の経営再建を目的に、債権者にも一定の負担を強制的に求めることをベイルインbail-inと呼んでいる。たとえば 社債(劣後債)が株式に組み替えられる。あるいは預金保険対象外の預金や無担保債務が課税あるいはヘアカット(削減)される。その根拠は、再建をさせた場合と破綻させた場合とを比較して、債権者にとっても再建させた方が最終的な負担が小さくなると考えらからであろう。これをベイルインという。
なおbailの元々の意味は保釈金。逮捕されて裁判を待つ間、裁判所に差し入れるお金のこと。これを支払うと、留置所から保釈してもらえる。
このように債権者の負担で、債務を減らし資本を増やす動きがbail-inである(債権者が債権額の一部又は全部を支払を猶予あるいは放棄して、あるいは資本に変換することを認めることで、債務者の経営再建に協力する)。bail-inは金融機関の破たんに際して、納税者負担を最小にするため金融機関のステークホルダーに幅広く負担を求めること。これに対して外部からお金が出され金融機関が救済される方式をベイルアウトbail outとよんでいる。bail inとbail outは銀行救済方式として、内部者の自助努力によるbail in。税金の投入をも意味するbail outというように対比的に使われた。bail inは金融機関の経営困難に際して(経営再建を目的に)、広くstakeholdersにも負担を求める動きを指している。
実は預金をめぐるベイルインのほかに、ベイルイン債をめぐる議論が平行して行われている。これは議論としては条件付き資本(contingent capital)の導入論議そのものである。ベイルイン債は、発行する時点で、一定条件のもとに普通株式化を想定して発行される劣後証券であり、一定条件は投資家に開示されている。債券については、発行のつど、発行条件は仕切りなおされるのでベイルインの議論は透明である。しかし預金については、すでに預けられているもの、預かっているものについて、ある時点からベイルイン規則を適用するということにならざるを得ない。それだけに、預金についてベイルインの適用のあるなし、いつから規則が適用されるかが、話題になるのだと考える。
資料
From bail-out to bail-in: Mandatory Debt Restructuring of Systemic Financual Institutions, IMF STAFF Discussion Note, April 24, 2012
伊豆久「ベイルイン債とは何か」日本証券経済研究所 2014年1月28日
欧州銀 ベイルイン 大企業の保険対象外預金がまず対象 Bloomberg 2013年6月5日
鈴木利光 証券・保険にも公的資金注入が可能に 大和総研 2013年5月20日
「ベイルイン」議論へ 保険対象外の預金が争点 Bloomberg 2013年5月7日
小立敬「ベイルインの導入に向けた検討」『野村資本市場クオータリー』2012年8月
鈴木利光 EUベイルイン、シニア債を満期で異なる扱い 大和総研 2012年5月11日
預金保険機構「欧州における金融規制規制改革の動向」(20110513) (欧州におけるbail inの議論の紹介)