【厚岸翔洋高校】30日間の乗船を振り返って
北海道厚岸翔洋高等学校 海洋資源科 生産コースでは、3年次の4~5月に実習船「若竹丸」で30日間の長期乗船実習を行っています。乗船が終わって1ヶ月以上経ちましたが、生徒の感想文などを参考に令和8年度の乗船実習を振り返ってみます。(長い記事です)

1)不安いっぱいの出港
長期乗船は行く前からものすごく不安でした。理由は、30日も船の中で生活したくないし、ストレスもたまるし、スマホも使えなくなるので正直、行きたくなかったです。
初めての経験は不安がつきものです。ましてや、海の上の船内生活。知らない乗組員や先輩(小樽水産高校の専攻科生)もたくさん。ストレスが溜まるのも当然です。覚悟をもって乗船に臨んでくれたことが、よく分かりました。

釧路港停泊中の若竹丸で3日間、生徒たちは船内生活に慣れる期間を過ごし、4月16日、関係者の見送りを受け、マグロ漁場へ向けて出港しました。

2)船酔いとの闘い
出港し、船が動き出しました。ほんの数十分が経つと僕の身体になつかしいような思い出したくないような感覚が追ってきました。そう「船酔い」です。腹からのどにかけて空気が溜まり、頭が痛くなりました。どこに逃げても船の中であり、前半は寝たきりのままでした。
「船酔い」は本当につらいものです。しかし、この生徒は当直(ワッチ)や食当(食事当番)など、やるべき業務を一度も休まずにやり切ったそうです。えらい!この苦しさに耐え、乗り越えたことは本当に立派です。

3)大漁!マグロはえ縄漁業
マグロ操業では、しっかりブランを巻いて縛れるかという不安や、まずマグロが獲れるのかという不安や緊張がありました。いざ始まるとワクワクする気持ちがあり、やってみると意外と単調な作業でも楽しかったです。
マグロはえ縄漁業は、ブランと呼ばれる枝縄の先に針と餌をつけて魚を釣る漁法で、生徒たちはブランを巻いたり、縛ったりする作業を繰り返し行います。

この日は天気もよく、海の色が北海道(厚岸)とは全く違います。マグロだけでなく、大きなカジキも釣れました。

1本目のマグロはすごくうれしかったです。そして、どんどん獲れてくるマグロを見ているだけで楽しかったのを覚えています。
あっという間に最終日を迎えました。早朝からの投縄や野帳付けなども経験し、生徒たちはよく頑張りました。マグロを持っている様子から生徒の充実感が溢れています。

4)寄港地変更
本来、この航海でパラオ入国を予定していましたが、現地の水先案内人(パイロット)が不在のため「航海の安全を確保できない」と判断し、パラオ寄港を断念することになりました。
行く予定だったパラオが行けなくなり、急きょ長崎と高知になった。船の上ではこういったトラブルがあると改めて身に感じました。

5)九州・長崎に入港
初めての九州は、どこを見ても楽しく、新鮮でした。植物、虫、家の屋根、食べ物、なまり、魚、運転手など、たくさんの違いに驚きつつも、満喫することができました。
久しぶりの陸地で開放感がいっぱい。原爆資料館やグラバー園、長崎スタジアムシティなどを訪れて歴史や文化を学ぶとともに、長崎名物のカステラや佐世保バーガーなどを食べて、釣りも行い、初めての寄港地研修を大いに楽しんだようです。

6)四国・高知に入港
高知では、高知城に行きました。初めて城というもので、とても楽しかったです。ひろめ市場にも行きました。
初めての四国上陸。市電に乗って高知の街並みを散策するとともに、自主研修では釣りや野球をやったり、ラウンドワンで体を動かしたりして上陸を楽しんだようです。

6)本州・清水に入港
最後に寄港した清水では、雲より大きい富士山がとても大きく、とても綺麗でした。
静岡県の清水港では、獲れたマグロの水揚げを行うとともに、清水海上技術短期大学校を見学させてもらい、進路を考える機会になりました。

7)乗船実習を終えて
ある生徒は、今回の乗船で成長したことを3つ挙げていました。
1つ目は感謝の気持ちを伝えることです。
2つ目は自分に素直になることです。
3つ目はコミュニケーションです。
友達や船員に感謝を伝えること、素直になってストレスを抱え込まないことの大切さを実感し、船員や専攻科生との会話をとおしてコミュニケーション能力の向上を感じたそうです。これからの学校生活も頑張ってください。

この度の乗船実習に係わってくれた若竹丸乗組員、実習船管理室、教職員、小樽水産高校専攻科の皆さん、本当にありがとうございました。
そして本校生徒の皆さん、お疲れ様でした。
長文にもかかわらず最後まで、お読みいただきありがとうございます。この記事が少しでも乗船教育の理解に繋がれば幸いです。(文責:校長 柴田)
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